介護業界の人材不足は解消できる!原因と2025年問題に向けた対策
慢性的な人材不足に苦しんでいる介護業界。団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、各事業所の人手不足がさらに深刻化するといわれています。多くの介護事業所が「介護業界だから人材不足は仕方ない」と諦めている今こそ、自事業所の人手不足解消に取り組む絶好のチャンスです。当記事では、介護業界の人材不足を解消するために必要な情報やノウハウを、人材不足の現状や原因、人手不足によるリスク、解消に効果的な施策、成功事例、公的対策などの項目に整理して分かりやすく解説します。
介護業界における人材不足の現状
度重なる介護報酬の引き下げによって、厳しい経営を強いられている介護業界。 しかし、それ以上に深刻なのが人材不足です。
今、多くの介護事業所は人手不足に苦しんでいます。この現状を打破するためには、戦略的かつ計画的に取り組むしかありません。
まずは介護業界における人材不足の現状について正しく学んでいきましょう。
6割以上の介護事業所が人手不足に苦しんでいる
【出典】介護労働安定センター:平成29年度介護労働実態調査結果について
公益財団法人介護労働安定センターが実施した「平成29年度介護労働実態調査」の結果によると、介護サービスに従事する従業員の不足感は平成25年以降4年連続で増加しているといいます。
また、「大いに不足」、「不足」、「やや不足」の合計が6割を超えていることから、介護サービスの種類を問わず、介護業界全体が深刻な人材不足に陥っていることが分かります。
【参考】介護労働安定センター:平成29年度介護労働実態調査結果について
介護業界の人材不足は年々深刻化している
【出典】ITmedia ビジネスオンライン:日本の介護問題、処遇改善よりも効果的な人材不足への対応策を (1/6)
全職業を対象とする有効求人倍率が緩やかな右肩上がりなのに対し、介護関係職種に限定した有効求人倍率は鋭い角度で年々増加し続けています。
このように非常に高い水準で推移し続ける介護関係職種の求人倍率ですが、働き手が全くいないのかというとそんなことはありません。介護サービス職業従事者は2010年から2015年の5年間で23%(29万人)増加し、「働く人が増えた職業ランキング」でも第2位にランクインしています。
これらのデータから、介護に携わる人材は他業種よりも速いペースで増加しているものの、それ以上のペースで介護需要が高まっている現状を理解することができます。
【参考】ライブドアニュース:働く人が減った職業 実質的な1位は「製品製造・加工処理従事者」
日本政府も危機感を感じている2025年問題とは
団塊の世代が一斉に後期高齢者(75歳以上)となる2025年。
健康寿命は年々少しずつ延びていますが、2016年時点の健康寿命が男性で72.14年、女性で74.79年であることを考えると、2025年前後に介護需要が急増することは想像に難くありません。
要介護者の増加という需要に応えるため、2025年に向けて介護事業所が加速度的に増加することが予測されます。しかし、それを超えるペースで介護人材が増加するとは到底考えられません。
厚生労働省は、2025年に37.7万人もの介護人材が不足すると見込んでいます。全ての介護事業所は、すぐ目前に迫っている今以上に過酷な介護人材争奪戦に向けて、十分な対策を講じておかなければならないのです。
【参考】内閣府:2 健康・福祉 平成30年版高齢社会白書(概要版)
【参考】厚生労働省:2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について
求人に応募者が殺到する介護事業所も存在する
ここまで、介護業界を苦しめている深刻な人材不足の現状についてお伝えしてきました。
しかし、前出の「介護サービスに従事する従業員の過不足状況」において一部の介護事業所が「過剰」と回答しているように、必ずしも全ての介護事業所が現場の人手不足や採用難に頭を悩ませているわけではありません。
介護事業所の多くが「介護業界だから人材不足は仕方ない」と諦め、介護に対するネガティブなイメージが根付いている今こそ、自事業所の人手不足解消に取り組むチャンスです。
介護業界での就業意向を持つ潜在介護人材は数多く存在します。他事業所に先駆けて人手不足解消に取り組むことにより、即戦力となる優秀な人材を獲得し、大きな競争優位性を得ることができるでしょう。
【参考】日本総合研究所:介護人材の働き方の実態及び働き方の意向等に関する 調査研究事業 報告書
介護業界が深刻な人材不足に陥っている原因
介護業界の人材不足を深刻化させている原因は実に様々ですが、「社会的背景」と「介護に対するネガティブなイメージ」の2つに分けることで理解を深めやすくなります。
