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2017年12月17日(日)更新

面接官マニュアル

人材採用のプロセスの中でも最も重要な項目と言えば、面接を挙げる人事採用担当者は多いのではないでしょうか。しかし面接の手法には、定型が無く、担当者ごとにそれぞれ対応しているのが実情ではないでしょうか。本記事では、面接をシステム化し、人材採用を安定的に成功させるための、面接官マニュアルの作成について考えていきます。

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面接官マニュアルを作る目的

面接官マニュアルを作成する上で、前提として「何のために」面接を行うのか、社内できちんとすり合わせておきたいところです。

  • 自社の社風や魅力を伝える
  • 応募者のコミュニケーション能力や、適性を見極める
  • 応募者の「本気度」を探る
  • 応募者に好印象を与え、就業のモチベーションを高める

など、一般的に考えられる内容だけでも数多く列挙できます。

そして、それらの目的を網羅した面接を、複数の面接官が担当しても均質的に行えるようにすることが、マニュアル作成の主要な目的です。具体的に確認していきましょう。

マニュアル作成の目的① 網羅性の確保

先ほど確認した面接の目的を、漏れや抜けがないように、限られた時間で達成するのは簡単ではありません。同じ目的を達成するにも、例えば質問の仕方も様々なパターンがあるでしょう。面接を受ける応募者によっても、話の進み方は異なりますので、網羅性を保つのは余計に難しくなります。マニュアルは、言わばチェックリストのような役割も果たすことができるのです。

マニュアル作成の目的② 選考基準の統一

一口に面接官と言っても、専門職を設けている場合もあれば、通常は別の業務に当たりながら、採用活動時だけ面接を担当する場合もあるでしょう。あるいは役員や経営層が面接を行う場合もありえます。当然、社内での実務経験も異なれば、適性に対する評価軸も異なります。ざっくり言えば、「好み」が異なるはずです。

そんなバックボーンの異なる面接官たちが、自身の価値観に沿って面接を行った場合、選考結果に一貫性が無くなっても不思議はありません。マニュアルによって、一定の基準を設けておくことで、そのブレの振幅を抑えることもできるでしょう。

マニュアル作成の目的③ ルールの共有

面接官が異なれば、採用や選考活動についての法令等の知識にもバラつきがあるでしょう。いくら社内での経験や実績が豊富でも、人材採用独自のルールはあります。

例えば、特に中途採用において注意が必要ですが、年齢や性別等は選考基準としてはならない、などの原則的なルールを把握できていない面接官は、むしろ採用時のリスクを高めてしまいます。あるいは「選ばれる」ための面接官の態度・振る舞いなど、時代や企業風土に即した決め事について、面接官を務める者の認識は統一しておいたほうが良いでしょう。そのためにも、ルールブック的な役割を果たすマニュアルは有用です。

面接官の心構えに関するマニュアル

それでは、実際に面接官マニュアルを作るにあたり、具体的にどのような項目を盛り込むべきか、例を挙げて確認していきましょう。

まずは、誰が面接官を務めるとしても、必ず押さえておきたいのは、面接に対するスタンス、面接に臨む心構えです。この点についてはマニュアルに落とし込むだけでなく、読み合わせを行うなどして認識を共有しておきたいところです。面接官の態度ひとつで、本気の志望者が辞退することもあり得ますし、逆に「一応興味がある」程度の志望者が本気になることもあるのです。

応募者をリスペクトし、礼儀を守る

言うまでもなく、面接の主要目的の一つは応募者の適性を見極め、選考することです。しかし、一方では企業側も応募者に「選ばれる」必要があることを忘れてはなりません。説明会などよりも、ずっと緊密なコミュニケーションを取る場である面接は、自社の魅力を応募者に対して売り込んでいく重要な場であるという意識は必要です。言わば、面接官は社を代表する営業担当者でもあるのです。新しく開拓した取引先に接するのと同じレベルの態度が求められると言えます。

それにはまず、応募者に対する敬意を忘れないという、基本中の基本から押さえておきましょう。「選ぶ」立場の「上から目線」にならないように心がける必要があります。具体的な注意点としても、通常の営業活動時のマナーと同様でしょう。以下の礼儀をしっかりと守っておくべきです。

