連載:第39回 総合 2020年1月~3月
地域の持続性調査、1位は川越市。2位金沢市、3位に西宮市(市版SDGs調査2020)
2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標であるSDGs=「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」。SDGsは貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指しており、国や自治体、企業などが目標達成に向けた様々な取り組みを行っています。株式会社ブランド総合研究所は、このたび全国の政令指定都市、中核市、県庁所在市の83市を対象とした市民目線による悩みや社会の課題、幸福度や定住意欲度などに関する地域の持続性を明らかにする「市版SDGs調査2020」を実施しました。
市版SDGs調査、1位は川越市
本調査では市民の生活についての評価指標である「幸福度」および生活の「満足度」、社会や居住市に対しての持続性につながる指標である「愛着度」と「定住意欲度」の計4つの指標の平均点を総合指標である「SDGs指数」を算出しました。
その結果、83市のうち最もSDGs指数が高かったのは、川越市(埼玉県)となりました。同市は幸福度も全国1位で、満足度は4位、愛着度10位、定住意欲度13位と4つの指標の評価がいずれも高くなっています。2位は金沢市(石川県)で、同市は4指標ともに10位以内と高い評価となっています。
3位は西宮市、4位に明石市と兵庫県の市が続きましたが、同県では神戸市も8位にランクインしています。なお、都道府県版では兵庫県は7位となっていました。
5位には福岡市、豊橋市、札幌市が並びましたが、福岡市は愛着度と定住意欲度で全国1位、豊橋市は満足度で1位となっています。
住民の悩みは「低収入・低賃金(34.6%)」がトップ
回答者自身や家族の問題として抱えている不満や悩みを、48項目の中から選んでもらったところ、具体的な悩みとして最も多かったのは「低収入・低賃金」で、83市平均は34.6%でした。この結果は市によって大きく異なっており、宮崎市(52.7%)と青森市(50.9%)は市民の半数以上が悩んでいるという結果になりました。逆に最も少なかったのは西宮市で23.0%。次いで岡崎市と越谷市の23.5%となりました。
「低収入・低賃金」の次に多かったのは「貯蓄・投資」で29.1%、次いで「ストレス」27.1%、「運動不足」23.6%の4項目がいずれも20%以上となりました。SDGsのゴール(ジャンル)別では、「①貧困」、「③健康・福祉」に関連する項目で上位10項目を占めています。
また、83市平均で16.7%の人が「悩みはない」と回答しました。 ## 社会課題上位は1位「高齢化(27.5%)」、2位「いじめ(27.3%)」「少子化(27.3%)」
「社会として取り組むべき課題」の48項目の中で最も多かったのは「高齢化」で27.5%。60歳以上では41.2%ですが、20代では18.7%となっており、年代が高いほど課題と考える人の比率が高いようです。なお、市別では高知市と福井市の40.0%が最も高くなりました。「高齢化」、「少子化」、「老老介護」、「人口減少・過疎化」など、上位には今後の人口動態やそこから派生する課題に関わるものが多く並びました。
次に多かったのは「いじめ・校内暴力・学級崩壊」と、「少子化」で27.3%。市別で最も多かったのは「いじめ・校内暴力・学級崩壊」が仙台市で41.9%、次いで那覇市の40.9%でした。また「少子化」は佐世保市が45.0%、次いで秋田市が41.3%で、いずれも市民の4割が課題だと感じているようです。
なお、「取り組むべき課題はない」との回答は83市平均で12.3%と、およそ9割が課題があると感じているようです。
「幸福度」は川越市、「満足度」は豊橋市がトップ
「幸福度」の調査では、83市平均で26.7%が「とても幸せ」、37.3%が「少し幸せ」と回答するなど、計64.0%が「幸せ」と回答しました。これらの回答を加重平均して算出した「幸福度」のランキングは以下の通りです。
1位は川越市で、同市では4割近い39.1%が「とても幸せ」と感じています。次いで佐世保市、豊橋市、熊本市、姫路市と続きました。
また、「満足度」の調査においては最も高かったのは豊橋市で、22.8%が「とても満足」と答えています。一方、「とても満足」が6%以下の市が3市あるなど、結果の差が大きくなっています。
「愛着度」、「定住意欲」は共に福岡市が1位
「愛着度」が最も高かったのは福岡市で、半数の50.0%が「とても愛着がある」と答えるなど、計81.0%が「愛着がある」という結果になりました。
僅差で札幌市と金沢市、そして神戸市、京都市と続いています。いずれも人口が多く、観光面でも人気の高い市となっています。
定住意欲度でも1位は福岡市。53.2%が「ぜひ住み続けたい」と回答するなど、82.0%に定住意欲があるという結果に。2位以下では神戸市、札幌市、金沢市と愛着度の上位の市が占めました。その中で高槻市が5位、明石市が6位、西宮市が7位と近畿の中核市が並んでいます。
一方で、「移住したい」と答えたのは83市平均で12.8%で、20代では16.6%、30代では13.0%でした。
調査概要
市版SDGs調査2020は、全国の男女、15歳以上を対象に、2019年11月19日から12月23日にかけてインターネットで調査を実施し、13,753人の有効回答を得た。
調査対象は政令指定都市、中核市、県庁所在市の計83市。調査対象者は調査モニターの中でそれらの市に居住している市民で、調査項目は幸福度、満足度、愛着度、定住意欲度、SDGs認知度、投資経験の基本指標6項目のほか、住民の不満や悩み、社会として取り組むべき課題など、合計106項目について回答。
調査方法:インターネット調査
調査対象:政令指定都市、中核市、県庁所在市の計83市
回答者 :登録調査モニター(15歳以上)から、対象市ごとに市民を抽出
回収数 :13,753人(各市から約200人を目標に回収)
有効回答数:13,270人 (不完全回答および非居住者を除いた)
各都道府県は約160人(一部で有効回答数が少ない市がある)
調査時期:2019年11月19日~12月23日
調査項目:基本指標(幸福度、満足度、愛着度、定住意欲度、SDGs認知度、金融商品への投資経験など6項目)
市民の悩み(「低収入・低賃金」など50項目)
社会として取り組むべき課題(「農林水産業の衰退」など50項目)
回答者属性:年齢や性別、婚姻、子供の有無、世帯年収、居住形態など
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000000266.html
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