【企業向け】新卒採用に最適な適性検査の種類とサービス紹介


就職活動で用いられる適性検査といえば、学生にとっては内定に至るまでの第一関門とも言えるほど重要な選考ですが、よく耳にするSPIをはじめ、対策本が多く出版されていることも事実です。こうなってくると企業が本来評価すべき候補者の仕事への適性はますます見えづらくなるばかりです。仕事あるいは企業に対する適性検査の種類や内容を改めて確認し、適正な採用活動に活かしていきましょう。

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適性検査とは
適性検査とは、一言では「仕事、あるいは企業に対する適性を見るための検査」に他なりませんが、一般的には数学や国語、英語といった学力テストに近いイメージがあるかもしれません。もちろん、こうした学力を数値化することも職務や組織への適性を測るひとつの基準になり得ますが、学力が高い人が必ずしも仕事ができるとは限らないことからも明らかなように、適性検査=学力テストという認識には少し不足があります。
企業が新卒者を採用する際に行うべき適性検査とは、単に学力や知能といった人としての一側面ではなく、
- 人物の全体像を調べられること
- 中でも感情、知能、意欲の3側面を調べること
- 人物像を数値によって測定できること
- 個人ごとの差が明確になる基準で測定すること
これらを満たしてはじめて、適性を判断することができると言えそうです。
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企業が新卒採用で適性検査を用いる理由
企業が新卒採用で適性検査を用いる理由としては、候補となる応募学生を数値によって測定することにより、企業が抱えるいくつかの問題を解決できるためです。
1.人事担当、採用担当の人手不足を解消
特に採用規模の大きい企業の採用担当者ともなれば、1人の担当に対して何十、何百という学生を相手にすることが想定されますが、筆記をベースとした適性検査は同時多数的に実施が可能であるため、個別の対応を軽減する効果があります。
2.担当者間で異なる採用基準用語を統一できる
例えば、「意欲」「やる気」「意気込み」「志望度」など、これらの言葉は企業に対する入社意欲を示す言葉としてほぼ同義のものと考えられます。しかし、採用に関わる担当者によって使用する言葉が異なっていると、それぞれが考える基準が異なってしまう上、社内に多くの評価ポイントが存在することになり、採用活動が複雑化することが予想されます。
適性検査の審査基準を採用基準に用いると、こうした混乱を回避する効果も見込まれます。
3.不公平な評価を排除する
例えば面接試験などは面接官によって評価が変わってしまう危険性が十分考えられますが、適性検査は数値化されたスコアによって評価を行うことが基本となるため、どの担当者が行っても同様の結果を得ることが可能です。
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4.自社の基準に頼りがちな採用から脱却できる
適性検査そのものの多くは、人事系コンサルティング会社など、外部企業によって作成されたものを用いることが一般的であるため、自社の理念や慣習のみで考えがちな人材採用の判断を、一般的かつ客観的な外部意見を取り込んで判断できることにつながります。
企業が新卒採用で適性検査を用いるメリット
新卒採用では、候補者に職務実績がないため仕事に対する適合性が判断しづらく、かわりにその人材の人物像をしっかりと把握することが重要なポイントとなります。
この点において、適性検査は単なるスクリーニングとしてではなく、自社に適した人材を評価するための有効な手法として捉えることができます。
新卒者の採用において適性検査を用いることのメリットは、すなわち候補者の人物像を明らかにできることで、具体的には次のような点が挙げられます。
学生の評価を自己評価ではなく、客観的な基準で判断できる
面接のみで候補の学生を判断してしまうと、学生自身の自己評価で作りこまれた自己PRをもとに判断をすることが求められたり、面接官の個人的な価値観で結果を下してしまったりすることも否定できません。
第三者的な立場による評価基準により、客観的に候補者を評価することが可能になります。
潜在的な性格や、表には出ない仕事への姿勢を把握できる
多くの適性検査では心理学的なアプローチが用いられています。
そのためただ単に検査結果を評価するだけではなく、作業効率や時間配分の仕方、長時間経過後の集中力や正確性など、潜在的な側面でも人材を評価することが可能です。
