2023年のインターネット広告媒体費、運用型広告が初の2兆円台に

BizHint 編集部 2023年3月28日(火)掲載

電通は1947年から毎春に、前年1年間の広告費について集計した「日本の広告費」を発表しています。2022年の発表によると、コロナ禍やウクライナ情勢による物価高騰があったにも関わらず、総広告費は通年で前年比104.4%の7兆1,021億円となり、過去最高を記録しました。そしてインターネット広告費は3兆912億円と、全体の43.5%に達しています。

インターネット広告媒体費の広告種別構成比

2022年もインターネット広告は堅調成長

CCI／D2C／電通／電通デジタル／セプテーニ・ホールディングスの電通グループ5社は、「2022年日本の広告費」のうちインターネット広告媒体費に焦点を当てた「2022年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」を発表しています。

「インターネット広告媒体費」とは、一般的な「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」と「物販系ECプラットフォーム広告費」を除外したものです。

まずインターネット広告費は、社会のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、前年比114.3%の3兆912億円に達し、日本の総広告費全体の43.5%を占めました。そしてインターネット広告媒体費は、前年比115.0%の2兆4,801億円となりました。広告種別で見ると、構成比が最も高いのは「検索連動型広告」で39.4%。前年比122.2%と大きく成長し、9,766億円に達しています。

インターネット広告媒体費の取引手法別構成比

取引手法別の構成比では、「運用型広告」85.4%が引き続き拡大。2兆1,189億円と、1947年に推定を開始してから初めて2兆円を突破しました。

インターネット広告媒体費の広告種別×取引手法別構成比

広告種別×取引手法別の構成比では、「運用型の検索連動型広告」がインターネット広告媒体費全体の39.4%ともっとも構成比が高く、「運用型のディスプレイ広告」26.0%、「運用型のビデオ（動画）広告」19.9%がそれに続きます。

ソーシャル広告市場

ソーシャル広告の構成比推移

ソーシャル広告の広告種類別構成比

ソーシャルメディアのサービス上で展開される「ソーシャル広告」は前年比112.5%の8,595億円。インターネット広告媒体費全体の34.7%を占めるまでに成長しています。ただし、ソーシャル広告以外が前年比116.3%と伸長したため、ソーシャル広告の構成比は微減となりました。種類別の構成比は、「SNS系」3,675億円（構成比42.8%）、「動画共有系」3,052億円（構成比35.5%）などとなっています。

2023年の予測

インターネット広告媒体費総額の推移（予測）

インターネット広告媒体費の2023年の予測ですが、成長率は下がるものの前年比112.5%と堅調に推移し、2兆7,908億円まで増加する見込みです。

調査方法

調査主体：CARTA COMMUNICATIONS（CCI）／D2C／電通／電通デジタル／セプテーニ・ホールディングス
調査時期：2022年12月～2023年2月
調査方法：（1）インターネット広告媒体社やプラットフォーマーなどを対象としたアンケート調査（web調査）
（2）同、追加ヒアリング調査
（3）各種データ収集・分析

広告種別の定義

・「成果報酬型広告」：インターネット広告を閲覧したユーザーが、あらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告。
・「検索連動型広告」：検索サイトに入力した特定のワードに応じて、検索結果ページに掲載する広告。
・「ディスプレイ広告」：サイトやアプリ上の広告枠に表示する画像、テキストなどの形式の広告。
・「ビデオ（動画）広告」：動画ファイル形式（映像・音声）の広告。
・「その他のインターネット広告」：上記以外のフォーマットのインターネット広告。メール広告、オーディオ（音声）広告、タイアップ広告などを含む。

取引手法の定義

・「成果報酬型広告」：インターネット広告を閲覧したユーザーが、あらかじめ設定されたアクションを行った場合に、メディアや閲覧ユーザーに報酬が支払われる広告。
・「運用型広告」：検索連動型広告、およびデジタル・プラットフォーム（ツール）やアドネットワークを通して入札方式で取引される広告。
・「予約型広告」：純広告やタイアップ広告として、代理店・メディアレップ経由もしくは直接、広告主に販売された広告、およびデジタル・プラットフォーム（ツール）やアドネットワークを通して非入札方式（固定価格）で取引される広告。