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連載:第5回 よくわかる補助金・助成金 創業

起業時に活用したい補助金・助成金

BizHint 編集部 2020年2月10日(月)掲載
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起業したいけど資金面が不安でためらっている、という話を聞くことがあります。将来の保証を考えると、起業したくてもできないという方もいらっしゃいます。実際、起業には設立費用に開業資金、運転資金、さらに設備費などの初期投資が必要です。起業を見越して準備資金を用意してあれば問題ありませんが、それだけの余裕がないのが現実でしょう。そのようなときに、非常に役立つのが起業時に活用できる補助金や助成金です。国としても経済活性化のために創業を支援しており、地方公共団体でも過疎化対策や地方活性化対策のためにさまざまな創業支援を行っています。 そこで今回は起業するときや起業してから活用できる補助金や助成金についてご紹介します。これから起業を目指す方は必読の記事です!

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1. 補助金でスタートダッシュを決める

創業支援の補助金・助成金は獲得できるとスタートダッシュができるというメリットがあります。早い段階で経営を軌道に乗せ、速やかに成長段階に移行できれば、それだけ事業成功への道が開かれるわけです。創業時に必要な設備投資や販促費・技術開発費といった資金をどれだけ多く確保できるかが鍵であり、初期の経営が不安定な時期を短縮して安定させることに役立ってくれるでしょう。

業界・業種によっても異なりますが、とくに製造業や販売などの店舗ビジネスでは、初期費用が多額になりがちです。逆にITや人材サービスなどは製造業や販売などと比べると初期投資は比較的低めに設定できるはずです。

いずれにしても、起業時にどれだけの資金が必要で自己資金をどれだけ担保できるか把握しておく必要があります。すべて賄えるだけの資金が最初から用意できるなら心配いりませんが、足りないなら優先順位を決め、後回しにせざるをえない項目も出てきます。それでも不足なら資金調達を行わなければなりません。

この資金調達において、非常に有効な手段が創業支援の補助金です。創業時に活用できる補助金・助成金にはさまざまなものがありますが、どのようなものがあるのか代表的なものを次に解説していきます。補助金・助成金をうまく獲得できれば、創業時のスタートダッシュも夢ではありません。

2. 高額で注目される創業支援等事業者補助金(広域的な創業支援モデル事業)とは

創業段階の補助金として、真っ先に名前が挙がるのが「創業支援等事業者補助金」(広域的な創業支援モデル事業)です。

都道府県と連携する民間団体等が行う創業機運を醸成する事業(広域的な創業支援モ デル事業)を実施する者に対する事業費等に要する経費の一部を補助してくれます。

補助率は、補助対象経費の3/4以内で、補助対象上限額は、2,000万円と高額です。

中小企業庁:平成31年度「創業支援等事業者補助金(広域的な創業支援モデル事業)」の補助事業者の募集を開始します

以下に創業支援等事業者補助金の対象者を引用します。

次の(1)~(5)までの全ての条件を満たす法人格を有する民間団体等とします。

  1. 日本国に拠点を有していること。
  2. 本事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること。
  3. 本事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、かつ、資金等について十分な管理能力を有していること。
  4. 本事業を推進する上で国が求める措置を、迅速かつ効率的に実施できる体制を構築できること(含、日本語による意思疎通が可能であること)。
  5. 経済産業省からの補助金交付等停止措置又は指名停止措置が講じられている者ではないこと

このように対象者は比較的応募しやすいように見えますが、近年このように人気のある補助金は採択率が年々低下しています。現に平成31年3月28日から4月24日まで公募されて、15件の申請があり、6件採択されました。

中小企業庁:平成31年度「創業支援等事業者補助金(広域的な創業支援モデル事業)」の補助事業者を決定しました

公募期間を見るとかなり短く、かつ採択事業者には少し特徴があることがわかります。応益財団法人3社、一般社団法人2社が採択事業者として占めており、株式会社は1社しかありません。ただし、民間事業者にまったく機会がないかというとそうではありません。このような補助金の選考基準は、独創性、実現可能性、収益性、事業の継続性の4つにポイントが置かれているとされています。

