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メンターとは?メンターの意味と役割はなんなのか?

BizHint 編集部 2017年2月28日(火)掲載
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今、メンター制度が人材育成手法として注目されています! 環境が目まぐるしく変わるビジネスシーンでは、自発的、自立的な人材が求められます。 一方、新入社員のような経験が浅い人にとって、「何を、どのようにしたらいいのか」は、なかなかわからないものです。また、起業など、新たなことにチャレンジする人たちにとって、成功までの道のりにはさまざまな課題や失敗の可能性があります。 本記事では「メンターとは?」「メンターが果たす役割とは?」「メンターに求められるあり方やスキルは?」など、メンターの意味や役割、必要な能力について解説します。

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メンターとは

メンターとは、広義では仕事や人生における「指導者」「助言者」「教育者」「理解者」「支援者」のことを指します。一方、企業におけるメンター制度では、先輩社員が新入社員や後輩の「日々の業務や精神的なサポートをする制度」と捉えられています。

メンターの由来は

メンターはもともと、「オデュッセイア」という、古代ギリシャの長編叙事詩の中に出てくる「Mentor(メントール)」という人物に由来しています。Mentorは、オデュッセイアに登場する王の教育や助言を与える賢者でした。 その後、Mentorは英語で「メンター」と呼ばれるようになり、仕事や人生をよりよくするための支援者として、対象者への指導や助言をする人のことを指すようになりました。

メンターとメンティ

「メンター」とは、支援が必要な人に対して指導や助言をする人のことを指します。一方、メンターから指導や助言を受ける人を「メンティ」と言います。企業の中で当てはめてみると助言を行う先輩社員が「メンター」、助言を受ける新入社員が「メンティ」といえます。

広い活躍分野とメンターの担う役割

メンターとはどのような分野で、どのような役割を担う人のことを指すのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

メンターの活躍分野

メンターの活躍する分野は多岐に渡ります。なぜなら、メンターは目の前の業務課題のみならず、仕事や人生という、非常に大きなテーマを扱う支援者だからです。たとえば、次のような分野でメンターは活躍します。

  • ビジネスで成功したい起業家や経営者といったエグゼクティブへの支援
  • キャリアに悩む新入社員や中堅社員といったビジネスパーソンへの支援
  • 女性やLGBTなどのような多様性を持ったマイノリティーに対する、社会への受け入れ支援

このように、メンターは仕事や人生、地域社会まで、さまざまな分野で支援の手を差し伸べます。 一方、企業で行われているメンター制度では、主に新入社員や後輩が一人前になるよう、「日々の業務のサポート」「具体的な行動や仕事のやり方を模倣・学習するロールモデル」として活躍します。

メンターの役割

メンターの活躍分野が多岐に渡る分、役割も多様です。メンティ一が抱えるそれぞれの課題に対して、状況に応じた支援をします。たとえば次のようなものがメンターの役割です。

  • メンティ―が実現したい目標やゴールの明確化
  • 目標やゴールに対する現状の把握
  • 目標と現状のギャップを埋めるために必要な行動計画の立案
  • 行動に対する行動支援・アドバイス。経験が少ないメンティへのロールモデル
  • 課題や問題を抱えたときのモチベーションやメンタル面のサポート

コーチとの違い

メンターに近い言葉に「コーチ」があります。コーチとメンターは何が違うのでしょうか。共通点と違いを挙げてみました。

共通点

  • 対象者が自身で考え、自発的に行動できるような後方支援
  • 一方的なアドバイスはせず、必要なときのみ

違い

  • コーチは業務やプロジェクトなど短期的な支援、メンターは仕事や人生など中長期的な支援
  • コーチの対象者は目標が明確、メンターの対象者は目標設定も含めて支援
  • コーチは目標に対する行動を支援、メンターは行動に加え、価値観や使命感、悩みや精神面も支援

なお、コーチの中には、メンターの役割を果たしている人もいます。

メンターに求められるもの

求められる分野や役割が多岐に渡るメンターには、次のような能力が求められます。

仕事やビジネスで成果を出した実務経験

行動や仕事のやり方を模倣・学習する対象として時にロールモデルを担うメンターには、自身が仕事やビジネスで成果を出した実務経験が求められます。実務経験は、成功体験だけではなく失敗体験も含まれます。失敗経験があるからこそメンティの気持ちが分かり、その時々で必要な支援につながります。

