連載:第1回 流通・運輸
貨物運転手の平均的な睡眠時間は6時間未満、5人に1人が「睡眠不足や疲労」で事故に直面
誰もがネット通販を利用するようになり、物流が活発化する一方で、運送業界はさまざまな問題に直面しています。アデコは道路貨物運転手400名を対象に、働き方に関する調査を実施。運転手の過重労働や人手不足が深刻な状況になっており、重大事故につながりかねない現状が浮き彫りとなりました。
厚労省が定める拘束時間に従っているのは6割、4割近くは過密労働
この調査では、正社員もしくは契約社員として運送業界に勤める、道路貨物運転手400人(勤務歴1年以上)から回答を得ています。まず「1日あたりの平均的な拘束時間(労働時間と休憩時間を合わせた、始業から終業までの時間の合計)」を聞くと、もっとも多かったのは「8時間~13時間未満」60.0%、次に多かったのが「13時間~16時間未満」26.3%でした。「16時間以上」と答えた人も9.0%存在します。
厚生労働省は、道路貨物運転手の拘束時間を「原則1日13時間以内、延長する場合でも最大16時間以内」「15時間を超えることができるのは週に2回」と定めています。また「道路貨物運転手は運転開始後4時間以内または4時間経過直後に30分以上の休憩等を確保しなければならない」としています。しかし、かなりの数が従っていないのが現状です。
「1日の拘束時間が15時間を超える回数」について聞くと、こちらも「3回以上ある」と答えた回答者が20.8%存在しました。
さらに「1回の連続運転時間が4時間を超える回数(1月あたり)」については、「1回」4.0%、「2回~4回」11.5%、「5回以上」24.0%と、4割近くが従っていません。
貨物運転手の5人に1人が、「睡眠不足や疲労」で事故に直面
こうした状況は重大な事故を引き起こしかねず、危機的と言えます。労働時間が拡大する一方で、「稼働日の平均的な睡眠時間」については、「4時間未満」6.5%、「4時間~6時間未満」50.5%と回答しており、約6割が6時間未満しか睡眠していません。「睡眠や仕事中の休憩など、体を休める時間を充分に取れていますか」という質問に対しても、44.0%(176人)が「取れていない」と回答しています。
この176人に対し、「睡眠不足や疲労が原因で事故を起こしたこと、もしくは起こしそうになったことはありますか」と質問すると、約半数にあたる47.7%(84人)が「ある」と回答。全体で見ると、運転手の5人に1人が、睡眠不足や疲労が原因で事故を起こしたり起こしそうになったりしていました。
給与への不満が1位、約4割が年収400万円未満
こうした過酷な労働環境が背景にあるためか、「道路貨物運転手として働くなかで、悩んでいることは何ですか」という質問では、「給与が低い」61.3%が1位になっています。実際に個人年収を聞くと、「400万円~500万円未満」26.8%が最多となる一方で、それ以下の「400万円未満」は39.0%を占めています。「500万円~700万円」21.3%も存在しますが、やはり「労働内容に見合っていない」と考える運転手が主流と思われます。
調査方法
調査概要:運送業界の働き方に関する調査
調査方法:インターネット調査
調査時期:2019年9月26日~9月30日
調査対象:運送業界で正社員もしくは契約社員として勤務する日本全国の道路貨物運転手(勤務歴1年以上)
調査人数:400名
※回答者比率
長距離運転手(片道300km以上の距離を配送)50%、短距離運転手(半径200km以内の距離を配送)50%
男性:97.0%、女性:3.0%
20代:0.0%、30代:8.8%、40代:43.5%、50代:41.5%、60代:6.3%
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000563.000001264.html
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}