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連載:第2回 中小企業の危機管理術

リーマンショック中に社長交代した3代目はどうやって危機を乗り越えたか?

Logo markBizHint 編集部 2020年3月22日(日)掲載
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富山県富山市にある、創業72年を迎える「サクラパックス」は、 段ボールを主軸としたメーカー。2008年に3代目社長に就いた橋本淳氏に、どのようにリーマンショックを乗り越えたか、その内実を伺った。

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サクラパックス株式会社
代表取締役 橋本 淳 さん

1971年生まれ。富山県富山市出身。法政大学卒業後、一般企業を経て、1996年にサクラパックスに入社、2008年社長に就任。趣味は旅行とスキー。


危機的状況での社長就任。上がることだけを考えた

サクラパックスは畳の縁下(へりした)紙を扱う会社として1947年に創業し、国内92%のシェアを誇っていたが、戦後の流通拡大を見越して立ち上げたのが、現在の根幹となる段ボールの製造事業だった。

3代目として橋本社長が会社を引き継いだのは、38歳の時。2008年、リーマンショックが起きたちょうどその年だった。地方企業にもその影響は大きく、就任間もなくして約20%の生産量ダウンという事態にいきなり直面する。

「製造業なので10%が落ちるだけでもかなりのダメージですが、受けた影響は想像を超えるものでした。逆にどん底からのスタートだったので、 あとは這い上がるだけ と切り替えて、気持ち的には前向きでした」と、当時を振り返る。

橋本社長がまず着手したのは、組織の見直しだった。当時の役員9人の平均年齢は62歳。若返りが必要だと考え、幹部候補として40代前半の中堅社員を選抜したが、指導を受けていた外部講師から「この人材では無理だ」と跳ね返されてしまう。そこで、外部企業から経験と実績を持つプロフェッショナルな人材を15人、幹部として採用することを決断した。

「面談の際に私の考えをとことん伝え、方向性に同意される方だけに入社してもらいました。富山県にゆかりがないものの圧倒的な能力を持つ方ばかりで、社員にもあらゆる面で良い影響を与えてくれました」

そうして基盤作りのきっかけをつかみ、長期的な社内改革をスタートさせた。

関わるすべての人の「笑顔」のために動く

社長就任から3年目の2011年、日本青年会議所の副会頭を務めていた時に、東日本大震災が起きた。「ある日、現地での復興作業を終えて帰路に就こうとすると、30人ほどの被災者の方々が見送ってくれたんです。

挨拶を済ませ、真っ直ぐの砂利道を車で数分走らせた頃にパッと振り返ると、まだ全員がこちらに向かって深々と頭を下げてくれていたんです。この姿を見た時に、 誰かの笑顔のために生きよう と決意し、会社の目指す方向性が固まりました」

ハートのリレーで笑顔を創り、世界の和をつなぐ という経営理念は、この時の思いから生まれたものだった。段ボールは、大切なものを大切に運びたいから必要とされる。送る人の気持ちを思い、受け取った人の笑顔を生むことに貢献できる企業になろうという考えは、幹部全員も同じだった。

営業面でも お客様の笑顔のために という姿勢を徹底し、「大切な製品を安全に運びたい」「もっと商品を売りたい」という顧客の声に応え続けた結果、軟包装や印刷紙器、POP製作やギフトショップの運営など、様々な分野に事業を拡大。社長就任当時65億円だった売上は100億円にまで伸び、経常利益7億円、自己資本比率83%という優良企業に成長を遂げた。

景気後退は、想定内「負けない組織」への備え

「企業経営は、基本的に 理念戦略 。急な方向転換が必要な時に、全員がすぐに同じ方向に切り替えられる組織体であることが重要だと考えています」

理念を一冊にまとめた『SAKURAISM』という本を全社員に配布し、ミーティングや飲み会などでも、本に書かれたテーマを一つ取り上げ、全員が意見を出し合う。毎月の給与袋には必ず社長メッセージを添え、350人の社員とその家族にも思いを伝え続けている。

社員には数字ではなく、 行動計画 の達成を課している。PDCAを細分化した「SAKURA経営モデル」を基に55チームの行動計画を作成し、各マネジャーが一人ひとりに落とし込むことで社員自らの 考える力 が向上し、生産性にも顕著に結果が表れている。

「私はこの先、景気は後退していく一方だと考えていますが、実は景気が悪くなることに対して決して反対派ではないんです。いわゆる 負け組 は淘汰されますし、人材が採りやすくなるという利点もある。常に決算予測の10〜20%ダウンした場合も想定に置きながら、事業を進めています」

社長就任当時と同等の、あるいはそれ以上の危機的状況が訪れても対応できる 強固な組織作り に力を注いできた。理念の一つでもある 100年続く企業に という目標に向け、橋本社長は愚直に堅実に、歩みを進める。

(取材・文・写真/辰巳健太)

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