コミュニケーション能力

メンターにはコミュニケーション能力が必須です。コミュニケーション能力には、気軽に相談できる話しやすさや傾聴力、気づきを与え、課題を解決するために必要な行動を自身で考えるように促すコーチング力、仕事のスキルやテクニックを分かりやすく伝える伝達力、落ち込んでいるメンティを勇気づけ、「この失敗は、成功する人が歩むプロセスだね」のように、肯定的に捉えさせるカウンセリング力などがあります。

俯瞰的、客観的な物事の捉え方

物事が上手くいかないときや悩みを抱えているとき、人は感情的になり、視点が狭くなりがちです。メンティに最適な助言をするためには、状況を広い視点で観察し、問題点を整理しながら、適切なアドバイスができる俯瞰的、客観的な物事の捉え方が必要です。

「人の成長を支援したい」というメンタリティ

メンターが「指導する」「アドバイスをする」という視点に立っていると、ややもすると上から目線になったり、「私が新人だったころは……」のように、自身の経験を押し付けたりしてしまいがちです。メンターは、メンティが自発的に物事を考え、行動できるよう、自分のことは脇に置いて、「人の成長を支援したい」というこころもちやメンタリティが求められます。

メンターになるメリット

メンター制度によってメリットを享受できるのはメンティだけではありません。メンターを経験することによって、次のようなメリットがあります。

リーダーとしての指導力が身に着く

メンターは、メンティの話を聞いて状況を把握し、動機づけたり、自発的な行動を促したりします。また、メンティのロールモデルとして、自身の考え方や行動を示すこともあります。このような経験を積むことで、自発的な人材を育てるコミュニケーション能力や、リーダーとしての指導力が身に着きます。

チームの重要性が理解できる

メンター制度は、「自分一人で結果を出す」のではなく、メンティが結果を出すように支援するパートナーシップです。メンティが育つとチーム全体の戦力が上がり、業務の成果を出しやすくなるため、メンターはチーム一丸となって仕事に取り組むことが業務上重要であることを理解できます。また、メンティや人が、チームが成長し、結果を出す喜びを味わえます。

物事を俯瞰的に見る能力が身に着く

メンターはメンティの状況や思考、感情などを客観的な立場で観察します。第三者視点で観察するからこそ見えてくる課題や解決策があります。メンターの経験を重ねることで、物事を俯瞰的かつ客観的に見る能力が身に着きます。

指導経験が自身の学び、キャリアになる

自身が持っている技術や能力を言語化し、第三者にアドバイスをしたり、指導したりするのは容易ではありません。メンターの経験で最も成長できるのはメンター自身です。社内メンターとして関わればキャリアアップにもなるでしょう。また、管理職やリーダーとして人事評価の対象になることもあります。

メンターになるには

メンターには、どのような人がなるべきなのでしょうか。また、資格が必要なのでしょうか。

メンターはだれがすべきか

前述のように、メンターには実務経験やあたたかい人柄、優れたコミュニケーション能力が求められます。そのため、知識さえあれば「誰もができる」というわけではありません。メンターに最も適しているのは、成功、失敗を含めた、豊富な人生経験を積んでいる人です。 一方、企業におけるメンター制度はそこまで広義ではなく、職場の上司や業務経験を積んだ若手社員、社外の専門家などが行います。そこで、それぞれがメンターになる際のメリット・デメリットを見てみましょう。

上司の場合

上司がメンターを務める場合、特定の社員だけではなく職場全体を俯瞰的に見ることになり、チームとしての結果を出しやすくなるメリットがあります。一方、上司という立場上、指示命令型で一方通行のコミュニケーションになりがちなため、メンティの自発性を損ねてしまう恐れがあります。支援者としてのメンタリティが求められます。

業務経験を積んだ若手社員の場合

業務経験を積んだ若手社員がメンターを務める場合、新入社員や後輩にとっては、日々の業務に対する分かりやすいロールモデルとなるほか、リーダーとしての指導力やメンタリティを養えるメリットがあります。一方、立場に上下関係が少ない分、メンターが指導しきれなかったり、メンティに甘えが見られたりするデメリットがあります。