社会的背景
介護業界の人材不足を深刻化させている社会的背景には以下のようなものがあります。
非婚化や晩婚化による少子化と生産年齢人口の減少
1980年代から少子化が続いている日本では、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が年々減少しています。そのため、介護業界に限らず国全体が深刻な人材不足に陥っています。
【参考】内閣府:Q2 どうして日本では少子化が深刻化しているのですか 選択する未来
平均寿命の延伸と高齢化による介護需要の増加
医療技術の進歩によって、この50年間で平均寿命が10年以上も伸びた日本人。その結果、日本の高齢化率は世界で最も高い水準となりました。
平均寿命の延伸や高齢化に伴い、介護や支援を必要とする人も年々増加しました。
2050年には女性の平均寿命が90年を超える見通しであることから、介護需要は今後さらに増加すると考えられています。
【参考】内閣府:平均寿命の推移
【参考】内閣府:5 高齢化の国際的動向 平成29年版高齢社会白書(全体版)
女性の社会進出と「介護離職ゼロ」への取り組み
かつての日本では、長男夫婦が夫側の両親と生活を共にし、介護が必要な状態になった場合には長男の嫁がその役目を担うことが一般的でした。しかし、女性の社会進出が進むにつれて「介護と仕事の両立」が大きな社会問題となったため、社会全体で高齢者を支える仕組みとして介護保険制度が生まれました。
現在、日本政府は「介護離職ゼロ」をスローガンに掲げ、誰もが必要な時に必要なだけの介護サービス利用できるよう、50万人分の介護の受け皿作りに取り組んでいます。しかし、国家試験である介護福祉士の受験者数を実務者研修の義務化によって大幅に減少させてしまうなど、介護人材の育成に関しては十分な成果をあげることができていません。
このような背景から、有資格者の採用難が年々深刻化しているのです。
【参考】産経ニュース:介護の受け皿「50万人」に拡大 27年度補正予算に必要経費を計上(1/2ページ)
【参考】介護のニュースサイトJoint:介護福祉士国試の受験者半減、最大の要因は研修費負担 支援制度は76%が「知らない」
介護業界に対するネガティブなイメージ
多くの介護事業所を悩ませる深刻な人手不足問題。その根底にあるのは、4K(きつい、汚い、危険、給料が安い)と呼ばれる介護業界に対するネガティブなイメージです。
きつい
「きつい仕事ランキング」で常に上位にランクインしている介護福祉士や介護職員。
やりがいや自己成長を求めて介護業界に入っても、シフト制と激務のせいで学ぶ機会を得にくく、身体と心を酷使する仕事でありながら社会的評価が一向に上がらないことも「きつい」と感じる要因になっています。
【介護が「きつい」といわれる理由】
- 日勤と夜勤が入り交じる不規則な勤務体系
- 大柄な高齢者の身体介助
- 少人数で多くの利用者に対応しなければならない人員配置
- ギスギスした人間関係
- 食事介助や見守りを行いながらの食事休憩
- 会議や研修、勤務予定者の病欠による休日出勤
- 夜勤明けの当日や翌日に勤務
- 理想と現実のギャップ
汚い
多くの一般人が介護の仕事内容としてすぐに思い浮かべるのが「食事介助」、「入浴介助」、「排泄介助」の3つです。
生命の維持や管理に係るこの3つのケアはいずれも重要なものですが、お世辞にもキレイな仕事とはいえません。
【介護が「汚い」といわれる理由】
- おむつ交換やトイレ介助
- 排泄物の処理やトイレ掃除
- 便や尿で汚染した衣類の洗濯
- 口腔ケアや入れ歯洗浄
- 障害によって流れ出るヨダレ
- 認知症患者による便いじりや異食
- 介助時の体の密着
- 入浴中の排尿や排便
危険
人と密に関わる介護の現場には数多くの危険が潜んでいます。
しかし、危機管理能力の向上やボディメカニクスの習得、職場環境の改善など、課題感と目的意識を持って対策を講じることで、事故やトラブルの多くは未然に防ぐことができます。
【介護が「危険」といわれる理由】
- 感染症のリスク
- 介助による腰痛や背部痛
- 不規則な勤務による体内リズムの乱れ
- 慢性的な疲労感
- メンタルヘルスの不調
- 認知症高齢者からの暴言や暴力、セクハラ
- 介護者を巻き込んだ転倒や転落
給料が安い
40歳の平均年収を比較した場合、63業界の中で最も賃金が低い介護業界。1位のコンサル業界と最下位の介護業界の年収格差は3倍にもなるといいます。
【「給料が安い」といわれる理由】
- サービス残業が多い
- 賞与・昇給・手当・退職金が少ない
- 勤続年数や経験、保有資格と見合っていない
- 明確な人事評価の基準がない
- 事業所側の都合でキャリアプランを実現できない
