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被災企業再建のための補助金活用。被災後、企業がまずやっておくべきこと

BizHint 編集部 2019年10月11日(金)掲載
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日本は世界的にみても災害の多い国です。地震に加え、近年は毎年のように豪雨や台風に見舞われます。そのような災害による企業への被害を放置すれば安定した経済活動を行うことが難しくなるため、国や地方自治体ではさまざまな補助金事業を行うことで、被災企業の再建を支援しています。 いざ被災した時に途方にくれないためにも、「まず何をするべきか」「どのような補助金・助成金があるか」一度チェックしておくのも良いでしょう。

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1.被災した時にまずしなければならないこと

台風、洪水、地震など、企業はさまざまな自然災害のリスクに備えなければなりません。被災したことを想定し、いざというときどのような行動を取るべきか、あらかじめ考えておくことが重要です。

被災した時にまず取るべき行動は生命を守ることです。これは言うまでもありません。そしてその後、被害を乗り越えての再建に取り組まなくてはなりません。再建のために補助金や保険金を活用する場合、 まずやっておくべきことは『記録』 です。

補助金や保険金の申請をする場合は、 どの程度の被害なのか客観的証拠をもとに証明 しなければなりません。大雨などによる洪水や地震に伴う火災が発生すれば、仕入れデータなどが消失する可能性もあります。場合によっては諦めざるを得ないこともありますが、失われた様子だけでも記録しておいて損はありません。

この場合の記録は写真が一番 です。画像加工などが難しいフィルムカメラで撮影するのが一番良いですが、最近ではデジタルカメラが主流のため、フィルムカメラは一般的ではなくなりつつあります。そのためフィルム式の使い捨てカメラなどを、防災用品と一緒に事務所などに用意しておくのが良いでしょう。もちろん手に入らなければ デジタルカメラでも大丈夫 です。

そして写真を撮るタイミングは、 片付けなどを行う前 。被災した直後は室内も荒れているため、まずは片付けを考えるでしょう。しかし片付けてしまうと、被害がどれくらいなのか、第三者が後から判断することができません。 事務所の片付けを行う前に、必ず事務所内の被災状況を撮影 しておきましょう。

もう一つのポイントは、 画角を広めにとる ということです。被害を受けたポイントだけを撮影してしまうと、比較対象物がないのでわかりにくくなります。例えば地震で柱や壁に亀裂が入った場合、その亀裂の大きさは柱だけ撮影しても被害程度がわかりにくいはずです。 比較となるものを一緒に写し、客観的な証拠として残します。

これらは 罹災証明書 を発行してもらう時に必要です。罹災証明書は補助金を申請する際に、提出しなければならない書類の一つです。罹災証明書の発行が始まったら、すみやかに取得するようにしましょう。

2.補助金の額は災害の規模によって異なる

被災後の片づけが落ち着いてきたら再建を考えていかなければなりません。そこで気になるのが、補助金などによってどのくらい被害をカバーできるかということです。 これは災害の規模によってまったく違います。

一部の地域に限定され、被害が少ない災害の場合、補助金の額も小さくなります。逆に 被害が大きく、激甚災害に指定された場合、国は災害復旧事業の補助金を上積みするので、得られる補助金の額は大きくなります。

また、 大規模な災害が発生した場合は、新たな補助金の制度などが設けられる場合もある ので、しばらくは政府や県、市からの情報に注意しましょう。

近年の大規模災害で使われることが多いのが、 グループ補助金 です。

参考:中小企業庁「グループ補助金」
中小企業庁からのご案内/中小企業等「グループ補助金」(平成30年7月豪雨)

グループ補助金とは、 被災した中小企業が、2社以上のグループを作って復興事業の計画を作成して認証を受ける場合、工場・店舗などの施設や生産機械などの設備の復興費用を公費で補助する制度 です。

補助率は最大で3/4と非常に大きく、かつ返済の必要がないため、事業再建の大きな助けとなるでしょう。熊本地震では、熊本県、大分県で516グループが1372億円(1グループあたり2.7億円)の交付が決定しています。ただ、このグループ補助金はすべての地域・災害に適用されるわけではありません。

例えば平成30年7月の西日本豪雨災害では、岡山・広島・愛媛の3県に適用するとし、483億円を充てるとしました。しかし、この豪雨災害では、3県だけでなくその周囲の地域も大きな被害を受けました。周辺地域で被災した場合は、この補助金は適用されません(その後復興支援は1058億円支出されることが閣議決定されました)。

同じような洪水被害であっても、平成27年の関東・東北集中豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、広範囲に被害が発生した災害では、このグループ補助金は適用されませんでした。こうした場合、市や県単位で補助金事業が行われます。この関東東北集中豪雨の際、茨木健結城市などでは罹災証明書を受け、売り上げが減少したと認定を受けた企業に対し、設備費用や運転資金として8,000万円を限度に低利率で融資を行う信用保証料補助事業や、50万円を上限とする中小企業等事業継続資金補助金などを行っています。

3.まとめ-補助金額がどのくらいか被災してみないとわからない

日本は災害が多いため、その復興ノウハウが蓄積されており、諸外国と比べると補助金なども手厚いのが特徴です。しかし、得られる補助金は災害によって大きく異なっています。同じ1億円の被害を受けた場合でも、小規模な災害であれば数十万円しか補助金を得ることができません。しかし、激甚災害に指定され、グループ補助金を利用できた場合は、市・県の補助金なども併用することで被害額のほとんどを補助金でカバーできる場合もあります。

ここで問題なのは、被災してみるまでどれくらい補助金を得られるか、正確なことは誰にもわからないことです。それは補助金が事前の計算に入れられないからです。 そのためリスクマネジメントとしては、やはり保険などをメインに活用し、その上で補助金を「足しにする」というくらいの位置付けでいたほうが良いのではないでしょうか。

俗にいう補助金太りという皮肉も、相当の規模で被災したからであり、やはり備えあれば憂いなし、しっかりと対策をしておくということが重要です。

監修:長谷川祐也(中小企業診断士/経営学修士)
執筆:リカル

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