連載:第8回 医療・医薬・健康
大病院の最優先の経営課題は「集患」、しかし再開できない病院も2割超
新型コロナにより、医療機関はその規模にかかわらず大きな影響を受けています。施設や衛生設備の強化、消耗品の確保、患者の管理など、新型コロナ患者を受け入れていない中小病院も、重症患者を受け入れている大病院も、例外なく負荷が増えており、経営危機に陥っている病院も少なくありません。こうした大病院における現在の最優先課題は何でしょうか?
コロナ禍で大病院も混乱、集患を再開できる病院・できない病院に二極化
国内の病院は現在、8260施設(2020年4月時点)が存在します。このうち、入院をともなう重症患者を診療する「DPC(診療群分類別包括払い)対象病院 」は1757施設。DPC対象病院は200床以上の、いわゆる大病院に当たります。200床以上の病院は、かかりつけ医の紹介なしに患者を受け入れると、数千円の追加料金を患者から徴収する義務があるため、周辺地域の医療機関からの紹介による患者集め、「集患」が病院経営において重要な課題となっています。そして新型コロナの影響で、病院に来る一般患者数が激減したため、こうした大病院の経営を揺るがしています。
グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)によると、7月に実施したアンケート調査で、全国159の大病院のうち、「最優先の経営課題」として「集患」をあげた病院が88.6%を占めました。2位の「コスト削減」48.2%に倍近い差を付けています。
集患の具体的な再開状況について聞くと、「一部のみ再開」25.9%に続いて「再開の見通しなし」25.9%という声が多く、「全面的に再開」19.3%、「再開予定」13.3%を上回っています。
面会は約4割、健康診断は約8割の病院が再開
6月に同社が実施した別の調査では「入院における面会」は原則禁止としていた病院が約9割に達していました。しかし今回の調査では、60.2%まで減少していました。人数や回数を制限し面会可能、あるいはオンライン面会を可能とした病院が増えたようです。ただし今後については、コロナの再流行が起こっている可能性があり、94%が「未定」としています。
また「健康診断・人間ドックの受け入れ」についても、78.3%が「再開した」としています。
最後に「マスクなどの消耗品の調達について現在の調達状況」について聞くと、34.9%が「マスクの調達に支障がある」と回答しており、まだまだ医療現場では物資不足が続いているようです。ただしほぼ同数の34.3%の施設は「全く問題ない」と回答しており、回復傾向も見られます。
都内では感染者数が再流行の兆しを見せており、まだまだ事態は流動的です。ぜひ現場に近い情報に着目してください。
調査方法
調査概要:新型コロナウイルス感染症による病院経営への影響
調査期間:2020年7月9日~19日
調査方法:インターネット調査
調査対象:重症患者を受け入れる大病院
調査数:159施設
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000046782.html
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