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連載:第3回 入山章栄氏 社外経験を通したリーダー育成

「知の探索」に失敗は不可欠。社外経験による人材育成は、企業に覚悟を求める

BizHint 編集部 2017年2月6日(月)掲載
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昨年11月に開催されたNPO法人クロスフィールズ主催「社外経験を通したリーダー育成」より、前回に続いて、パネルディスカッションの模様をレポートします。


パネリスト

独立行政法人国際協力機構(JICA)青年海外協力隊事務局 堀内好夫氏 (JICA民間連携ボランティア制度)

株式会社ローンディール代表取締役 原田未来氏 (企業間レンタル移籍プラットフォーム)

NPO法人クロスフィールズ代表理事 小沼大地氏 (新興国「留職」プログラム)

モデレーター

早稲田大学ビジネススクール准教授 入山章栄氏


入山准教授は基調講演で、企業はどうしても目先の利益を追求して「知の深化」に偏りがちだが、イノベーションには「知の探索」こそが不可欠だと指摘していました。しかし「知の探索」を実行することは、企業に大きな覚悟を求めます。

途上国で働く意味を取り戻す、クロスフィールズの「留職プログラム」

小沼  「留職プログラム」を運営するクロスフィールズを共同創業したのは5年前です。

「留職」というのは留学からきている造語で、現地に留まって職業/仕事をしてこようということを意味します。

私個人としても、国際協力とビジネスを行ったり来たりするキャリアを積んできました。

新卒で青年海外協力隊としてシリアへ2年間派遣、帰国後は外資系経営コンサルティング会社で3年勤務後、共同創業者の松島とNPO法人クロスフィールズを起業しました。

留職プログラムのスキームはJICAの青年海外協力隊に近いですが、JICAが現地の行政機関に多く派遣しているのに対し、クロスフィールズは現地で教育やエネルギーなどの問題に取り組んでいるソーシャルベンチャーやNGOに企業に務める方を派遣し、本業で培ったスキルや経験を活かして、社会課題解決の現場に貢献していただくプログラムをやっています。

例えば、ベネッセで教材編集を専門とする社員の方がインドネシアで教材改善に関わったり、アサヒビールの研究職の方がカンボジアで製品開発に携わっていただいたりと、専門性の高い社員の方に参加していただいています。

そこには、途上国の社会課題解決に対して貢献するという点と、日本企業に対して人材育成をはじめとした価値を提供するという2つの側面があります。

先ほど「企業がボランティアに参加することに何のメリットがあるのか」という話がありましたが、クロスフィールズでは3つのポイントを企業の方に伝えています。

1点目は、途上国の社会課題解決の現場で、派遣された本人が自分で課題抽出とその解決のために取り組むことを決め「修羅場」を乗り越えることが、リーダー育成につながるという点です。

2点目は、現地のニーズを肌感覚で知ることで、そこから新しいイノベーションを起こせるという点、そして3点目は、「働くことの意味」を突き詰める経験を通じてやる気を呼び戻し、戻った会社でその熱を伝播できるということです。

導入企業はこの4年間で28社になりました。

最初は電機メーカーでの導入から始まり、現在はいろいろな業種の企業に利用していただいています。

入山  見ると名だたる大企業が多いですよね。どうやって営業しているんですか?

小沼  大企業によく利用してもらっているのには2つ理由があると思っています。

1つは、幸運にも最初にパナソニックさんに利用していただけたので、「パナソニックがやるなら安心」という印象を与えることができたことです。

そしてもう1つは、やはり 大企業の方が、留職で経験するような環境を渇望している ということです。

大企業は途上国にも駐在事務所を持っていますが、そこが日本人村化してしまっていて、実際の現地の状況を知りづらい状況になっていることも多いです。

また、業務が細分化されているので、働く意味を見失いがちだったりもするようです。

社員が数人から数十人のベンチャー組織では、そうした問題は起こり得ないですからね。

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