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連載:第8回 テレワークイベントレポート 2020

コロナ禍での人事評価・制度の変え方。テレワークで会社と社員が成長するために

BizHint 編集部 2020年8月27日(木)掲載
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テレワークが急拡大する中で多くの企業が「働き方」の見直しに迫られています。一方で、旧来からの社員の目標設定や評価がそのままで、制度が追い付いていないという状況も露呈してきています。そういった課題に対し、企業はどのようなアプローチで制度を見直していけば良いのか?また、それを企業と社員の成長、納得感につなげるにはどうしたら良いのか?具体的な事例や、日本の人事制度の変遷も踏まえ、日本生産性本部研究員の小堤峻さんに聞きました。

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日本生産性本部
雇用システム研究センター 研究員
小堤(おつづみ) 峻 さん

大学卒業後、信託銀行で営業・企画業務に従事。2015年1月に日本生産性本部入職。担当領域は、民間企業および学校法人を対象とした人事制度設計支援、人事・労務の教育研修の企画・運営。中小企業診断士・MBA(経営学修士)。


テレワークか、出社ベースで柔軟対応か。各社の判断のポイントは?


(図1)日本生産性本部が5月に行った、新型コロナウイルス対策としてのテレワークについての調査

「新型コロナウイルス対策としてのテレワークについての調査(図1)」を見ると、新型コロナ収束後も60%以上がテレワークを続けたい意向であるとしているものの、一方で70%近くが仕事の効率が「下がった」「やや下がった」と回答しています。また、テレワークを進める上での課題について、職場に行かないと見られない資料があるといった「情報共有」や、Wi-Fiなどの「通信環境」、机、椅子など「物理的環境整備」などが挙げられています。

これ以外の多くの調査結果を踏まえると、一般的にテレワークについては「都市圏」そして「大企業」で多く取り入れられています。一方、接客を伴うサービス業や工場勤務者・研究開発に携わる方では、テレワークは少ないという傾向が見られました。

また、テレワークや在宅勤務への向き合い方は企業によって様々です。


(図2)企業によってテレワークへの姿勢は様々

日立製作所や富士通では明確にテレワークを推進しています(図2)。日立製作所は、働きぶりが見えにくい在宅でも生産性が落ちないよう職務を明確にする『ジョブ型雇用』を導入し、勤務時間ではなく成果で評価する制度への移行を目指しています。富士通はオンラインを前提に、会社の仕組みを変えようと積極的に取り組んでいます。

他方、キーエンスは「顧客に深く入り込む営業網と、営業人員が吸い上げた情報から開発する独自製品に強みがあり、在宅ではできない仕事の割合が多い」、小林製薬は「商品開発では試作品の色味やデザインなど、実際に出社して同じモノを見て議論する方がやりやすい」とし、この2社はテレワークを経験した上で、通常出勤を基本に柔軟な対応をしています。

世の中の流れ全体としてテレワークを推奨する傾向は見受けられるものの、 『自社としてはどうあるべきか』を踏まえ、取り扱っている製品、業界特性、生産性などを考慮し、成果の創出にいかにつなげるかを考えることがポイント と言えます。


(図3)コロナ禍を踏まえた新たな取り組み

また、最近見られる新たな取り組みとして、テレワークによる補助を手当や一時金として支給するケースが出てきました(図3)。

「テレワークができる/できない」=「手当をもらえる/もらえない」という不公平感が起きにくい企業では、こうした手当支給の判断につながっているようです。また、こういった手当の仕組み化は、 コロナが収束した後も引き続きテレワークを行うことへの意思表示 とも考えられます。

テレワークにおける人事・採用・評価制度改革のポイント


(図4)最新の人事制度見直し事例

こうした状況を背景に、人事制度を抜本的に見直す企業も出てきました。

日立製作所の来年度の新卒者採用計画では、より専門性の高いデジタル人材(財)の獲得が表明されています。日本人だけでなく、インド、英国、東欧など、海外からグローバルに人材を直接採用する計画です。

同社はジョブ型雇用を指向し、営業、財務、人事労務など職種別採用を計画しています。さらに経験者(マルチキャリア)の採用にも注力し、新卒と経験者採用の比率を1:1にまで拡大しようとしています。

りそなHDは、データサイエンスやコンサルティング営業に力を入れ、高度IT人材には従来よりも高い報酬を用意しています。富士通も、来年度から課長級以上にジョブ型人事制度を導入するとともに、AIなど高度専門人材には手厚い報酬を準備することを明らかにしています。このように、業務を明確化し職務に人を当てはめる「ジョブ型」人事制度を指向する流れが、大手企業を中心に見えてきています。

では、コロナ禍で働き方の見直しが迫られている中で、自社の「働き方」をどう考えていけばよいでしょうか?

