連載:第3回 よくわかる補助金・助成金 創業
東京都創業補助金・助成金~東京都での創業支援~
令和元年度(2019年度)第2回創業助成事業の「募集」が締め切られました。この助成金は東京都及び東京都中小企業振興公社によって平成27年度より行われている助成事業です。助成金額の上限は300万で対象経費の3分の2を負担してくれます。しかしこの助成金は東京都で創業する者であれば誰にでも支給してくれるものではなく、一定の条件を満たす必要があります。今回はその募集要項に沿って概略をご紹介したいと思います。来年以降東京都で創業予定の方、あるいは創業5年未満の方は一度ご検討されてはいかがでしょうか。
1.事業の概要
(1)事業目的
現在、諸外国に比べて日本の開業率は非常に低いことが国として問題となっています。 それは東京都でも同じで(都内開業率は6%)、低い開業率を何とか向上させるために、新規に事業を立ち上げる個人や開業間もない事業者支援すること、そしてその事例を広く社会に発信することで、さらに創業者を増加させる好循環のサイクルを生みだすことを目指しています。
(2)助成内容
助成内容の概略は以下の通りです
① 助成対象期間
交付決定日(令和2年3月1日予定)から1 年以上2年が経過する日までの間で 事業に必要な期間
② 助成限度額
上限額300万円 下限額100万円
③ 助成率
助成対象と認められる経費の2/3以内
④ 助成対象経費
賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
2.申請要件
東京都の助成金は、当然東京都で創業する、あるいは既に開業している事業者に支給されます。以下の4つの要件があり、すべてを満たす必要があります。分かりにくい要件2について少し詳しく見てみましょう。(詳細は【募集要項】を確認してください)
「要件2:指定された17の創業支援事業を利用した方」
この要件は少し厄介です。募集要項には①から⑰まで17項目が列挙されており、そのうちどれか1つにでも該当すれば良いという事になっています。原則、東京都や都内の市区町村及び金融機関が支援している創業支援策を受けているか、あるいは過去受けたことがある方を対象としています。例としては次の様な支援策があります。
・TOKYOステーションで事業計画書策定支援を終了した方
・都内認定インキュベーション施設に入居または入居していた方
・東京都中小企業制度融資(創業)を利用した方
・認定特定創業支援等事業による支援を利用した方…等
※「認定特定創業支援等事業による支援」とは市区町村又は認定連携創業支援者が創業者に行う継続的な支援で、経営・財務、人材育成、販路開拓に関する知識の全ての習得が見込まれる事業を言います。分かりにくいですが、例えば渋谷区では、創業セミナー(全5回)、渋谷創業スクール(全5回)、SHIBUYAベンチャー予備校(全5回)などが「認定特定創業支援等事業による支援」としてホームページに掲載されています。簡単に言ってしまえば公的機関が行う創業スクールに参加すると認定書がもらえますよという事です。皆さんそれぞれお住まいの市役所等にお問い合わせください。
3.助成対象経費
助成金の対象となる経費は、大きく2つに分かれます。そのうち事業費としては、賃借料、広告費、器具備品購入費、専門家指導費、産業財産権出願・導入費5つの経費が対象です。
支払われる補助金の金額は、かかった経費の3分の2で100万~300万の範囲となります。計算式は
(事業費×3分の2)+(人件費×3分の2)=合計金額(上限300万)
となります。区分ごとに3分の2をかけて合計金額を算出します。人件費のみを申請することはできません。
4.申請書の作成
申請書はTOKYO創業ステーションHPからダウンロードします。
5.申請から助成金支払いまでの流れ
申請書を提出したあとの流れは以下の通りです。何点か注意点をご説明します
[申請書提出後の流れ]
(1)申請書提出方法
郵送(簡易書留、一般書留、レターパックプラス(赤色)のいずれか)による また同時にWEB登録も行う必要があるので忘れないように。
(2)面接審査
書類審査に合格すると面接審査に進みます。面接は、代表者(申請者)ご本人が行い、代表者以外の方の入室はできません(例外として共同経営による登記上の共同代表者のみ入室可能)。申請書を外部のコンサルタントなどに丸投げして作成すると当日質問に答えることができません。大変でも申請書はご自分で作成する必要があります。
(3)完了報告
助成対象期間の終了後、事業実績の報告が必要となります。実績報告の確認書類として、「助成対象経費部分のみの金額と内容が特定可能な」見積書、契約書、納品書等の書類が必要となります。そのため、助成事業に関する経理事務については、収支を記録するとともに、助成事業以外のものと区別して管理する必要があります。
(4)継続支援
助成事業の完了した年度の翌年度から起算して5年間、助成事業の実施状況について、毎年報告書を提出する必要があります。またどの助成金でも同じですが助成金で購入した財産を勝手に販売、処分してはいけません。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。スタートアップでは多額の資金が必要となります。補助金・助成金をあてにした開業はもちろんNGですが、資金調達のバリエーションを広げておくことは創業にとって大変有用です。また、東京都創業助成金はこれから創業される方だけではなく、既に創業された方も対象となりますので、使い勝手のよい補助金と思います。
補助金対象者は、現在、あるいは過去に東京都創業支援策を受けたかたが対象になります。まだ一度も東京都の創業支援を受けられたことのない方は、一度お近くの市区町村役所に問い合わせをされて、創業スクールに参加されてみてはいかかでしょうか。要件を満たすことができると同時に新しい世界が広がるかもしれません。今回の申請に間に合わなかった方、今後の開業を備えて一度じっくり検討されてみてはいかがでしょうか?
※本補助金は過去春と秋に募集がありました。現時点では令和2年度の創業助成金について公表はありません。下記のURLからこまめに情報収集をお願いします
お問い合わせ先
【 (公財)東京都中小企業振興公社 創業支援課 創業助成係 】
〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル低層棟2 階
TOKYO 創業ステーション
TEL :03(5220)1142
e-mail:sogyo@tokyo-kosha.or.jp
【URL】
[東京創業ステーションHP]
(http://www.tokyo-kosha.or.jp/station/)
(参考文献) 令和元年度(2019年度)第2回創業助成事業【募集要項】
(執筆) 株式会社プロデューサー・ハウス 竹本正人
中小企業診断士
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