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中小企業の後継者不足が深刻化?理由と対策とは

BizHint 編集部 2019年2月27日(水)掲載
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中小企業の後継者不足が深刻な状況に陥っています。このままでは、中小企業が持つ貴重な技術力やノウハウが失われ、日本の国際的な競争力が低下し経済に深刻なダメージを与えかねません。本記事では、中小企業の後継者不足が深刻化している理由や、その対策について解説していきます。

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後継者不足で中小企業の廃業が相次ぐ⁉その実態とは

中小企業の後継者不足は、すでに廃業の増加という結果となってあらわれています。長期的な好景気を背景に倒産が減少しているにもかかわらず、休廃業・解散は増加傾向にあります。

2016年の休廃業・解散件数は2000年と比較して2倍に迫り、過去最高となりました。事業が黒字で高い技術力を持っているにもかかわらず、廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

【出典】2017年度版中小企業白書

こうした傾向は今後も続くことが予想されています。その理由は、廃業予備軍ともいえる「後継者がいない、あるいは不足している企業」の割合が増加していること。事業承継の問題は、官民をあげて早急に対応する必要がある、緊急度の高い日本全体の課題です。

後継者がいない中小企業の割合は?

実際に、後継者不在率は、2018年に66.4%と高止まりしています。実に企業の3社に2社が後継者不在という状況です。

【出典】帝国データバンク

一方で、後継者不在率を社長の年代別にみると、「30 代」と「40 代」では過去最高となったものの、「60 代」~「80 代以上」では調査開始以降で最低となりました。

それでも代表者が80代以上と高齢にも関わらず後継者がいない企業が30%を超えており、決して安心できる状況ではないのです。

後継者不足で廃業を検討する企業も多い

後継者がいないとなると、いよいよ廃業が視野に入ります。東京商工会議所の「事業承継の実態に関するアンケート調査」では、親族や従業員への事業承継を断念した場合にどうするか、調査結果を公表しています。

【出典】東京商工会議所

この調査結果では、取引先を含めたM&Aによりなんとか存続を模索するものの、その時点で廃業を検討する企業が約2割となっています。たとえ黒字企業でも、廃業を検討している可能性が高いことにも注目するべきでしょう。

2017年度版中小企業白書によると、黒字での廃業は半数を超えています。

【出典】2017年度版中小企業白書

中小企業の廃業が日本経済に与える影響

黒字企業の倒産は、日本経済に深刻なダメージを与えることにつながります。利益を創出しているにもかかわらず廃業することは、GDP減少させる圧力となるからです。実際に、中小企業庁の「中小企業・小規模事業者政策について」の資料では、このまま廃業を放置すれば、2025年までに約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるとしています。

しかし、中小企業の廃業が与える影響はそれだけではありません。中小企業がもつ日本が誇るものづくりの技術力やノウハウが失われる可能性があるのです。自動車などの完成品メーカーの競争力を支えているのは、部品を供給するような中小零細企業ともいえます。

事業承継に苦しむ中小企業を標的に、中国や韓国などの企業が買収交渉に加わるケースも取りざたされるなど、技術力やノウハウの流出も懸念されています。中小企業の廃業は、日本の国際的な競争力を低下させることになるでしょう。

【参考】中小企業庁:「中小企業・小規模事業者政策について」

後継者不足(不在)になる理由

事業承継問題が深刻化している理由について、詳しく説明していきます。

理由1:少子高齢化

日本では親族内承継が多くそのほとんどが後継者の子となっています。とくに、小規模企業や個人事業者においてはその傾向が顕著にあらわれ、後継者の子が事業承継する割合は半数にのぼります。

【出典】2017年度版中小企業白書

中小企業でも規模が大きくなると親族外承継の割合が増加しますが、小規模企業や個人事業主を中心に、事業の承継は子が担う傾向が続くと予想されます。

しかしながら、今は少子高齢化で子どもの数自体が減っています。そもそも子供がいないというパターンも増えるでしょう。少子高齢化は、跡取り候補の不足という形で後継者不足に影響を与えます。

理由2:価値観の変化

「親の会社は当然、子が受け継ぐもの」といった価値観が失われつつあることも、後継者不足や後継者不在の問題と無関係ではありません。前掲の中小企業白書のグラフでは、小規模企業でも中小企業でも、親族間承継が減少傾向にあることが顕著に現れています。

こうした価値観が生まれた背景には、働き方の多様化があげられます。親の事業を引き継ぐことが最適な選択肢であるとは言えないのです。逆に経営者の側でも、資質などの問題により子以外に承継させたいという考えを持つ方が一定数存在します。

経営者もそしてその子も、子への事業承継が必ずしも最適ではないという考え方が浸透し、結果的に承継先が容易に見つからないという事態を引き起こしているのです。

理由3:早期の対策ができていない

早期に後継者選びに着手していないことも、後継者不足や後継者不在になる理由としてあげられます。実は後継者選びには時間がかかります。中小企業が後継者を選ぶのに要した期間は、3年超が全体の4割弱を占めるのです。