まず、働き方を見直す上では以下の4つのポイントを押さえる必要があります。

  1. アンケートやヒアリングによって、 自社および業界を取り巻く動向を把握
  2. テレワークを推進するか、出社を基本に柔軟に対応するか、 働き方の方向性の検討
  3. システム対応など、 方向性を踏まえた具体的な施策の検討・試行・運用
  4. 労使での協議・合意、協定の見直し

そして、 働き方を議論する上では「人事制度の運用」も併せて考える必要があります。評価体系、評価項目、評価方法、そして処遇への反映方法。これらをトータルで考えることが求められます。

今ある人事制度や理念・設計そのものを見直すべきか?年功/能力主義的な人事制度はどうするのか?役割・職務的な人事制度、さらにはコース別の人事制度(統合・細分化)なども検討する必要があります。

人事評価制度の運用で気をつけなければならないのは、コロナ禍における短期的な対応と、中長期的な目標設定・人事評価の関連性についてです。日本の企業では1年間や半年間で目標を立てることが多いのですが、コロナ禍で「事業年度で設定された目標が立てにくい」という相談が多くありました。これに対応するには「年度の確定目標に捉われるのではなく、四半期や月次で目標を立て、必要に応じて見直しをする、より柔軟な運用とすること」が必要です。

また「テレワーク・在宅勤務では人事評価ができない」という相談も増えています。そういった場合は、上司と部下で何をやるべきか、何をやったかといった「成果」を明確にする必要があります。「成果」の把握を効果的に行うためには、オンライン会議やメール、チャット、日報などを通じてきちんと共有していくことが肝要です。

今後、ウィズ/アフター・コロナの環境では、これまでの慣習とは異なる中長期的な対応や広い視点が求められます。

  1. 同じ職場で顔を合わせて仕事をする →  別々の場所で各自が仕事をする
  2. 人としての働きぶりを見て評価する →  仕事内容で評価する
  3. 勤怠・情意・能力の評価 → 成果(KPI・KGI)プロセス で評価する

といった変化が起きていることを考慮する必要があります。

うまく行かない原因は「運用」なのか、「制度そのもの」なのか

では、具体的に目標設定はどうすればよいでしょうか。一例として、戦略経営のマネジメントの仕組みである「バランス・スコア・カード」を活用した方法を紹介します(図5)。


(図5)バランススコアカードを使った目標設定のイメージ

バランス・スコア・カードは、①財務②顧客③プロセス④学習と成長、という4つの視点に対し、それぞれの要点と主な指標を挙げたものです。それぞれの指標に表れる項目を参照しながら、定量・定性の両面から達成基準の明確化を検討し、バランスのとれた組織目標を立てる手法です。

「財務の視点」は、組織として目標を立てるには有意義ですが、個々人、あるいは部署に落とし込む場合には工夫が必要です。また業務によっては、営業のように数値で明確な評価軸が作れるものばかりではありません。事務・バックオフィス、研究開発などでは、成果だけを重視すると実態との乖離が起きてしまいます。そういった場合には、「顧客」「プロセス」「学習・成長」の視点を大切に目標設定をしていきます。

なお、バランス・スコア・カードの活用において、担当業務によっては4つの視点すべてを考える必要はありません。営業部門は財務、プロセス、顧客の視点までを考慮し、基礎研究・研究開発部門では学習・成長やプロセスに特化するといった形で対応することが望ましいです。それぞれの企業で、業務・業種・業態ごとに柔軟に考えていきましょう。

また、テレワークで働き方が変化した場合に、評価項目を見直す必要性については、現場の実態を踏まえた検討が必要です。さらにその際、 問題になっているのは「運用」なのか「評価制度そのもの」なのかを、切り離して考える と良いでしょう。 進捗確認やフォローアップの仕方については、「1 on 1ミーティング」をお勧めします。通常業務で多忙なこともあるので「次はいつ開催かわからない」よりも「毎週水曜日の午後に20分」といった形で時間を区切って、定期的、短期間、短時間で開催するとスムーズに運用できます。

また、人事制度運用の体制づくりとともに、「着眼点」を見直すことも有効です。「チームワーク」という評価項目について、従来はその人の「仕事ぶり」に着目していたのであれば、着眼点を見直し、「チームメンバーの業務進捗を把握し、情報提供など、必要な支援を行う」などとすれば、テレワークでも、会議での発言内容やチャットのやり取りなどから評価できる可能性があります。

能力・役割・職務のイイトコ取り。ハイブリッド型の人事制度案


(図6)日本の人事制度の歴史的変遷

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