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戦略・経営

2019年11月27日(水)更新

「早く競合を」乞われて遺体衛生保存の寡占市場に参入し、すでにシェア50%。ヒントは目の前の困り事に

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水・土・空気の状態を改善する「環境事業」を、化学薬品の力で進めている島田商店。1984年に水質改善事業をスタートし、土壌汚染物質の分解、光化学スモッグの原因となる窒素酸化物(ノックス)の分解など、化学薬品の製造・販売であらゆる環境の改善に取り組んでいる会社です。 環境改善と化学薬品という単語は一見結びつきませんが、たとえばプールや温浴施設は塩素等による殺菌が必須で、記憶に新しい豊洲市場の土壌改良も、汚染物質を化学薬品で浄化することで実現しています。 1928年、墨田区で創業した島田商店は、皮革の塗料販売から始まり、だるま用の塗料と原料で圧倒的なシェアを持つ会社として事業を続ける中、環境事業に活路を見出すといった形で大きな変化を繰り返してきました。現在、3代目社長として同社を率いる嶋田淳さんも、社長就任以前からさまざまな新規事業に取り組み、業績を伸ばし続けています。新規事業の種を見つけ出し、育てるために嶋田さんが心掛けていることはいったいなんでしょうか。中小企業が変化を続けるための秘訣を伺ってきました。

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株式会社島田商店

代表取締役社長 嶋田淳さん

大学卒業後、経営学を学ぶため3年間渡米。NYで在学中9.11同時多発テロにより帰国。2002年、株式会社島田商店に入社。配送部、製造部で5年間経験を積み、営業部の頃から「お客様のお困りの声」を製品化し始める。2014年7月代表取締役に就任。2010年第二工場、2013年茨城営業所、2015年インキュベーションセンター両国メルティングポット、2018年7月から第三工場立ち上げを行う。


別件で葬儀屋さんを訪ねると…突然の悩み相談から生まれた新規事業

――近年チャレンジされた新規事業について教えてください。

嶋田淳さん(以下、嶋田): 当社では2年ほど前から「エンバーミング(遺体衛生保全)」に使う専用薬品を取り扱っています。エンバーミングとは、血液と(防腐剤)薬液を完全に入れ替えることで衛生的にご遺体を保全し、さらにご遺体の状態を整えられる技術です。今はいろいろな種類の薬品があって、痩せてしまった方をふっくらとさせたり、お顔の表情を明るくしたりできるようになっています。

――確かに防腐効果をもたらす薬剤は化学薬品ですが、どのようなきっかけでエンバーミングに進出しようと思われたのですか?

嶋田: 実はまったくの偶然から始まりました(苦笑)。墨田区の後継者塾で知り合った後輩が脱脂綿を製造販売する会社を経営しているのですが、次の展開について相談を受けたんです。何でもいいからヒントが得られないかと。そこで、二人でお取引のあった葬儀屋さんに飛び込みました。

すると、葬儀屋さんから「エンバーミングという、ご遺体の衛生保全のための処置方法があるんだけどいろいろ問題があって……」と逆に相談されたんです。悩みを整理すると、防腐用薬液を日本に輸入している会社が1社しかないために起こる問題ばかりでした。

  • 競合がいないので薬液の価格が高止まりしている
  • 劇物に指定される薬液があり、一時保管のためには資格が必要
  • 輸入品なので、天候やストライキなどの影響で輸入の予定と納期が読めない
  • 在庫切れを懸念して大量に輸入するが、置く場所に困る

「脱脂綿、全然関係なくなったよ……」と二人して戸惑いましたが、 「当社が90年間培ってきた薬品の製造技術と配送網が活かせるかもしれない……」と感じたこともあり、エンバーミングについて勉強してみることにしました。

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