【参考】東洋経済オンライン:格差歴然!40歳平均年収「63業界」ランキング 賃金・生涯給料ランキング
人手不足によって高まる4つのリスク
「なぜ人材が不足するといけないのか」を正しく理解することは、人材不足解消に向けた取り組みを検討する上で大切なことです。事業所内の人手不足が深刻化することで高まる4つのリスクについて学んでいきましょう。
制度上のリスク
全ての介護サービス事業者には、介護保険法や関係令規、関係通知に定められた基準等を遵守し、適切な運営を行うことが義務付けられています。しかし、新たな人材が確保できないまま立て続けに離職者が発生してしまうと、意図せず人員基準を割ってしまうことがあります。
指定基準違反となった介護事業所には、行政から改善勧告が行われます。この改善勧告に従わなかった場合、一部効力の停止や指定取り消しなどの行政処分を受けることもあるため、常日頃から余裕を持った運営を心掛けなければならないのです。
【参考】都道府県・市町村が実施する指導及び監査の流れ
【参考】座間市:平成30年度介護保険指定事業者 集団指導講習会資料
経営上のリスク
人手不足は経営にも大きな影響を与えます。2016年11月にみずほ情報総合研究所が行った調査では、全国550の施設のうち26%にあたる143施設が「ベッドに空きがある」と回答し、その理由として多くの施設が人手不足に関する項目を選びました。
人手不足は新規利用者の受け入れを困難にし、売上を大幅に減少させます。また、採用担当者の人件費や人材紹介会社に対して支払う採用手数料など、採用コストの増大という形でも経営を圧迫します。
慢性的な人手不足に陥っている介護事業所は、その状態から脱しない限り、大きなハンデを背負ったまま同業他社と戦い続けなければならないのです。
【参考】厚生労働省:特別養護老人ホームの開設状況に関する調査研究事業
【参考】セカンドラボ株式会社:介護職の採用費についてのアンケート調査を実施 採用費が増加した施設が7割)
事故発生リスク
起立時や歩行中の転倒、椅子からのずり落ち、食事中の誤嚥や窒息など、介護現場は常に事故と隣り合わせです。そして、介護事故の多くは要介護者から目を離したわずか数秒の間に発生します。
余裕のある人員配置を行うことができない介護施設では、少数の介護職員で多くの入居者に対するケアやお世話を行わなければなりません。しかし、このような過酷な労働環境の中で常に施設全体の状況を把握し、全入居者の安全を確保することは容易ではありません。
人手不足による事故発生リスクの増加は、現場の努力だけではどうにもならないのです。
退職リスク
2017年に公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」の結果によると、介護労働者の半数が働きがいを求めて現在の仕事を選んでいるといいます。しかし、利用者の希望や想いよりも業務の遂行を優先しなければならない介護現場では、入社当時に描いていたような働きがいを感じることはできません。
十分な休息を取ることができず、業務量や夜勤回数の増加によって心身ともに疲弊した介護職員たちは、次第に離職を検討するようになります。「人材不足の深刻化」、「職場の雰囲気や労働環境の悪化」、「離職者増加」の悪循環はそう簡単に断ち切れるものではありません。
この悪循環によって介護現場を崩壊させないためにも、少しでも早く人手不足の解消や職場の環境改善に取り掛からなければならないのです。
【参考】介護労働安定センター:平成29年度介護労働実態調査結果について
介護現場の人手不足解消に効果的な施策
介護現場の人手不足解消を図る上で最も重要なのは、計画的に取り組み、時間をかけてゆっくりと魅力ある職場づくりを行うことです。
施策の実施目的を正しく理解した上で取り組めるよう、介護現場の人手不足解消に効果的な施策を「採用難の緩和」、「離職防止」、「労働生産性の向上」の3つに整理して紹介します。
採用難の緩和
どれだけ入念に離職防止策を講じても、配偶者の転勤や結婚に伴う引っ越しなど、事業者側の努力だけではどうすることもできない理由で多少の離職者は発生してしまいます。
しかし、スムーズに新たな人材を確保できる環境が構築されていれば、慌てることなく丁寧に対応することができます。
「人手不足解消」だけを目的とした採用をやめる
慢性的な人手不足に苦しんでいる介護事業所は、リスク増加に対する不安をいち早く解消するため、「どんな人材でも良いからとにかく早く雇用したい」と考えがちです。しかし、職場環境や既存職員との相性を無視し、勢いだけで採用した介護職員が職場に定着することはほとんどありません。
頻繁な人の出入りは既存職員の負担を増加させるだけでなく、職場の雰囲気の悪化やサービスの質の低下にも繋がります。また、「常に求人を出している介護事業所=何か問題を抱えている」という先入観から、求人に対する応募数を激減させてしまいます。