  1. 服装や身だしなみに注意します。清潔感のある印象を心がけましょう。
  2. 時間を守ります。他業務の合間を縫って、というようなこともあるかもしれませんが、応募者も時間を割いて来社していることを忘れてはいけません。
  3. 話し方や質問内容が、相手にとって不快にならないようにしましょう。必要な質問や、応募者の話の中で気になる点に対しての質問はしますが、高圧的になったりしないよう気をつけたいところです。

また、面接後の結果連絡についても、期限を明確にして厳守することが求められます。 面接官が、しっかりしたビジネスマナーを見せておくことは、それだけしっかりした会社なのだという印象を残すことに繋がります。

心遣いを忘れずに応募者の入社意欲を向上させる

前述のように、面接官の印象によって、採用活動の成功不成功が決まることも充分ありえます。どのような印象づけが有効なのでしょうか。

まずは、ビジネスマナーにも通ずることですが、心遣いは必須項目でしょう。新卒でも中途でも、面接という選考の場に、緊張感なく乗り込んでくる応募者は少ないでしょう。そんな応募者をリラックスさせ、本音を引き出すのも面接官の重要な仕事です。

昔からよくある「圧迫面接」は、基本的には時代遅れと考えて差し支えありません。ストレス耐性を見極めるためという名目もありますが、結果として自社が選ばれなければ意味が無い上に、ストレス耐性以外の適性について、正確な判断をする機会を逸すると考えるのが妥当でしょう。

また、選考を適切に進めるだけでなく、「この会社でなら、自分らしく働ける」という、入社意欲の向上にも直結すると考えたほうがいいでしょう。

給与や勤務時間等、入社後のキャリア形成について正しく伝えることは最低限必要です。しかし、それらは応募者の希望に合わせて柔軟に対応するのが難しい点でもあるでしょう。しかしながら、入社の決め手はそれらの条件面ではなく、面接官の態度や一言であったとする声も少なからずあることは注目すべきです。

これらの点を踏まえた、面接時の態度のポイントは、ぜひともマニュアルに落とし込んでおきましょう。

【出典】エン転職 月刊「人事のミカタ」

面接前の準備に関するマニュアル

実際の面接における注意事項を見てきました。しかし、採用成功に直結する面接は、実は面接室に入る前からもう始まっています。どんな仕事でも、成果を上げるには本番までの準備が重要です。その点にも注意して、面接官マニュアルを作成したいところです。

書類の分析

中途採用の面接を実施する際、通常は履歴書と職務経歴書を受け取っているでしょう。新卒採用でも、Webエントリー時に自己アピールなどを入力、面接時には改めて履歴書を持参してもらう形式を取る企業が多いはずです。応募者がどのように自身を表現しているのか、よく事前に分析しておくことも、採用成功には重要です。

これは面接という直接対面と、書類という間接対面の両面から応募者を見ることで、それぞれの印象に偏らない評価をする意味でも重要なことです。短時間の面接では見抜けない本質が、履歴書にふと現れていることもあるのです。

以下、チェックポイントの例を挙げておきましょう。これはあくまでも一例であり、企業ごとに求める人材像を明確にする中で、実際にどのようにチェックするかは吟味する必要があります。

  1. 事実の相違や矛盾がありませんか。
    例えば生年月日や入学、卒業年月日など、単純な事実におかしいところが無いかは確認し、疑問点があれば面接時に確認したほうがいいでしょう。極端に重要視しすぎることはありませんかもしれませんが、凡ミスには性格がよく表れるので、職種によっては適性を計る指標としても意味があるかもしれません。
  2. 日付や、必要な記入項目の抜けがありませんか。
    1同様に、セルフチェックが苦手な応募者がしがちなのが、記入漏れです。これは注意力という点と、志望の本気度合いを測る指標としても機能するでしょう。ひと昔前と異なり、昨今ではWord等で作成した履歴書を許容するケースも多いようです。そのこと自体は企業の判断に委ねられますが、使い回そうとした結果として日付が抜けていたりすることもありうるので、注意が必要です。
  3. 記入内容の客観性。
    例えば経歴や自己アピールなど、何が書かれているかについ目が行きがちですが、むしろ就業後の姿を想像しやすいのは、「どう書いているか」です。一方的に自身の立場からの目線だけで書いているよりは、それがどのような意味を持つことだったのか、なぜそうなのかを客観的に書けているほうが分析力は高く、視野を広く持てていると言えるでしょう。
  4. 当然すぎることですが、雑すぎたり省略があったりするケースは注意が必要です。
    面接の印象が良いと、ついつい見過ごしがちな点ですが、対面していない時間で、応募する企業に対してどのくらい誠実な態度を取っているか、履歴書はよく表しているのです。

