連載:第70回 総合
生成AIを導入したグローバル企業の51%で売上10%以上増。一方、日本では課題も


LinkedInの最新調査では、過去2年間で生成AI(GAI)を導入したグローバル企業の51%が、売上を10%以上増加させたと報告するなど、AIをいち早く活用した企業ではその投資が既に成果を上げています。一方、日本ではこの変革を最大限に活用するためのスキルが不足している可能性があることが明らかになりました。

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日本の労働市場におけるスキルギャップの拡大が深刻な課題に
世界では経営者層の88%が2025年に向けてAIの導入を戦略的優先事項として位置づけています。2030年までに同じ職種で必要なスキルの70%が変化すると予測される日本でも、AIによるイノベーションと成長の機会を最大限に活かすためには、スキルアップへの迅速な投資が不可欠となっています。
他方で、日本の就業者の58%は現在スキルアップやリスキリングに取り組んでおらず、51%は2025年に競争力を維持するために新たなスキルを学ぶ予定がないと回答しており、スキルギャップの拡大が顕在化しています。
この影響は企業の採用活動にも表れており、勤務先の採用及び人材開発及に関して、HRの意見として、下記回答が得られました。
- 「求職者が有するスキルと、企業が求めるスキルの間にはギャップがある」(60%)
- 「勤務先の企業は、人材開発に必要なメンター制度やキャリアコーチングを十分に提供していない」(47%)
特に採用が困難なスキルとして下記を上位として挙げており、日本の労働市場において企業が競争力を維持し成長を続けるためには、スキルギャップの解消に向けた具体的な施策が求められています。
なお、「採用が困難だと感じるスキルはどのようなスキルですか」と質問したところ、下記回答が得られました。
- リーダーシップ・マネジメントスキル(49%)
- コミュニケーションや問題解決といったソフトスキル(35%)
- ソフトウェア開発やエンジニアリングなどのテクニカル/ITスキル(26%)
さらに、日本企業が必要なスキルを持つ人材を外部から確保することが難しくなる中、多くの企業が社内の人材育成に注力し、必要なスキルを内部で構築する動きを強めています。実際、日本のHRからは今後の動きとして下記回答が得られています。
- 「AI、サステナビリティ、ソフトスキルなどの分野における従業員のスキル向上を2025年の優先事項として掲げている」(66%)
- 「継続的な学習とスキルアップの支援が従業員の定着戦略にとって不可欠であると認識している」(98%)
調査概要
[調査概要]
「LinkedIn C-suite Research」および「LinkedIn Consumer and Global HR Professionals Research」
[調査方法]
YouGovおよびCensuswideによるオンライン調査
[調査期間]
LinkedIn C-suite Research:2024年11月26日~12月13日
LinkedIn Consumer and Global HR Professionals Research:2024年11月27日~12月16日(消費者調査)/2024年11月28日~12月18日(HR専門家調査)
[調査対象]
LinkedIn C-suite Research:9か国(オーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、シンガポール、アラブ首長国連邦、アメリカ、イギリス)における従業員1,000名以上の企業の最高経営責任者(CEO)、最高人事責任者(CHRO)、最高マーケティング責任者(CMO)、最高収益責任者(CRO)、最高技術責任者(CTO)1,991名
LinkedIn Consumer and Global HR Professionals Research:調査対象国(イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、インド、スペイン、ブラジル、アイルランド、オランダ、シンガポール、日本、スウェーデン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、オーストラリア、インドネシア、イタリア)における消費者 22,010名およびグローバルHR専門家 8,035名
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