連載:第69回 総合
改正電帳法の完全義務化から約1年、「逆に経理業務の手間が増えた」と答えた企業は59%
経理のデジタル化促進を目的に、電子帳簿保存法が2020年1月に改正されました。2024年1月からは「改正電帳法」として完全義務化され、事業者は電子取引のデータ保存が義務となっています。2023年10月にはインボイス制度もスタートしており、2024年は経理業務に大きな変化が起きた1年でした。
電子帳簿保存法への対応状況を教えてください。(2024年1月時点)
改正電帳法に比べてインボイス対応は安定
電子帳簿保存法への対応状況を教えてください。(2024年11月時点)
NTTデータビジネスブレインズでは「改正電帳法およびインボイス制度」に関するアンケート調査を実施。中小企業の経理業務に携わる企業(ClimberCloud導入企業)116社が回答しています。
まず完全義務化直後の「電子帳簿保存法への対応状況(2024年1月時点)」を聞くと、「電子取引のみ対応」47%、「電子取引/スキャナ保存ともに対応」39%でしたが、「未対応」14%と間に合わなかった企業のあったことが判明しました。
ほぼ1年後の「電子帳簿保存法への対応状況(2024年11月時点)」では、「電子取引/スキャナ保存ともに対応」が48%まで増加。「未対応」企業は5%まで減少しています。
2024年1月以降、経理業務は効率化されましたか?
次に「改正電帳法の完全義務化で経理業務が効率化されたか」を聞くと、「逆に手間が増えた」と答えた企業が59%と最も多く、「かなり効率化された+ある程度効率化された」は17%にとどまります。
自由意見では肯定的な企業からは、「ペーパーレス化が進んだ」「郵送するものが減った」といった声がありましたが、否定的な企業からは、「取引先が紙ベースでスキャンして保存する手間が増えた」「既存の作業に加えて導入した新システムでの作業が増えた」「システム登録後の確認・修正作業が増えた”といった声があがっています。
「インボイス制度」への対応時期を教えてください。
次に2023年10月に導入された「インボイス制度」への対応時期を聞くと、「2023年10月より前」74%、「2023年10月以降」24%、「導入していない」2%となりました。改正電帳法に比べてインボイス対応は規模が小さいため、多くの企業で事前準備ができていました。
インボイス制度当初、請求書の発行や受取時のミスやトラブルは発生しましたか?
さらに「インボイス制度当初、請求書の発行や受取時のミスやトラブルは発生しましたか?」と聞くと、「まったく発生しなかった」21%、「ほぼ発生しなかった」40%、「若干は発生した」36%、「頻繁に発生した」3%となりました。具体例としては「適格請求書発行事業者登録番号をすべて確認する手間がかかる」「税金の振り分けが大変」「注文後に適格請求書を発行できないお店がある」「正しい記載方法が分かっていない事業者が多い」「導入前の準備不足が目立った」といった声があがりました。
調査方法
調査期間:2024年11月18日~28日
調査方法:インターネット調査(調査機関:クロス・マーケティング)
調査対象:ClimberCloud導入企業
調査企業数:116社(全国)
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000103389.html
https://www.nttd-bb.com/about/news/inf20250115.html
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