連載:第71回 総合
「106万円の壁」担当者54%が業務負担増を懸念 最多意見は「従業員からの問い合わせ対応急増」


「106万円の壁」の見直しは、パート・アルバイトなどの短時間労働者の就業環境に大きな変化をもたらす一方で、企業の人事・労務部門にとって業務負担の増加という新たな課題を生み出しています。近年、少子高齢化や人手不足の深刻化を背景に、多くの企業が労働力の確保と柔軟な働き方の推進を模索しており、社会保険の適用拡大や賃金体系の見直しが求められる状況となっています。

「106万円の壁」の影響を受ける可能性がある企業は、約65%に上る
jinjer株式会社は、企業の経営層・人事担当者の計360名を対象に「年収の壁見直しに伴う業務負荷」に関する調査を実施しました。
「106万円の壁」の影響を受ける可能性があるパート・アルバイトが、どの程度いるかについて質問したところ、「一部いる(39.4%)」、「半数程度いる(15.3%)」、「多くのパート・アルバイトが該当する(10%)」を合わせて約64.7%に上ることがわかりました。
勤務先の「給与計算」「年末調整の書類収集方法」「年末調整の計算方法」について質問したところ、それぞれの回答で「クラウドシステム」が最も多くの回答を得ました。
「106万円の壁」に該当した従業員の社会保険を変更する上で、重要な業務の一つである「社会保険手続きの申請方法」について質問したところ、最も多かった回答は「e-Gov対応のクラウドシステムから申請(21.9%)」でした。
「106万円の壁」見直しで業務負担が増加すると考える担当者は約54%
「106万円の壁」の見直しに伴い、今後業務負担が増加すると考える担当者は「大幅に増える(12.5%)」、「やや増える(41.4%)」の合わせて53.9%という結果になりました。
一方で「変わらない」と回答した企業は26.9%、「業務が減る」と考える企業は「やや減る(3.6%)」、「大幅に減る(2.2%)」を合わせて5.8%という結果でした。
「106万円の壁」への対応に向けて、負担が増加すると思う業務として、最も多くあった意見は「従業員からの問い合わせ対応(39.4%)」でした。次いで「給与計算ミスがないかの確認(36.4%)」、「パッケージソフトや自社システムの法改正対応(30%)」、「年末調整の書類チェック/計算(29.4%)」という結果になりました。
現在多くの企業が給与計算や社会保険手続きをクラウドサービスで効率化していますが、今後は法改正に伴う従業員の疑問や不安に対して、迅速かつ的確に対応できる体制の構築が求められます。特にパート・アルバイトの約65%が影響を受ける可能性がある中で、適切な情報提供や制度変更への対応が不可欠です。
調査概要
調査概要:「106万円の壁」見直しに伴う業務負荷に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年2月19日~同年2月22日
調査対象:企業の経営層・人事担当者の計360名
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000370.000089626.html
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