連載：第13回食品

緊急事態宣言解除後、約70％の酒蔵が売上増の見込み。一方で約60％は製造量減少予定

BizHint 編集部 2021年11月4日(木)掲載

リカー・イノベーション株式会社（本社：東京都足立区、代表取締役：荻原恭朗）は、運営するお酒のオンラインストア「KURAND（クランド）」の取引中の酒蔵、ワイナリー、ブルワリーを対象に、「緊急事態宣言解除に伴う影響」に関する調査を2021年10月14日（木）～10月18日（月）に実施しましたので報告いたします。2021年4月に発出された緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置は、9月30日（木）をもって全都道府県で解除されました。2021年4月に行った調査では、約89％の酒蔵が「売上に影響が出そう」という結果となりましたが、今回の緊急事態宣言解除をふまえて、KURANDの取引中の酒蔵、ブルワリー（以下、合わせて「酒蔵」と記載）を対象に、今回の緊急事態宣言解除が酒蔵にどのような影響を与えたのかを調査しました。

約71％が緊急事態宣言中売上が下がったと回答

緊急事態宣言中の売上の変化について聞いたところ、14.8％が「かなり減った」、56.8％が「少し減った」と回答しており、合わせて約71％の酒蔵が緊急事態宣言中に売上が減ったことが明らかになりました。「減った」と回答した酒蔵の多くで、飲食店向けのお酒の出荷量が下がっており、多いところでは9割以上下がったと回答した酒蔵もありました。緊急事態宣言に伴う酒類提供禁止が酒蔵に与えた影響は非常に大きかったと考えられます。

【「少し減った」「かなり減った」と回答した酒蔵の声】
・コロナ禍以前は、飲食店様向け4合瓶や一升瓶の出荷が多かったのですが、現在ではインターネット通販で販売している、家飲み対応の紙パック商品（一般酒）の出荷が増えました。
・1800mlの大きいボトルは全く在庫が動かず、個人飲みでも気軽に試せる300mlや180mlの小瓶にシフトしているように感じています。

緊急事態宣言解除後、約76％の酒蔵が売上が上がりそうと回答

緊急事態宣言が解除となり、飲食店での酒類提供が再開し、売上に変化がありそうか聞いたところ、6.2％が「かなり増えそう」、70.4％が「少し増えそう」と回答しており、約76％の酒蔵が「売上が上がりそう」と感じていることがわかりました。しかし、70.4％とその多くが売上は大きく増えず「少し増えそう」という回答をしていることから、飲食店での酒類提供が再開したことや観光の活性化から、お酒の出荷が増えるのではないかという期待の反面、コロナ禍前と比べるとまだまだ厳しい状況が続いていることがうかがえます。

【「かなり増えそう」「少し増えそう」と回答した酒蔵の声】
・観光地には明らかに観光客が増えています。少しずつではありますが、年末に向けて回復傾向へと進んでいくと思われます。
・観光需要や飲食店需要に回復の兆しが見えていることがあります。ただしそうはいっても100％戻ることはないので、コロナ禍前に比べればまだまだ厳しい状況といえそうです。

緊急事態宣言解除後、約71％の酒造が飲食店向けのお酒の出荷量が増えたと回答

緊急事態宣言が解除されてからの飲食店向けのお酒の出荷量の変動を聞いたところ、7.4％が「かなり増えた」、64.2％が「少し増えた」と回答しており、合わせて約71％の酒蔵が飲食店向けのお酒の出荷が「増えた」と回答したことがわかりました。飲食店での酒類提供が再開され、飲食店向けのお酒の出荷が再開しましたが、出荷量は大きくは増えず、「少し増えた」という回答が最も多い結果となっており、今後の見通しが立たない中で飲食店もお酒の注文量を抑えていることが考えられます。

【「かなり増えた」「少し増えた」と回答した酒蔵の声】
・このまま今の状況が続く事を願っていますが、次に緊急事態宣言が出た時の事を考え、対策が必要だと常に危機感を持ち続けています。
・2か月後に感染者がまた増えないか不安だが、じっとしていても飲食店や関連業者がジリ貧になってしまうので、様子を見ながらではあるが、酒類の提供が通常に戻っていってほしいです。

約59％の酒蔵が例年と比べて製造量を減らしている

例年と比べた今年の製造量の変化を聞いたところ、3.7％が「かなり減った」、55.6％が「少し減った」と回答しており、合わせて約59％が今年の製造量を減らしたことが明らかとなりました。酒造りでは、前の年から次の年の製造量を予測して原料となるお米などを買い付ける必要があり、まだまだこれから先の状況が見えない中で、製造量を減らす決断をした酒蔵が多いことがわかります。