連載:第20回 教育・官公庁
保育施設におけるDX推進、約7割がコロナ禍で加速 デジタル人材の雇用が鍵
深刻な人材不足が続いている保育施設。保育士への業務負担の多さがその理由としてよくあがりますが、解消策としてDXの推進に期待がかかっています。政府も保育所のICT化推進等事業として補助金の制度を整えるなどデジタル化に期待しており、2021年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的に補助対象が広がりました。
DXに取り組んでいる保育施設は4割、保育記録や園児管理に活用
人材派遣大手のトライトグループ(トライト、トライトキャリア、トライトエンジニアリング)では「保育施設におけるDX実態調査」を7月下旬に実施しています。それによると、DXに取り組んでいる保育施設は39.8%にのぼっており、そのうちの70.5%が 「コロナ禍によりDXが進んだ」と回答していました。
具体的に「DXが進んでいる分野(活用しているツール)」を聞くと、「保育記録ツール」37.7%、「園児の写真管理ツール」33.6%、「保護者との連絡ツール」32.8%などが上位となっています。勤怠管理や給与計算といった一般企業などのDXと異なり、保育現場に特化したツール導入が盛んなようです。
「DXにより改善されたこと」としては、「子供の安全管理がしやすくなった」25.4%が最多で、「残業時間が軽減された」「これまで着手できなかった業務や保育に取り組めるようになった」「子供の健康状態が把握できるようになった」が同率23.8%でそれに続きます。DXにより業務が改善されたという保育士は半数を超えています。
「今後DXに取り組みたい(取り組んでほしい)分野」を全体に聞くと、「保育記録業務」「園児の見守り・管理業務」がともに3割を超える一方で、「特にない」も同程度が存在していました。保育者、施設長・園長、事務の立場ごとに聞くと、保育者と施設長・園長で微妙な意識の差も見られますが、やはり保育記録と園児管理が求められているようです。
最後に「DXを進める上での課題」を聞くと、「知識・ノウハウがない」41.7%、「予算がない」22.8%、「費用対効果が低い・分かりにくい」17.3%が上位となりました。これは、トライトグループが介護事業所を対象に行った調査と同じ順位となっています。また、現在の取り組み状況を踏まえた分析では、やはり実際にDXを推進している施設ほど、課題を感じているようです。
一般企業に比べると保育施設は、デジタル部門が存在しないことも多く、そもそもの知識やノウハウが不足しがちな状況にあります。今後どこまでデジタル人材を確保していくのかが、業界全体の課題になりそうです。
調査方法
調査期間:2021年7月30日~8月3日
調査方法:インターネット調査
調査対象:10代から60代以上の保育従事者男女
調査人数:307名
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000008376.html
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}