【出典】2017年度版中小企業白書

そして、後継者の育成は後継者の了承を得ないことには始まりません。後継者を選び、ノウハウの継承等の教育および、経営者を補佐する人材を育成していくことを考えると、本来であれば10年程度、最低でも5年程度の長期的な視点で事業承継を進めていく必要があります。

実際に、後継者決定に至らない理由として、「後継者の能力がまだ不十分」と回答する人は50%を超え、「候補者の了承がない」も上位に入ります。事業承継対策を先延ばしにしていることも、後継者不足の問題を深刻化させる要因となっているのでしょう。

【出典】中小企業白書

後継者不足に対する対策の選択肢

後継者不足に対する有効な対策は、後継者の選択肢の幅を広げることにあります。それでは事業承継を引き受けてくれる後継者として、どのような選択肢があるのでしょうか。

親族への事業承継

親族内承継は規模が小さくなるほど多い傾向にあり、最も有力な事業承継の手法といえます。親族であれば、従業員や取引先、金融機関の理解が得やすく、株式の引継ぎもスムーズに進めるられるでしょう。

親族内承継のもっとも有力な候補者は、経営者の子です。実際に、親族内承継を選択する場合、その9割程度は経営者の子供が担います。

【出典】2017年度版中小企業白書

ここで重要なことは、なるべく早く後継者候補に承継の意思があるかどうかを確認することです。経営者は「当然子供が承継してくれるはず」と考えているかもしれませんが、子供は事業承継とは異なるキャリアを思い描いていることも多いはずです。

まずは早期に承継の意思があるかどうかを確認し、その意思があるのであれば、後継者としての教育をできるだけ早く始めましょう。逆に事業承継の意思がないのであれば、親族以外から後継者を探し始めなくてはいけません。

社員への事業承継

子を含む親族に承継の意思がないようであれば、親族以外に後継者候補を見つけましょう。実は親族内承継は減少傾向にありますが、従業員が承継する「内部昇格」は増加傾向にあります。

【出典】2017年度版中小企業白書

親族内承継が難しいようであれば早々に見切りをつけ、視野を広げて内部昇格を検討してください。このとき、取引先など外部からの招へいも事業承継対策として候補にいれてもよいでしょう。

内部昇格であれば、会社の実情をよく知る従業員に承継させることができるため、承継後の事業展開も比較的スムーズです。ほかの従業員からも、「あの人であれば」という理解が得られます。また、親族以外でも事業を承継できるという事実は従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。

一方で、内部昇格による事業承継は難しい調整が必要である点も忘れてはいけません。まず承継する従業員は、経営権を引き継ぐために経営者がもつ株式を買い取る必要があります。しかし、多くの従業員は株式を買い取るほどの資金的な余裕がありません。加えてほとんどの場合、経営者が個人保証している会社の負債が従業員にのしかかることになります。

従業員への事業承継は決して簡単ではなく、乗り越えるべきハードルもありますが、親族内承継が難しい場合には検討したい選択肢です。

事業の売却(M&A)

親族内承継や従業員への承継が難しいとなると、事業承継による会社の存続は難しいため、いよいよ事業の売却という選択肢を取ることになります。

しかし、会社を存続させるために事業売却を選択するケースは増加しています。安易に事業の継続を諦めて廃業を選ぶのではなく、積極的にM&Aの活用も検討してみてください。

【出典】2018年度版中小企業白書

M&Aといっても、思うほどハードルが高いものではありません。まずは事業売却の意思を取引先や金融機関、商工会・商工会議所などの支援機関に相談することから始めてみてください。身近に買収に興味を示す企業がある場合も少なくありません。

それでも買収先が見つからない場合に相談したいのが、公的機関、もしくは民間の仲介業者です。公的機関としては、事業引継ぎ支援センターが日本全国の都道府県に設置されており、事業承継の相談に無料で対応してくれることに加え、アドバイスやサポート、譲受候補企業の紹介もしてくれます。慣れないM&Aも安心して進められるでしょう。

近年急速に増加しているのが、民間のM&A仲介業者です。全国に広がるネットワークで、売り手と買い手のマッチングを支援します。買収契約に至る交渉支援やコーディネートをしてくれる場合もあります。中小企業でもM&A仲介業者を使って事業承継に成功したケースは少なくありません。

まとめ

  • 中小企業の廃業は増加傾向にある危機的な状況で、休廃業・解散件数は、2016年には2000年比で約2倍となり過去最高を記録しました。
  • 中小企業の3社に2社は後継者が不在で、後継者不在の企業の2割は廃業を検討している状況です。
  • 事業承継の候補先は子を中心とした親族内承継が有力ですが、親族外承継やM&Aの活用も視野に入れて検討するとよいでしょう。

<執筆者>
香川 大輔 中小企業診断士

千葉大学工学部卒業。ベンチャー企業における営業、企画、マーケティング業務を経て、富士ゼロックス関連会社でシステム提案営業に従事。

2015年、中小企業診断士登録。現在では独立し、地域に密着した経営支援や新規事業コンサルティングに加え、セミナー活動や執筆活動など幅広く活動している。


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