大切なのは、現場が人手不足で苦しい時ほど、採用の質を高めることです。応募者一人ひとりに対してしっかりと向き合い、自事業所との相性を見極めた上で採用することにより、定着率を高め、「求人があまり出ていない=魅力的な職場」というイメージを植え付けることが可能となるでしょう。
応募時点でのマッチング率を高める
戦略的な採用を心掛けた時に問題になるのが、「人材の厳選」と「早期の人材確保」のジレンマです。次にいつ応募者が現れるか分からない状況下で不採用を決断することは難しく、求めている人物像と多少異なっていても、その差異から目を背けて採用を出してしまうことがあります。
求職者の多くは、求人票や求人広告、ホームページなどに載せられた情報を判断材料として応募するかどうかを決めています。そのため、これらの媒体に自事業所の良い点だけでなく、あえて悪い点も載せることで、大きなミスマッチを未然に防ぐことができます。
抱えている課題や改善に向けた取り組みについて包み隠さず発信することは、介護事業所のイメージアップにも効果的です。魅力ある職場づくりに積極的に取り組んでいる姿勢を示すことで、高い志を持った人材を呼び寄せることができるでしょう。
離職防止
離職防止に取り組むということは、就労意欲の高まる職場を実現し、いつまでも働くことのできる労働環境を構築するということです。魅力ある職場づくりを進めることで、既存職員からの紹介による人材獲得も容易となります。
自事業所が抱えている全ての課題を洗い出し、それらの解消に効果的な施策を実施することで、離職率の大幅な低下を実現させることができるでしょう。
【関連】社員の離職を防止するために、企業としてできる対策法をご紹介/BizHint
離職防止に効果的な施策
離職防止に効果的な施策には以下のようなものがあります。
- 移乗用リフトや寝返り支援ベッドの導入
- メンタルヘルス対策
- 職場コミュニケーションの活性化
- 定時退社や休暇取得がしやすい職場作り
- 雇用形態による待遇差の解消
- 働き方の多様化
- 各種ハラスメント対策
- キャリアパスの明確化
- 人材育成体系の構築
- 個々のニーズに合わせた学習機会や研修機会の提供
労働生産性の向上
既存職員一人ひとりの労働生産性を高めることは、人手不足の根本的な解決を図る上で重要なことです。業務上のムダを省くことで、人手不足による負担の増加を最小限に抑え、さらなる離職を防ぐことができます。
十分に高められた労働生産性は、人手不足の解消後も大きなアドバンテージとして活用できます。人手不足の深刻化を防ぎ、事業所の競争優位性を高めてくれる労働生産性の向上は、攻守揃った非常に優秀な施策なのです。
労働生産性の向上に効果的な施策
労働生産性の向上に効果的な施策には以下のようなものがあります。
- 業務プロセスの見直し
- 紙書類のデジタル化
- 申し送りや会議の効率化
- 周辺業務の切り出し
- 多様な人材の活用と人財配置の適正化
- 介護手順書やマニュアルの整備
【関連】労働生産性とは?定義や計算式、問題点や向上のためのポイント/BizHint
人手不足解消の成功事例
ここでは、課題感を持って人手不足の解消に取り組むことで、大幅な離職率の低下や自分らしく働き続けられる職場の実現に成功した2法人の事例を紹介します。
大幅な離職率の低下を実現 / 社会福祉法人あかね
スタッフのキャリアアップを支援する「ケアマイスター制度」や職業体験を通じて地域の子供達に介護の魅力を伝える「キッザケア」など、独自の取り組みを数多く実施している社会福祉法人あかね。
社会福祉法人あかねは、研修制度の充実とコミュニケーションの強化に注力することによって、大幅な離職率の低下を実現させました。
取組内容
- 非正規職員を含む 全スタッフへのヒアリングとカウンセリングを実施
- 新人スタッフ に対して月1回の研修と個別のコーチングを実施
- 「ルーキーSEE研修」や「次世代リーダー研修」など、 階層ごとに実施する研修制度を用意
- フロアリーダーの選定とリーダーによる フロアスタッフへのコミュニケーション強化
- 「チームで問題解決できる体制づくり」を ミッション化
効果
- 「辛い」や「辞めたい」などの ネガティブな声が激減
- 2年間で 社員離職率が約18%から4%に低下
- パートスタッフの離職率も24%から14%に改善
【参考】リクナビNEXTジャーナル:【介護業界は変われるのか?】「人材定着」に本気で取り組む、介護業者と自治体の取り組みレポート
【参考】日本ケアマイスター協会:介護技術認定制度ケアマイスター
【参考】HELPMAN JAPAN:福祉施設で介護の職業体験 小学生が参加する『キッザケア』とは?