潜在的なリスクを把握できる
隠れた性格を把握できるということは、すなわち候補者がもつ危険因子を把握すること可能だと言えます。
例えば、選択式の性格検査のいくつかは関連して回答されるべきものがあり、これが矛盾した回答であった場合には、その候補者が適当に回答している可能性を否定できません。
面接で人当たりがよい好印象な人材も、いざデスクワークに近い環境で作業をさせてみたらこうしたマイナス要因が明らかになったということも珍しくありません。
現時点の評価だけでなく、将来のポテンシャルを把握できる
上で見たように、適性検査によって明らかにするものは、現在に関わる知能だけではなく性格や意欲といった将来に影響する点も含まれます。
たとえ現時点でスキルが低いとしても、企業の教育次第で大きく成長しうる可能性を乱すことができるのも適性検査のメリットです。
企業が新卒採用で適性検査を用いる際の注意点
一方、デメリットとはいかないまでも、新卒採用で適性検査を用いる際には以下に注意を払うことが必要です。一言で言えば、適性検査の結果を鵜呑みにしない、ということです。
適性検査の結果によって測れることには限界がある
言うまでもありませんが、一人の人材を数値化されたスコアのみで完全に評価することはできません。
特に学生が本業とする学業とは異なり、仕事ではチームにおける行動の仕方と、その中でのコミュニケーションの取り方が重要な要件の一つですが、こうした定性的な部分までもスコアのみによって評価することは危険が伴います。
採用時には、面接やディスカッションなど、その他の選考結果と合わせて総合的に評価することが必要です。
利用する適性検査によっては、事前の対策が可能
書店の就職活動コーナーに行くと多くの適性検査対策本が並んでいることからもわかるように、特に数的検査や論理検査など、能力検査に関する内容については、事前に対策を組むことができる環境が整っています。
また、SNSの利用が当たり前になっている現在では、検査内容が簡単に共有できるため、後に受ける人材の方が有利になる可能性も想定に入れてくべきかもしれません。
第三者の評価に頼りすぎてしまう
適性検査のメリットの一つは、客観的な目線からの評価を行えることではありますが、自社としてどのような人材が必要かという人物像をあらかじめ決定しておかなければ、単に世間一般の基準で評価が高い人材を見つけ出すだけで、その企業ならではの人材を確保することは難しくなります。
また、その企業、または補充予定の職務の要件を洗い出しておき、そこへの適性を判断するというスタンスでないと、自社にとって優秀な人材を逃すことにもつながりかねません。
検査内容が複雑化し、評価が困難になる
学生にとって事前の対策ができるからといって、大量の質問項目を設けたり、あまりに難しい設問を用意したり、ライスケールなどのギミック項目を多く設置したりなど、検査内容を複雑化しすぎると、採用担当者自身での評価が難しくなることは言うまでもありません。
複数の評価者が見ても同様の評価を下せるような結果を、手間をかけずに得られることに適性検査の価値があることを忘れてはいけません。
新卒採用で用いられる適性検査の種類と内容
学生である候補者の適性を評価する基準としては、先に挙げた通り、感情、知能、意欲の3本柱が想定できますが、これを検査方法として細分化していくと、主に能力検査、性格検査、興味・指向性検査に分けることができます。それぞれの内容は次の通りです。
能力検査
候補者がもつ能力、具体的には知的能力、知覚、作業効率などを評価するための検査で、さらにテストの内容や実施方法に応じて5つに分類することができます。
知識能力テスト
語彙や時事など知識の蓄積量を問うための検査であり、候補者がもつ知識レベルはもちろんですが、特定の業界に関する興味や関心度、取り組み姿勢などをうかがい知ることができる検査と言えます。
一般能力テスト
一般的に「適性検査」でイメージされやすい、数学的な問題や論理を問う設問などを基本に、論理的思考や推理力、知覚の速さなどを診断するために用います。特定の職務に関わらず、業務上必ず必要となる一般的な能力を検査するためのテストです。
A式テスト・B式テスト
問題の内容ではなく、問題の形式によっても人物像の捉えられるポイントは変わってきます。A式テストは文書による問題で読解力や論理的思考能力の把握に役立ち、B式テストは記号や図式を使用した問題で、空間認識能力や知覚の速さを診断することができます。
パワーテスト・スピードテスト
