連載:第23回 食品
飲食店の42.9%が人手不足。テクノロジーによるマンパワー補填の動きは鈍足
アフターコロナを見据えた動きが広がるなか、飲食業界の人手不足が深刻化しています。飲食業界ではコロナ禍以前から人手不足が大きな問題となっていますが、客足が回復するなかで、ますます人材確保の重要性が高まりつつあります。
飲食店の4割超で人手が足りず。うち84.3%が「アルバイト・パート」不足
飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)では飲食店における人材確保の現状についてアンケート調査を実施。自店舗で働く従業員の数が足りているか尋ねたところ、42.9%が「不足している」(やや不足している=31.8%、とても不足している=11.1%)と回答。4割を超える飲食店が人手不足に陥っている状況が明らかとなりました。
対して、6割近くの店舗が「足りている(57.1%)」と回答していますが、その内訳を見ると、「充分足りている」との回答は23.4%で、残りの33.7%は「何とか足りている」状況です。多くの飲食店が、余裕のない人的リソースで運営していることがわかります。
従業員数が「やや不足している」、「とても不足している」と回答した方に、足りていない雇用形態について尋ねたところ、「アルバイト・パート」が51.7%、「正社員」が15.7%、「アルバイト・パートと正社員の両方」が32.6%という結果になりました。特に「アルバイト・パート」の人手不足が深刻で、84.3%もの店舗が「アルバイト・パート」が足りていないと感じています。
特に従業員が足りていない職種
特に従業員数が足りていない時間帯
飲食店の3割が求人サイトを利用。2つ以上の手段やサービスを組み合わせている店舗も
人材確保のために活用している手段やサービスを尋ねたところ、最多は「求人サイト・アプリ(34.5%)」との回答でした。「店頭の張り紙(30.4%)」、「SNS(26.0%)」、「求人誌・フリーペーパー(21.7%)」などの回答も目立っており、アナログからデジタルまで幅広い手法が使われている印象です。また半数近くの店舗で、2つ以上の手段やサービスを組み合わせていることも明らかとなりました。
特に人材確保に役立っている手段やサービスを答えてもらったところ、「特に役立っているものはない(32.3%)」との回答が最多となりました。ただし、これは前問で「従業員を募集していない」と回答した方の影響が大きいと見られます。
また、活用人数に対し、特に役立つ手段やサービスとして選択した人の割合が最も多かったのが「リファラル採用(※)」です。「リファラル採用」は、実際に活用している人数こそ44人と少ないものの、このうち6割超が特に役立っている手段として選択していることから、今後さらに活用率が高まる可能性も予想されます。
(※)自社や自店舗の従業員から、友人や知人などを紹介・推薦してもらう採用手法のこと
また、どの程度の雇用期間で募集することが多いか尋ねた質問では、「3か月以上(特に期間を限定しない)」との回答が64.1%で最多となりました。以降、「1か月~3か月未満」が8.4%、「数日~1か月未満」が4.3%、「1日」が1.2%と続き、ほとんどの店舗が3か月以上の雇用期間で募集をかけていることがわかりました。
人手不足問題を解消するテクノロジー、64.3%が導入なしと回答
次に、人手不足を補う目的で導入したテクノロジーを答えてもらったところ、64.3%が「特になし」と回答。このことから、人手不足解消を目的としたテクノロジーの導入は、あまり進んでいないと言えます。
実際の導入状況を見ても、「食洗機・ロボット掃除機」が17.1%、「予約台帳・予約管理システム」が16.6%、「セルフオーダーシステム」が9.6%と、いずれも1割~2割程度の導入率にとどまっています。
調査概要
調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:415
調査期間:2023年1月26日~2023年2月2日
調査方法:インターネット調査
※回答者のうち69.4%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は50.1%。
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000534.000001049.html
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