繰り返しますが、これらは一般的な例であり、企業ごとに求める人材像を明らかにした上で、それに見合うチェックポイントを検討してもらいたいと思います。

面接フローの設計

面接の時間だけでなく、応募者と会う日のスケジュールと、その後の業務フローも明確にしておいたほうがいいでしょう。特に中途採用などの場合、来社日の前日にリマインドの連絡をするのも一つの手です。結果、キャンセルとなったとしても、面接官のスケジュールを空けておいて無駄になるよりは意味があります。

来社から面接までに適性検査等を行う企業も多いでしょう。その所要時間等も目安として決めておいたほうが良いと思われます。前述のように、面接官が時間を守って応募者と会うためには、スケジュールの不確定要素を少しでも減らしておくべきだからです。実際には柔軟に対応することも必要ですが、目安がないと面接官のスケジュール管理自体があいまいになってしまいがちです。

そしてもっとも大切なことは、面接後、選考の結果をいつまでにどのように知らせるかを、人事採用担当者全員で共有しておくことです。そのスケジュールは、選考結果を誰が、どのように決定するかと直結しているので、企業ごとの事情で異なるはずです。面接官の権限で決裁できることもあれば、役員等の経営層に報告の上で総合的な判断をすることもあるでしょう。

しかしながら、結果連絡は短いほうがいいことは間違いありません。新卒採用とアルバイト採用では、応募者の待機できる時間にも差が大きいと考えるべきです。新卒採用の場合では、内定が早い順に決めると単純には言い切れません。しかしアルバイト採用ならば「早く仕事を決めたい」という心理はより強く働くと考えられます。中途採用でもそれに近いと思っておくべきでしょう。どのような人材を採用したいのかを考えた上で、極力最短時間で連絡できるようにすべきです。

面接の内容に関するマニュアル

面接の前までにしておくべきことを確認してきました。後はいよいよ応募者と実際に話す段階です。しかし、どのような質問をすべきで、その回答をどのように評価すべきでしょうか。

やはり、それについても事前にある程度まで準備しておくことが望ましく、ある程度までのパターン化をしてマニュアルに落とし込んでおくことは意味のあることです。また、実際に応募者と接する際の態度については、自社のイメージを左右するだけに面接官によって大きくバラつくことがないよう、しっかりと共有しておきたいところです。

質問の設計

企業によって求める人材像は異なります。そのため一概にどんな質問をするかを決めるのは難しいが、一例としてよく知られているSTARモデルを紹介しておきます。

STARモデル

それまでの経験を質問した際の、応募者の返答にあるエピソードを要素別に評価する方法です。要素は4つあります。

  1. Situation (どのような状況だったか)
  2. Task(どのような役割を果たしたか)、またはTarget (どのような結末を目指したのか)
  3. Action (どのような行動を取ったか)
  4. Result (結果はどうだったか、また、それをどう評価するか)

これもまた、「話した内容」や印象に引っ張られすぎないための方策とも言えます。実際の経験がどんなものであるかよりも、その際にどのように行動したのか、それをどのように分析して語ることができるかを評価することができます。

新卒採用であれば、アルバイト経験や部活動などについて、定型の質問を用意しておき、その回答を求める人材像に照らし合わせてどう評価するのか、なるべく明確にしておくことは選考基準のバラつきを抑える効果があるでしょう。中途採用であれば、前職を辞めた理由について同じことが言えます。

まとめると、「何について質問するか」「どのように質問するか」「回答をどう評価するか」という3点について具体的にしておけばいいでしょう。

これは、マニュアルだけでなく、履歴書等を読みながら、応募者一人ひとりに即してしっかりと準備しておきたいところです。また、当然ですが、前提として求める人材像を言葉で明確にしておくほど、実際の面接での回答の評価基準も明確になります。採用成功のカギは、やはり事前準備にあると言えるでしょう。

