連載:第28回 メディア・広告
動画配信サービスの認知・利用状況はこの1年でどう変わったのか
株式会社スパコロは、全国の10~50代の6,270名を対象に実施した「動画配信サービス利用率の調査 2022年版」を実地しました。今回は、2021年に実施した動画配信サービスに視点をあてた調査の続編として、その後のサービス浸透状況を調査しています。
動画配信サービス、認知・利用率が上昇したサービスは?
2021年3月から2022年4月で動画配信サービスの認知率にはどのような差がでているのでしょうか。認知率上位から「Amazonプライム・ビデオ」60.0%→68.2%で8.2ポイント増加、「Hulu」55.7%→55.2%で0.5ポイント減少、「Netflix」54.4%→65.4%で11.0ポイント増加、「TVer」47.9%→49.2%で1.3ポイント増加と続いています。
「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」などで認知率が上昇、「GYAO!」で認知率が減少、それ以外のサービスでは大きく変化がないことがわかります。
続いて1年以内利用率の推移では、上位から「Amazonプライム・ビデオ」23.3%→26.6%で3.3ポイント増加、「Hulu」5.9%→4.7%で1.2ポイント減少、「Netflix」9.1%→12.1%で3.0ポイント増加、「TVer」16.0%→19.0%で3.0ポイント増加と続いています。
「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」「TVer」がいずれも3ポイント程度利用者を増やしていることがわかります。
認知率上位2サービスの利用構造について見ると、「Amazonプライム・ビデオ」では、認知率68.2%、利用経験率32.5%、現在利用率26.6%。「Netflix」では、認知率65.4%、利用経験率18.5%、現在利用率12.1%。
また認知から利用経験での歩留まり(トライアル率)では「Amazonプライム・ビデオ」が47.7%、「Netflix」が28.3%。利用経験から現在利用での歩留まり(継続率)では「Amazonプライム・ビデオ」が81.8%、「Netflix」が65.4%という結果に。
認知率において両サービスに大きな差はないものの、「Amazonプライム・ビデオ」の方が認知から利用経験での歩留まりでは19ポイント、利用経験から現在利用での歩留まりでは16ポイント高いことがわかります。同一アカウントで動画配信サービスに限らない様々なサービスを利用できるAmazon独自の強みが離脱の起こりづらさにつながっていることが伺えます。
動画配信サービス選択の重視点は?
動画配信サービス利用者全体の重視点は上位から、『利用料金が安いこと』32.5%、『見たいジャンルの・番組が充実していること』28.8%、『無料見逃し作品が充実していること』28.2%、『追加課金がないこと』24.9%が続いています。
「Amazonプライム・ビデオ」と「Netflix」で差が出て点としては、いずれも「Netflix」利用者で『見たいジャンルの・番組が充実していること』、『観たいデバイスで視聴ができること』、『広告動画が入らないこと』、『動画コンテンツの本数が多いこと』、『国内の作品が充実していること』を重視する人が多いことがわかります。作品の充実度や視聴環境へのこだわりが強い人が「Netflix」を選ぶ傾向があることがうかがえます。
総論
今回は、2021年3月に行った「動画配信サービス利用率の調査」の続編として浸透状況の調査を行いました。調査では、同水準の認知率であってもブランドごとにその利用構造に大きな違いがあることがわかりました。また「Netflix」利用者ではより作品の充実度や視聴環境へのこだわりが強い傾向があきらかになったように、サービスごとに顧客が重要と考える要素に違いがあることもわかりました。
サービス・商品の利用者・購入者の増加を考えるうえでは、その過程でどんな要因で離脱が起こり、どんな要因で継続利用されているのか理解することは重要です。今回の調査のように自社サービスの定点観測を行い、実際には自社サービスがどのように受け入れているのかを確認してみると面白いかもしれません。
調査概要
スパコロ 『動画配信サービス利用率の調査2022年版』
調査方法:全国 10~50代を対象としたインターネットリサーチ
調査期間:2022年4月22日(金)
有効回答数:6,270名
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000045.000060722.html
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