一問当たりが長文、もしくは複雑で回答までに時間を要する形式の場合、課題を解決するための労力や忍耐力、集中力など様々なパワーを評価することができます。一方、比較的容易な問題を多数設けると、一問を解くために正確さを保ちながらスピーディに作業する能力を測定することが可能です。
客観式テスト・記述式テスト
マークシートなど択一型の検査手法を客観式テストと言い、コンピューターによって集計と分析が可能で、客観的な結果を得ることができるなど採用側には負荷軽減につながるものの、適当に回答しても正解しうるリスクがあります。記述式テストは、小論文など候補者の表現力や文章力、論理性などを診断できる一方で、評価が難しくなる方法と言えます。
性格検査
候補者の行動傾向や性格を把握するために行われる性格検査は、特に企業風土への適合性や既存社員とのチームワークを判断することに役立つ上、メンタル面やストレス耐性を測るためにも使用されます。性格検査には大きく3つの手法があります。
質問紙法
質問に対して「はい」「いいえ」などの択一式に従って直感的に回答していく手法を質問し法といい、専門的な分析が必要な性格診断でも分析評価が比較的簡単なことが特徴で、性格検査としては最も利用実績がある方法です。ただし、簡便さが利点である一方で、評価者側も安易に評価を下しやすいことに加え、回答者が学生自身であることから客観性に欠ける点は否めません。
投影法
精神分析の研究で用いられる手法で、その人物がある刺激に対し、どのように反応するかでその人物の傾向をつかもうとする検査方法です。投影法の中でもロールシャッハテストは有名で、紙の上に描かれたインクの染みが何に見えるかといった質問が行われます。専門的な分析が可能になる一方、候補者一人一人ずつに時間をかける必要がある上、分析には専門家の知識に頼らざるを得ないため、新卒採用の適性検査としては不適格な部分が多いようです。
作業検査法
「内田クレペリンテスト」が知られていますが、足し算や引き算などを所定の時間いっぱい解き続けるなど、連続的な単純作業を長時間していくうちに表れてくる作業に対する行動様式や傾向から適性を見出す方法です。
興味・指向検査
特定の職務や業務に対する興味や意欲を診断するための検査で、特定の職種での採用や、採用後の配置決定の際などに役立つ手法です。「H-G職業趣向性検査」では、ある職業や業務に関連するものを表す絵を3つずつ提示し、最も興味あるものを候補者に選択させることで、職種に対する注目度や理解度、潜在的な意欲を把握することができます。
適性検査 実例サービス比較(2019年12月現在)
企業の採用活動向けに、実際に提供されている適性検査をご紹介します。
SPI3(エスピーアイ スリー)
適性検査の代表とも言えるSPI はリクルートキャリアが40年に渡って提供してきたサービスで、年間13,000社を超える企業に利用され、約200万人(2018年実績)が受験する高い信頼性が何よりの特徴です。学力検査のイメージが強いSPIですが、2013年にその内容が刷新され、「知的能力」だけでなく「性格」の把握も可能となり、職務への適合性など入社後のポテンシャルを測定することにも役立つサービスです。
基本料金が不要で、1人4,000円~という料金設定のため、中小企業でも導入がしやすい料金体系が取られています。
ポイント
- 年間13,000社を超える企業で導入されている高い実績と信頼性
- SPI3では、学力だけではなく、性格特徴、組織適応力、また面接でのチェックポイントなども把握できる
- 基本料金はなく、受験する人数に応じて費用発生するため、コスト効率が高い
玉手箱Ⅲ
企業の人事支援を行うコンサルティング会社、日本SHLが手掛ける適性検査です。年間利用料金が必要な代わりに1人当たりの受験料が安いため、受験者数が多く見込まれる大手企業でトップシェアを誇っています。
知的能力に加えて、性格面での評価、また面接時に必要なチェック項目なども把握できる総合的な診断が特徴です。診断結果は、仕事で必要な「ヴァイタリティ」や「チームワーク」などの9特性が表示され、詳細にわたる職務適性を判断できます。
ポイント
- 「知的能力」と「パーソナリティ」から測定を行う総合適性診断
- 計数、言語、英語、パーソナリティの4項目で検査を実施
- 年間利用料として120~250万円がかかるが、1人あたりの受験料は500~1,000円と低価格設定
http://www2.shl.ne.jp/product/index.asp
GAB(ギャブ)
玉手箱を提供する日本SHLが開発した、新卒総合職の採用を目的に開発された検査です。。パーソナリティを判断する9特性に加えて、将来のマネジメント適性、営業や研究開発など8つの職務適性も把握できる内容で、入社後にも長期に渡って活用できる検査と言えます。
