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戦略・経営

2018年4月16日(月)更新

横浜国立大学大学院 服部泰宏氏による「採用学におけるプロ・リクルーター調査内容の報告と考察」(講演レポート前編)

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 日本企業においてプロ・リクルーターの必要性が高まっている。横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院 准教授の服部泰宏氏は、そのニーズの高まりを3つの観点から分析。さらに、リクルーターのキー・コンピテンシーについても、調査研究から明らかにした。

(本記事はビズリーチ主催 Pro Recruiter Conference2017の講演レポートです)

日本企業にとってプロ・リクルーターの育成が急務である3つの理由

セッション冒頭の服部氏のプレゼンテーションでは、「採用において、専門的なスキル・知識が求められるようになってきた」と現在の情勢について触れた上で、「1970年代から、欧米ではリクルーターは何をしているのか、リクルーターがどう行動していたら採用がうまく進むのかという検証がなされてきました。その一部を紹介することで、リクルーターがどんな意味を持つのかを知っていただきたいと思います。リクルーターの役割が確実に重要になっているということをお伝えします」と述べた。続いて、服部氏は大学の現場でのリクルーティングの状況を伝えた。

「大学では、採用が必要になると『スカウト委員会』が立ち上がります。例えば、『経営戦略の研究者を採用する』ときには、その分野の専門家、客観的に見られる方、異なる分野の研究者という編成でチームを組みます。その上で、日本中の大学やシンクタンク、企業の研究機関から候補者を探していくのです。大学は古い体制も多いですが、採用という意味では専門性を追求してきた歴史があります。ある程度年齢が上の人を採ることが多いこともあり、採用後の育成が難しいからです。そういう意味で、採用の精度を上げることが必要だったのです」

 大学の採用の実情に触れた上で、服部氏は「日本企業にとってプロ・リクルーターの育成が急務である3つの理由」について語った。

「3つの理由の1つ目は、『どう控えめに言っても、採用という業務の難度が上がっている』ということです。2つ目は、採用においてリクルーターの能力や言動が重要な意味を持つということが科学的な調査から明らかになってきたことです。3つ目は、日本企業は構造的にプロのリクルーターが育ちにくい土壌にあるということです。キャリアの積み方や、リクルーターのアサインのされ方などから企業の中でプロフェッショナルを育てていくことが難しいのです。これは、リクルーター個人の問題というよりは、構造や人材育成面、サポート体制の課題であるといえます」

調査結果から見えた、日本企業の採用の素顔

 続いて、日本企業の人事担当者に向けて行った調査から日本の採用の実態を見ていった。

©2017 横浜国立大学大学院 服部泰宏

「自社の採用の戦略として、2択を提示し、どちらをより重視しているかを回答してもらっています。まず、『求職中の人材にだけアプローチする』という項目について。日本では、当たり前だとばかりに『その通り』と回答する方が60%ほどいましたが、実は世界的トレンドは『中途採用の場合、求職中ではない人材にもアプローチする』方が多いのです。 マッキンゼー・アンド・カンパニーが調査をしたところ、よい採用ができている企業は、『求職中の人たちだけでなく、よい人がいたら早めにアプローチする』と回答しています。あるいは、近年新卒採用の現場では、『今回は自社の内定を受諾してくれなかったけれど、転職を考えることがあれば声をかけて』という人材をキープするような動きも広がっています」

 続いて服部氏は、社員の待遇面での調査について言及した。

「『同じ年齢であれば報酬や条件に大きな差をつけないようにしている』という項目については、結果がばらけています。というのも、新卒一括採用では、同じ報酬・条件に設定しているが、中途採用では差をつけることもあるという考え方が表れているからです。同じ年齢や部署であったとしても、貢献度合いや実績が違えば、条件や報酬で差をつけてよいという考え方も広まりつつあるのです」

また、どのようなタイミングで人材を探すかという点については以下のように述べた。

「『ポストの空きが出た時点で適任者を探す』と『常に優秀な人材を探す』のどちらの傾向かを選んでもらうと、40%ほどが『常に優秀な人材を探す』と回答しています。しかし、ヒアリングをしていくと、具体的にアクションを起こしているということではなく、『いい人はいないかな』と頭の中で考えている程度のようです。さらに、『現場主導で採用活動を行う』のか『本社の人事主導で採用活動を行う』のかという項目においては、日本企業の多くが人事主導で採用活動を行っているようです」

そして服部氏は、人事担当者の現状について、こうまとめた。

「日本企業は、『人事主導』で常に優秀な人材を探し、条件の差をつけてでも優秀な人材を獲得しようとはしているものの、魅力的な人材に積極的にアプローチしたり、求職活動をしていない潜在的な求職者にもアプローチしたりするところまで至っている企業は少ないといえるでしょう」

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