連載:第39回 医療・医薬・健康
医師の働き方改革、「労働時間短縮を実感できていない」がほぼ7割 DXや生成AIが改善のカギ?
近年各企業が力を入れている働き方改革。医療業界も例外ではなく、「医師の働き方改革」の新制度が2024年4月に施行されました。一方で多くの医師が「働き方改革による労働時間の短縮」を実感できていないことが、Ubie(ユビー)の調査により明らかとなりました。こうした状況の改善には、他医療者へのタスク・シフト、勤務間インターバル制度、医療環境整備に加え、DX推進や生成AI活用が期待されています。
労働時間の短縮で効果が大きかった施策は「タスク・シフト/シェア」
まず「医師の働き方改革により労働時間が短縮されましたか」と聞くと、「短縮されていない」68.1%が圧倒的に多く、「多少短縮されたが、まだ改善の余地がある」19.8%、「短縮されたと感じる」12.1%と、まだまだ改善の余地があることが判明しました。労働時間が短縮されない理由を聞くと、「実施された対策が不十分で効果が見られない」と52.4%が、「対策が実施されていない」と19.8%が答えています。
労働時間が短縮された・多少短縮されたと回答した医師87人に、「労働時間の短縮で効果が大きかった施策」を聞くと、「事務作業補助者へのタスク・シフト/シェア」と「医師の夜間業務の見直し」がとくに多く、「薬剤師へのタスク・シフト/シェア」「看護師・助産師へのタスク・シフト/シェア」がそれに続きます。タスク・シフト/シェアが幅広く受け入れられている一方で、「効果大」と感じている割合は最大でも18.5%にとどまり、いずれの施策もその効果が限定的であることが示されました。
こうした状況の改善には政府が掲げる「 医療DX 」が期待されますが、「職場でのDXについて、どの程度実現できていると感じますか」と聞くと「普通」と感じている人が大半で、「あまりできていない」34.9%、「全くできていない」16.5%と、過半数が「できていない」と感じていました。
実際に「医師のために導入されているDX」を聞くと、「医療情報連携システム」が38.6%ともっとも多く導入されており、以下「スマートフォン」「診断支援AI」「問診AI」が続きます。カテゴリ別では「情報共有」「チーム医療への推進」でのDX導入が目立ちます。また「作業の省力化」ではAI・生成AIがすでに活用されていることが明らかになりました。
「職場で生成AIを活用していますか?/活用する予定がありますか?」と聞くと、「すでに活用している」はわずか3.3%。「活用する予定がある」7%を合わせても1割台で、残る9割近くが予定がありません。
そこで「AI技術は、医師の働き方改革に効果がある/効果が見込めると感じますか?」と聞くと、70.6%の医師が「感じる」と回答しました。「感じない」とした人にその理由を聞くと、「AI技術を取り入れられる業務が限られる」37.5%、「スタッフのITスキルに不足があり、使いこなすに至らない」25%、「自身の業務のどこにAI技術を取り入れると効果が大きいか分からない」22.5%といった声があがりました。
調査方法
調査期間:2024年8月9日~22日
調査方法:インターネット調査
調査対象:病床20以上の病院に勤務する医師
調査人数:272人
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000048083.html
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