社外の専門家の場合

社外の専門家がメンターを務める場合、コミュニケーション能力などのトレーニングを積んでいるため、専門的な支援が得られます。また、社外だからこそ、客観的な立場からの支援を受けられるメリットがあります。一方、社外の人だけに業務内容まで踏み込めず、ロールモデルとしては機能しにくいデメリットがあります。また、コストや機密保持などの課題もあります。

メンターの資格

メンターになるためは、特別な資格があるわけではありません。民間団体が発行している認定資格はありますが、「この資格があればOK」というものでもありません。 一方、前述の通りメンターには幅広い経験や能力が求められます。したがって、民間資格取得の過程で得られるスキルは役に立つことでしょう。

メンターはどうすればいいか

メンターがメンティとかかわる際、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。

メンティとのかかわり方

メンターには「指導者」「助言者」「教育者」という意味もありますが、「教えてやる」という指示・命令型では自発性は育ちにくく、モチベーションも上がりません。

リーダーとして「先頭に立って導く」というよりも、メンティが自発的に物事を考え、自らの力で目標を達成したり、課題を乗り越えたりできるよう「後方から支援」します。 メンタリングテクニック メンタリングは、次のようなステップで行います。

境遇をともにしてメンティとの心の距離を縮める

まず、境遇をともにしてメンティとの心の距離を縮め、信頼関係を作ります。

例えば、メンティが何らかの課題で悩んでいるとき、「そんなことじゃダメじゃないか」のように、上から目線で関わろうとすると、メンティとの心の距離が離れてしまい、モチベーション低下の原因になります。

そこで、「初めてのことだと、失敗することもあるよね」「こういうときは落ち込むよね」のように、メンティが体験している境遇に合わせながら心の距離を縮め、信頼関係を築きます。

「この人なら分かってくれる。信頼できる」という関係を築くことで、メンターの助言やアドバイスを受け取ってもらいやすくなります。

メンティを望ましい姿にリードする

次に、メンティを望ましい姿にリードします。

望ましい姿にリードするためには、「助言やアドバイスをする」「手本を見せる」「解決策を自身で考えるように促す」などさまざまな方法がありますが、できるだけメンティ自身の力で課題を解決できるようにします。

例えば、自分の力で解決策を考えるよう促すためには、「この課題を解決するためにはどうすればいいと思う?」のように問いかけると、考えるきっかけを作ることができます。

また、「この失敗がとてもいい経験になるんだ」「上手くできたときのことをイメージしてごらん。どんな気持ちになると思う?」「これをクリアできれば、もっとよくなるよ」のように、メンティを動機づける言葉をかけ、行動の後押しをします。

メンター研修

メンター育成研修を行っている会社とプログラムをいくつか紹介します。

株式会社インソース

メンター研修は、社内で、新入社員や後輩を育成するためのメンター教育です。メンターの役割や心構え、メンタリングのポイント、コミュニケーションスキルなどを学ぶことができます。

【参考】【研修セミナー公開講座】メンター研修- 株式会社インソース

PHP人材開発

「メンタリング」で共に成長する新入社員指導・支援の実践コースは、新入社員の指導をする若手から中堅社員のためのコースです。新入社員の「仕事への動機づけ」「やる気の高め方」など、自ら考え行動できる「自立型社員」へと育てるための指導・支援の仕方を実践的に学ぶことができます。

部下育成のためのメンタリングとOJTという手ごろな価格のeラーニングもあります。PC、スマートフォン、タブレットを使い、隙間・細切れ時間で学習することが可能です。部下を育てるために必要なことや、OJTとメンタリングの違い、メンタリングに必要な考え方を学ぶことができます。

【参考】新入社員指導・支援の実践コース / 公開セミナー・研修 / PHP研究所
【参考】部下育成のためのメンタリングとOJT / eラーニング / PHP研究所

まとめ

  • メンターとは、仕事や人生における「指導者」「助言者」のこと。ビジネスシーンでは、新入社員や後輩の「日々の業務や精神面をサポートする人」
  • 必要な役割は情報の共有や結果を出すためのアドバイス、メンタル面のサポートなど幅広い
  • メンターになると、リーダーとしての指導力や、物事を俯瞰的、客観的に観察する能力が身に着き、キャリアアップにつながる
  • メンターになるためには資格は必要ないが、ロールモデルとなれる実務経験や、コミュニケーション能力が必要

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