連載:第6回 補助金・助成金 活用術
補助金の不正ダメ、ゼッタイ!【その2】不正受給で罰則を受けた企業の顛末
前回は補助金や助成金の不正受給に手を染めるきっかけや、どういったものが不正受給となるのか、また不正受給がバレた場合にはどんな罰則があるのかについて説明しました。今回の【その2】では、前回説明しきれなかった罰則と、実際に罰則を受けた企業の事例を紹介し、不正受給の「ダメ・ゼッタイ」を説明していきたいと思います。
1.まだまだあるぞ!罰則規定
前回の【その1】では
①義務違反に対する交付決定の取消し
②補助金返還命令
③加算金及び延滞金
④懲役や罰金
について説明しました。 これらだけでも充分「ダメ・ゼッタイ」を感じていただけたと思いますが、罰則はまだあるんです。
(1)補助金を他の目的に使っちゃダメ
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(通称:「補助金等適正化法」)の第30 条では以下のような定めがあります。
第30条 第11条の規定に違反して補助金等の他の用途への使用又は間接補助金等の他の用途への使用をした者は,3年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
例えば、「補助金申請時にはA商品を買うとなっていたけど、A商品じゃなくB商品を買おう」「商品を買う予定だったけど、人件費に充てよう」といった行為が該当し、その場合には懲役か罰金、なんならどっちも!となります。
補助金は申請した通りに使用しましょう。
(2) 法人も罰せられる
いわゆる「両罰規定」と呼ばれるもので、不正受給を行った者および法人も罰せられます。 法人には懲役や禁錮などは科しようがありませんから、両罰規定によって法人に科される刑は、罰金のような財産刑となります。「・・・若しくは○○万円以下の罰金に処し・・・」といった規定が該当する、というわけです。
(3)社会的信用の失墜につながる
各種補助金の要綱には以下のような記載があります。
「不正受給を行った場合、補助金の交付取消・返還・不正の内容の公表等を行うことがあります。」
つまり、補助金適正化法に違反となる不正行為が発覚した場合、違反をした事業者の名前が経済産業省のホームページに掲載されることになります。
考えてみて下さい。新たな取引を検討する際には社名を検索し、ホームページを確認することってよくありませんか。 「○○会社」で検索したら補助金の不正受給に関する経済産業省のページがヒットした、なんてなれば、新規取引が水の泡、なんてなりかねません。
参考までに、実際に不正受給が公表されたページを紹介します。
1.「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」において、整備工場建屋の修繕及び設備の取替えに要した経費を過大に精算していた事案について、以下の事業者に対して補助金交付等停止措置を行いました。 なお、この補助金については、既に返還されています。
Ⅰ.対象事業者
株式会社金森自動車整備工場(法人番号73800010048643)
Ⅱ.補助金交付等停止措置期間
本日から12ヶ月(平成30年4月6日から平成31年4月5日まで)
(出典:経済産業省HPより)
(4)雇用関係の助成金は3年間申請停止
厚生労働省系の助成金の不正受給が発覚した場合は、その不正受給に関する助成金が不支給になるだけではなく、今後3年間は雇用関係の助成金は一切申請できなくなります。
2.罰則事例
(1)スパコン会社の例
不正内容:費用の水増し
罰則:代表取締役の詐欺罪での起訴および会社への罰金
スーパーコンピューター開発であるPEZY Computing社が研究開発費を水増しし補助金を不正に受給したというものです。 先にも述べた両罰規定により、PEZY Computing社への補助金交付等停止措置や罰金が行われただけでなく、PEZY社の鈴木社長も詐欺罪で起訴されました。
(2)太陽光発電システム販売会社の例
不正内容:受給要件を満たしていない中での虚偽の申請
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}