ポイント
- 玉手箱の日本SHLが提供する適性検査で、よりパーソナリティ面の評価が可能
- 英語での受験、報告書作成にも対応しており、外国人採用にも活用できる
- 玉手箱と同様に、年間利用料金が必要な料金体系
http://www2.shl.ne.jp/product/index.asp
CAB(キャブ)
ますます重要性が増すSEやプログラマーなどコンピューター職に特化した採用に用いられる適性検査です。前述の玉手箱やGABを開発する日本SHLによる検査で、法則性や暗号解読など、特に理系分野で必要とされる能力の把握に役立ちます。
ポイント
- 昨今採用が増えているSEやプログラマーなどの職種に特化した適性検査
- 法則性や命令表、暗号などのテストにより、専門職としての適性を把握
- 多くの適性検査を手掛ける日本SHLによる商品
http://www2.shl.ne.jp/product/index.asp
TG-WEB(ティージーウェブ)
知的能力を測る適性検査の中でも難解な問題が多く、その場での判断力や推理力が問われる構成になっているため、潜在的な能力を測ることができると言われている検査が、WEB版キャリアパーソナリティ適性検査「TG-WEB」です。
TG-WEBを提供するヒューマネージでは、この他、「チーム・コミュニケーション適性検査」やストレス耐性を把握する「コーピング適性検査」、海外でのリーダーシップ資質をみる「グローバルリーダーシップ適性検査」など多様な検査を開発しており、これらを組み合わせることで、企業オリジナルの検査を実施することが可能です。
ポイント
- 新卒者向けの適性検査で業界第3位のヒューマネージ社が提供するサービス
- 多くの職種で必要とされる判断推理力(言語・数理)がWEB上で測定可能
- ヒューマネージが提供する様々な適性検査とのカスタマイズも
https://www.humanage.co.jp/service/assessment/service/tg_web.html
DPI(ディーピーアイ)
ダイヤモンド社は多くの経済誌を発刊しており、多くの企業とのネットワークを活用して開発されたのがDPIです。
その特徴は、知的能力や技術スキルのほかに職務上で必要となる、人間関係を構築するための人柄やパーソナリティ、また仕事に対する活動性や持久性、意欲など「態度能力」と呼ばれる側面で人材を評価することに特化し、実績を上げるために本当に必要な人材を見極めるための検査として謳われています。
基礎的な能力の検査に加えて、より実務に近いレベルでの評価結果を必要とする場合に活用できる検査と言えそうです。
ポイント
- 経済誌「週刊ダイヤモンド」を発刊するダイヤモンド社が開発した適性検査で、独自のネットワークを活用し、実際の職務状況への適合性を評価することに長けた検査
- 対人関係能力と意欲を合わせた「態度能力」の評価が可能
- 面接では見抜けない職場適合性と、実績を上げるための人材評価を行う
https://jinzai.diamond.ne.jp/test/dpi/
V-CAT(ブイ・キャット)
日本能率協会マネジメントセンターが販売するV-CATは、「内田クレペリンテスト」でも知られるドイツの精神学者クレペリンの研究に基づいて開発された検査で、主にストレス耐性をはじめとする「メンタルヘルス」と、心的エネルギーという言葉で表現される「持ち味」の評価に役立つ構成です。
内田クレペリンテストと同様に、足し算を解き続ける作業検査方式で実施され、その作業の量と速さ、質などから、メンタルヘルスの強弱と候補者の持ち味がどのように発揮されるかが明らかになります。
専門家による臨床データが多数蓄積されており、これらとの比較により専門的な立場からの人材評価が可能な検査の一つです。
ポイント
- メンタルヘルス面の評価、候補者の持ち味を抽出するための検査
- クレペリンテストに基づいた心理学的なアプローチによる高い専門性
- ストレス耐性を把握することにより、人材配置のための情報として寄与
http://www.jmam.co.jp/hrm/course/assess/item_v-cat.html
まとめ
- 適性検査とは、候補者の人物像全体を測定し、感情、知能、意欲を把握するための手法
- 客観的な評価を把握できる手法として定性検査は活用できるが、その結果は絶対ではなく鵜呑みにしないよう注意が必要
- 検査手法ごとの特徴を知り、把握すべき事項に適した検査手法を実施することが大切
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