連載:第32回 建設業
2024年4月からスタートする建設業の「時間外労働の上限規制」、準備できている中小企業は2割程度
時間外労働の上限見直しなどを含む「改正労働基準法」が、2019年4月に施行されましたが、建設業では5年の猶予期間が設けられていました。このため2024年4月1日以降は、原則月45時間・年360時間が建設業では時間外労働の上限となります。大きく労働環境が変化する可能性がありますが、建設業の経営層はどこまで準備ができているでしょう?
労働時間上限規制に対し大工工事業は「予定はない・わからない」69.6%
エヌエヌ生命保険が、建設業の中小企業経営者(従業員300人未満の規模)1,100名を対象に行った調査によると、2024年4月からの労働時間上限規制に対して、「すでに適用準備ができている」は22.5%で、「今後適用準備する予定」30.5%を合わせてかろうじて半数を超えました。半数近い残る47.0%は「適用準備や予定はない・何をしていいかわからない」としており、まだまだ準備は進んでいません。
総務省分類に基づく事業種別ごとに見ると、「すでに適用準備ができている」が高いのは「その他の設備工事業」43.8%でした。これらは炉や窯の建設工事や熱絶縁、道路標識設置や井戸の掘削などの工事を行っている業者に当たります。一方、「適用準備や予定はない・何をしていいかわからない」が高いのは「大工工事業」69.6%でした。
労働時間の上限規制を守るには、働き方改革や生産性向上が必須です。そこで、そもそもそういった制度や施策を導入しているかを「週休2日制」「有休取得の推奨」「育児休業制度」などの具体的な項目ごとに聞いてみると、大多数の項目で「導入予定はない」が最多であることが判明しました。特に「現場でのICT技術活用」71.3%、「従業員管理のIT化」56.2%、「書類のペーパーレス化」48.7%など、“人材難”を理由にIT関連が手薄です。
一方で「導入が難しいと思う制度」では「週休2日制」39.4%や「適正な工期の設定」26.5%などが高く、“顧客理解を得られないから”といった理由から非IT項目でも改革が停滞している様子がうかがえます。
なお「人材面の課題」を聞くと、「若手人材の確保・人材の高齢化」46.7%が最も多く、事業詳細別では「とび・土木・コンクリート工事業」69.1%が目立つ結果となりました。この分野の人材難。高齢化は深刻なようです。
調査方法
調査期間:2022年8月5日~8日
調査方法:インターネット調査(調査会社:マクロミル)
調査対象:日本全国の建設業の中小企業経営者(従業員300人未満の規模)
調査人数:1,100人
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000025186.html
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