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連載:第31回 躍進する企業の転換点

「この会社はおかしくなっている」からはじまった社内改革。社員の意識を変えたリーダーが貫いたこと

BizHint 編集部 2025年4月16日(水)掲載
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2023年度は創業以来初となる売上高100億円を突破。北海道を拠点に作業服・仕事用品チェーンを54店舗展開しているハミューレ株式会社。「ワーク業界のセレクトショップ」として、現在は業界2位という地位を築き上げています。しかし、代表取締役の武居秀幸さんが社長に就任した当時、店舗数は13店舗。外部要因の影響もあり営業赤字という厳しい状況だったそう。武居社長は、自社に根付いていた「顧客第一主義」こそが経営危機に陥った原因だと気づきます。一体それはなぜなのか?そこから組織をどう変えていったのか。100億企業にいたる道筋を伺います。

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「顧客第一主義」が会社の成長を妨げていた

——2005年の社長就任当時は、外的要因もあり苦しい時期だったそうですね。

武居秀幸さん(以下、武居): はい。2001年に発足した小泉政権の公共事業費削減により建設業界全体が縮小し、当社のメインのお客様である建設業の方々の需要が減少していました。既存店の売上が落ち込み、新店舗も赤字が続く状況で、店舗の閉店やリニューアルを進めましたが、2007年には営業赤字に転落してしまったのです。

ただ、経営危機に陥ってしまった理由については、先ほど述べた外部要因以外にもありました。その最たるものが、「顧客第一主義」の風土です。

――「顧客第一」という考え方は重要であり、一見正しいように見えます。なぜその風土が経営危機をもたらしてしまったのでしょうか。

武居: 「顧客第一」は、もちろん大事な考え方です。当社にずっと根付いていた風土ですし、私も入社してからずっとそれが正しいと思っていました。問題だったのは、 組織全体でそれが“行き過ぎてしまっていた”こと なんです。

――詳しく教えてください。

武居: きっかけは、ある販促企画の失敗からでした。店舗では、来客数を増やすためにさまざまな施策を打ち出していました。7時からの早朝オープンや、「地域最低価格」の実現など…。

その中のひとつ「ポイント2倍キャンペーン」が大問題でした。これは、他の小売店でもあるような「ポイントが2倍貯まる」というものではなく、「貯まったポイントを2倍換算で使える」というもの。当社では大口の購入などは8%もポイントがつくケースがあり、そうすると実質16%還元になるわけですから、お客様にとっては大変お得なキャンペーンでした。

しかし、実施後の月次決算を見て青ざめました。このキャンペーンで使われたポイントが、とんでもない額の販促費となって計上されていたのです。

これはまずい…。私はすぐさま店舗を統括している専務や現場の社員に話をしにいったのですが、彼らの反応が衝撃でした。私は危機感を持っていたのに、彼らは「失敗かもしれないけど、お客様は得をしたからいいじゃないですか」という答えだったんです。

この瞬間、 「この会社はおかしくなっている」 と強く感じました。

会社の数字は大損害とも言えるものなのに、お客様が得をしていれば、それでいいというのです。振り返ると当社では、お客様のために必要以上に価格を下げる、過剰な手間をかける、(社員が無理をしてでも)便利にするといったことが常態化していました。

それまで私も、お客様を大切にすることは絶対的に正しいことだと信じていました。しかし、その 「顧客第一主義」こそが会社の成長を妨げていた のだと気づいてしまったのです。衝撃的でしたね…。

そこから、私が徹底して貫いてきた方針があります。それは、当社において決定的に足りなかったものであり、この方針に基づき変化してきたことが、100億企業への足掛かりになったと考えています。

――それはなんでしょうか?

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