面接官の態度

最初に述べたように、面接官の態度によって応募者の入社意欲を高めることもできるのです。しかし、逆に言えば意欲の高い応募者に見限られるきっかけにもなるということでもあります。面接時にどのように振る舞うのか、特に管理職や経営層が面接に参加する場合なども含めて、しっかりと決めてマニュアル化しておいたほうがよいでしょう。

これは既存社員の面談時にもよく言われることですが、最初にアイスブレイクと言われる段階を挟んでおくとよいでしょう。緊張で固まった心をほぐす意味で、雑談に近いような話題をひとつ振ってから、面接本番に入るという手法です。

和やかなムードで面接を開始できれば、応募者の本音も引き出しやすくなるでしょう。それは自社の雰囲気に合うのか、総合的な判断をしやすくさせ、就業後のミスマッチを防ぐ効果もあるはずです。応募者に対する敬意を忘れず、ビジネスマナーを厳守することは前述の通りですが、正しく選考するためには、応募者をリラックスさせる態度を取ることも必要です。

そして、まずは面接官から自己紹介をします。通常は面接や採用を担当していないのであれば、社内でどのような業務に当たっているのか説明することは、就業後の社内イメージの醸成にも一役買うかもしれません。

そして、面接後に応募者をどのように見送るのかまで、一定の型を作っておくことが望ましいところです。

面接の評価に関するマニュアル

これまで、面接官がどのように応募者と接するか、システム化してバラつきのない仕組みを作る方法について確認してきました。しかし、そもそもそのマニュアルを作ったところで、その通りに実行できているかの検証ができていなければ意味がありません。すなわち、面接官の評価も必要であるということです。

企業により、誰が面接をするかは異なるでしょうが、採用の成功に結び付かない面接官は、役職がどうあれ適任ではないでしょう。企業ごとの人事評価に関わる事項のため、あくまで参考ではありますが、面接官を評価するポイントについても触れておきます。

  1. 評価がマニュアルに定めた要素を網羅できているでしょうか。逆に言えば、主観に偏りすぎていないかをチェックします。
  2. 身だしなみなどの基本事項が順守できていますか。
  3. 質問等は適切にできていますか。面接は一人で行う場合もあるでしょうが、上司や人事採用の専任者が同席しておくことも望ましいことです。これは面接官の評価だけでなく、複数の視点を入れることで評価の客観性を保持する意味もあるからです。
  4. その面接官が採用した応募者の、入社後の評価との齟齬がないでしょうか。ギャップが大きいようであれば、面接手法に何らかの問題ある可能性もあります。

面接官マニュアルに載せておきたいNGな発言とは

まず、企業にとって採用を成功に導けるか以前に、法令等で定められたルールがあることを把握しておく必要があります。 厚生労働省は「採用選考の基本的な考え方」として以下のように明示しています。

「雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること」

【出典】厚生労働省「公正な採用選考の基本」

面接の場に限りませんが、誰でも受け入れる姿勢を示し、人権を尊重した対応をする必要があります。特に、適性・能力以外を問う質問は、すべてNGとするほうが無難でしょう。

家族情報や本籍地など、いわゆる機微情報にあたることはもちろんのこと、ひと昔前は普通だった「尊敬する人」や「愛読書」なども思想・信条の自由を侵す質問と解釈されますので避けた方がいいでしょう。自社の社風と合うかどうかを図りたくても、トラブルのもとにもなりかねません。

また、当然のことながら容姿についてなどのハラスメントに繋がる質問は、明確にNGワードにすべきでしょう。口にした後、応募者がその企業を選ぶ可能性はほぼないと考える時代です。面接マニュアル以前に、そのような発言が許されるという風土があるならば、そこから是正すべきでしょう。

まとめ

  • 面接は一期一会の場。相手を選ぶだけでなく、自社も選ばれる。
  • 面接の短い時間だけでなく、事前準備が大事。履歴書の確認ポイントや質問についても、マニュアル化して抜けや失敗の無いように。
  • 同じ企業で勤めていても、価値観や個性は様々。複数の面接官が同じ対応ができるようなマニュアル作成をはじめとして、採用活動をシステム化すれば、成功率も高まる。

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