  • 独創性 商品やサービスについて、新たな価値を自ら編み出していること。
  • 実現可能性 商品、サービスが明確であり、かつ実施に必要な人員確保に目途が立っていること。販売先などが明確になっていること。
  • 収益性 ターゲットが明確でニーズを的確に捉えており、収益性の見通しに信頼性があること。
  • 事業の継続性 策定された計画どおりに進まない場合も事業継続ができるように考えられている。事業内容やスケジュールが明確になっており、経営計画に妥当性が見いだされること。

これ以外にも審査基準はありますが、とりわけ注目しておかなければならない項目を列記しました。こうしたポイントをクリアし、他と比べて優位性をアピールできてはじめて補助金を得ることができます。補助金が高額になればなるほど、採択される基準も厳しくなりますが、アタックしても損ではありません。

というのもこれらの申請はすべて書類です。しっかりとした事業計画書をアピールすることが必要となるので、一回でも申請すれば(採択される・されないにかかわらず)他の補助金の申請書類を作りやすくなるはずです。

上記の大型補助金以外にもさまざまな補助金がありますが、最後に1つだけ官民ファンドをご紹介しておきます。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

ファンドには「1.地域中小企業応援ファンド」と「2.農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類があり、全国の約30都道府県の状況に応じて組成されています。中小機構と各都道府県の公共団体・金融機関等が共同出資し組成される地域独自の官民ファンドで、ファンドの運用益から資金の助成が受けられます。

「1.地域中小企業応援ファンド」の場合は中小企業者・創設者が対象で、各地の農林水産物や伝統技術を活用する、商品開発・販路開拓に対して支援されます。「2.農商工連携型地域中小企業応援ファンド」は中小企業者と農林漁業者が有機的に連携する、商品開発・販路開拓に対して支援されます。

どちらも原則助成金なので返済の必要がありません。複数年にわたり助成されるファンドもありますので、詳しくは中小機構:農商工連携型地域中小企業応援ファンド一覧(電子ブック)をご覧ください。

これ以外にも単発的に実施される補助金や、民間の補助金もあります。例えば三菱グループやソフトバンクグループなどの大企業は、新たなビジネスプランを支援するために財団を設立し、補助金事業を行っています。こうした企業の補助金は、単に資金を得るだけでなく、その後の販路拡大などで支援を受けられるといったメリットもあります。

3. まとめ - 早めの準備・早めの申請

補助金を活用すれば、創業時の負担が減らせるという大きなメリットがあります。ただし、創業支援は「助成金」ではなく「補助金」である、という点に注意してください。要件を満たせば原則支給が受けられる助成金と異なり、補助金は自分の事業の優位性をアピールし、採択されてはじめて獲得できます。

また支給金額が大きな補助金は応募が殺到することもあり、採択されるハードルが非常に高くなります。例えば2016年の「創業・第二創業促進補助金」は、2,866件の応募があり、採択されたのはわずか136件(割合は4.7%)でした。

確実に補助金を得るためにはしっかり計画を立て、対策準備を怠らないようにしましょう。そのためには早い段階から準備して、いろいろな課題に対応できるようにしておくべきです。そして補助金の申請には、事業計画書や収支計画などさまざまな書類が必要です。数多くの書類を揃えるだけでも、時間を要します。さらに採択を目指すなら、補助金が実施される意図をくみ取り「価値のある事業」ということをアピールしなければなりません。これらの準備にはかなりの手間と時間かかります。

勝ち残るために「早めの準備・早めの申請」は必須です。実は申請が後になれば後になるほど、採択率は下がるといわれています。とくに1次公募・2次公募などがある補助金では、1次に申請するほうが有利といわれるほどです。これは2次公募のほうが1次より申請数が増えるため、採択されにくくなるからです。そして中には予算が決められ、2次公募は1次公募で余った金額の範囲内でしか採択されない、というケースもあります。

ぜひ「早めの準備・早めの申請」を心がけましょう!

監修:長谷川祐也(中小企業診断士/経営学修士)
執筆:リカル

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