自分らしく働き続けられる職場を実現 / 社会福祉法人甲山福祉センター
業界に先駆け、30年以上前から女性が働きやすい環境の整備に注力している社会福祉法人甲山福祉センター。
社会福祉法人甲山福祉センターが実施している施策はいずれも離職防止に絶大な効果を発揮しています。
取組内容
- 8週間の産前産後休暇、つわり休暇、生理休暇 など充実した休暇制度
- 男性の育児休暇取得を推奨
- 日勤専従や時短勤務など 勤務形態の多様化
- 休みを取りやすい 雰囲気の醸成
- 入職3カ月目と6カ月目に新人職員の フォローアップ研修 を実施
取組効果
- 産休や育休後の 職場復帰率がほぼ100%
- 新卒3年後の 離職率4.8% を達成
- 自分らしく働き続けられる職場の実現
【参考】リクナビNEXTジャーナル:【介護業界は変われるのか?】「人材定着」に本気で取り組む、介護業者と自治体の取り組みレポート
2025年問題に向けた公的対策
介護需要の爆発的な増加が予測される2025年に向け、国や都道府県は介護業界の人材不足解消を実現させるために様々な対策を講じています。
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算とは、介護職員の処遇改善を主な目的として創設された加算制度です。
キャリアアップの仕組みを作ったり、職場環境の改善に取り組んだ介護事業所に対し、介護職員の賃金にあてるためのお金が支給されます。
介護職員等特定処遇改善加算の創設
介護職員等特定処遇改善加算とは、2019年10月に実施予定の19年度介護報酬改定において新たに創設される加算制度です。
介護職員等特定処遇改善加算は、ベテラン介護職員のうち最低1名の賃金を月額8万円以上増やすか年収を440万円以上にすることができた事業所に対して支給されます。
【参考】Yahoo!ニュース:介護職員の処遇改善 新加算の要件固まる(福祉新聞)
返還免除の条件がある貸付制度
各都道府県の社会福祉協議会は、潜在介護人材の呼び戻しによる採用難の緩和や介護福祉士の増員を目的として、返還免除の条件がある貸付制度を用意しています。
介護ロボットの開発・普及の促進
厚生労働省は、実用性の高い介護ロボットの開発や要介護者の生活の質の維持・向上、介護者の負担軽減を目指し、介護ロボットに関する研究や開発、介護現場への導入を支援する様々な取り組みを行っています。
外国人介護人材の受入れ
「国内人材の確保対策を充実させ、強化していくこと」を介護人材の確保の基本とした上で、各制度の趣旨に沿った形で進められている介護業界への外国人人材の受入れ。日本政府はこれらの取り組みについて「人材不足への対応ではない」と断言しています。
しかし、新在留資格である「特定技能1号」の対象者として、2019年4月からの5年間で5~6万人の外国人介護人材の受け入れを見込んでいるなど、人材不足の解消や緩和に一定の効果を期待していることが見て取れます。
【外国人介護人材の受入れに関する取り組み】
- EPA(経済連携協定)に基づく受入れ
- 技能実習制度への介護職種の追加
- 資格を取得した留学生への在留資格付与(在留資格「介護」の創設)
【参考】東京都福祉保健局:介護分野における外国人人材に関する 諸制度や動向
【参考】日本経済新聞:介護5年で最大6万人の外国人受け入れ 法務省が規模提示
まとめ
- 多くの介護事業所が人手不足に苦しんでいるが、十分な人材を確保できている介護事業所も中には存在します。
- 介護業界の人材不足は年々深刻化しており、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には37.7万人もの介護人材が不足するといわれています。
- 少子高齢化や女性の社会進出、業界に対するネガティブなイメージが介護業界の人材不足を深刻化させています。
- 人手不足は「制度上のリスク」、「経営上のリスク」、「事故発生リスク」、「退職リスク」の4つのリスクを高めます。
- 「採用難の緩和」、「離職防止」、「労働生産性の向上」の3つを心掛けながら魅力ある職場づくりに取り組むことで、人手不足の解消を実現させることができます。
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