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飲食店の倒産、過去最多へ ~「酒場・ビヤホール」、「西洋料理店」が過去最多を更新~ 飲食店の倒産動向調査(2019 年)

BizHint 編集部 2019年12月19日(木)掲載
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飲食店が厳しい状況に置かれている。節約志向の高まりに加え、今年10月に消費税率の引き上げとそれに伴う軽減税率が導入されたことで、消費者はテイクアウトやデリバリーなどの中食や、内食を選ぶ傾向が強まったと言われる。飲食店は他にも、人手不足、社長の高齢化、後継者問題、キャッシュレス化、改正健康増進法の施行が2020年に控えるなど今後も懸念が尽きない。今回、帝国データバンクでは、2000年~2019年11月の飲食店事業者の倒産(※)動向について集計・分析した。

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調査結果(要旨)

  1. 2019年(1月~11月)の飲食店事業者の倒産は 668件で 、 11月時点で過去 4 番目の水準となった。通年では過去最多となっている2017年(707件)を上回る勢い
  2. 業態別にみると、「酒場・ビヤホール」(143件、構成比21.4%)、「西洋料理店」110件、同16.5が11月時点で過去最多を更新した。「酒場・ビヤホール」は 11 年連続で件数最多の業態となったほか、「西洋料理店」は 3 年連続で件数が急増している
  3. 負債額別にみると、2019年(1月~11月)は5000万円未満の小規模倒産が構成比84.4 564件)、5000万円以上の倒産が同15.6 104件)となった。5000万円未満の倒産は2015年から5年連続で8割超となっている

1.数動向 2019 年は過去最多のペースで推移

2019 年の飲食店事業者の倒産は 11 月までに 668 件 発生し 、既に前年( 653 件)を上回った 。 過去最多となっているのは 2017 年の 707 件であるが、 2019 年はこのままのペースで推移すると通年の倒産件数は 728 件前後となり、過去最多を更新する可能性が高い。

2.業態別動向 「酒場・ビヤホール」と「西洋料理店」が過去最多を更新

業態別 11 業態)にみると、居酒屋やビヤホールのほか 、 焼き鳥店 、おでん店 、もつ焼き店などをメインとする 「 酒場・ビヤホール 」( 143 件 、構成比 21.4 、 レストラン、フランス・イタリア料理店などの 「西洋料理店」( 110 件、 同 16.5 %)が 11 月時点で過去最多を更新し、業界全体の倒産件数を底上げしている 。 「中華・東洋料理店」や 「喫茶店」 は過去最多に迫る勢い。

11 月までの件数でみると、「酒場・ビヤホール」、 「西洋料理店」、 ラーメン店 、カレー店 、焼肉店 、餃子店などを含む「中華・東洋料理店」( 96 件、構成比 14.4 %)の 3 業態で全体( 668 件)の 52.2 %を占めている。

「酒場・ビヤホール」は2009 年以降、 11 年連続で最も倒産件数の多い業態となっているほか、 「西洋料理店」は 2017 年 86 件、 前年比 41.0 増 、 2018 年 92 件、 同 7.0 %増 、 2019 年 110 件、 同19.6 %増 と 3 年連続増加し、ここ数年で件数が 2 倍近くに急増している。

一方で、てんぷら 店 、うなぎ 店 、とんかつ 店 、沖縄料理店などの 「日本料理店」 46 件、 構成比 6.9は 、他業態に比べ件数は少なく、 「すし店」( 18 件、同 2.7 %)や「そば・うどん店」 15 件、同 2.2 %)、「料亭」( 7 件、 同 1.0 %)も同様の結果となった。和食はその他の業態に比べ新規参入が少なく、消費者の嗜好やトレンドに左右されにくい ことなどが要因とみられる。

3. 負債額動向~5000万円未満が8 割超、50億円以上は2013年以降ゼロ~

負債額別にみると、2019 年(1 月~11 月)は「5000 万円未満」の小規模倒産が構成比84.4%(564件)、5000 万円を超える倒産は同15.6%(104 件)となった。「5000 万円未満」の倒産は2015 年から5年連続で8 割超の構成比となっている。

飲食業界はブームやトレンドの移り変わりが激しく、成長半ばにして事業継続が困難となる事業者が多いことが要因とみられる。実際、今年1 月から11 月に発生した全国(全業種)の倒産(7646 件)を業歴別にみると「5 年未満」が12.3%であるのに対し、飲食店は20.4%。また、全国(全業種)の「20 年以上」が48.8%であるのに対し、飲食店は32.8%となっている。

負債額5 億円以上の倒産は11 件発生し、そのうち10 億円以上の倒産は2 件となった。負債額最大となっているのは、「カルビ屋大福」のフランチャイズ事業を展開し今年4 月に破産したシズカコーポレーション(株)。なお、負債50 億円以上の倒産は2013 年以降発生していない。

まとめ

2019年( 1 月~11 月の飲食店の倒産件数は 11 月時点で 668 件発生し、過去最多となるペースで推移している 。

消費者の節約志向は高まる一方で、外食を控えて中食や内食を選ぶ 消費者が増加している。そのようななか今年 10 月には消費税率が 10 %に引き上げられ 、 それに伴い導入された軽減税率により、テイクアウトやデリバリーなどは消費税率が 8 %に据え置かれたのに対し、飲食店の店内で食事をすると消費税率が 10 %となったことなども客離れの要因となった。帝国データバンクが発表している景気動向調査によると、 10 月の飲食店の景気DIは前月比 6.3 ポイント減の 37.3 となり、その影響が伺える。

また、「人手不足」が原因となり倒産するケースが増えつつあり、これからさらに増加する可能性もある 。実際、帝国データバンクが 2019 年 11 月 に発表した 『人手不足に対する企業の動向調査』では、飲食店では非正社員について 78.3 %の事業者が人手不足を感じていると回答して いる 。

12 月に入っても、東京競馬場や中山競馬場でレストラン「メトロ」を運営していた太平洋興業 (株や、ハンバーグ&ステーキ店「 听屋( POUND YA 」などを運営していたデリシャス・リンクス(株)などが破産手続き開始決定を受けた。消費税率の引き上げにより景況感が悪化している飲食店においては、年末に向けてさらに倒産件数が増加することも考えられる。また、 2020 年から施行される予定の改正健康増進法により飲食店などの屋内では原則禁煙となるなど今後も飲食店は厳しい状況が続くと予想される。

転載元:帝国データバンク「特別企画:飲食店の倒産動向調査(2019 年) 」

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