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連載:第18回 組織改革 その根幹

「指示待ち組織」を蘇らせたリーダー。社員の主体性を引き出すためにやめた、二つのこと

BizHint 編集部 2025年12月25日(木)掲載
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「会議中はみんなが下を向き、お通夜のようでした」。特殊扉メーカー・岸産業株式会社 代表取締役社長の岸晃広さんは、専務として経営を担っていた頃を振り返ります。経営状況に強い危機感を感じながらも、いつの間にか自らが指示待ち組織を作り上げていたことにハッとした岸さん。転機となったのは、2021年に参加したセミナーでの「ある気づき」でした。それをきっかけに、「2つのこと」をやめる決断をします。結果、現在では現場から改善提案が次々と上がり、活発な議論が交わされる組織へと変化しました。岸さんが、組織を180度転換させるためにやめた「2つのこと」とは。詳しく伺います。

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「社員の主体性を奪っていたのは自分」と目が覚めた。主体性を引き出したリーダーがやめたこと

――岸さんが入社された当時、会社はどのような状態だったのですか?

岸 晃広さん(以下、岸): 私は2000年に入社したのですが、その頃の状態を振り返ると、 典型的な「指示待ち組織」だった と思います。先代である父は、トップダウン型のマネジメントでした。 社員は上から言われたことに従うだけで、自ら考えて動くことはありませんでした。 経営も厳しかったのですが、仕事が無いことに焦りを感じる様子も無く、私は危機感を募らせていました。その後「このままではいけない」と、私が中心となって新規事業の開拓やエリア展開など、どんどん仕事の幅を広げていきました。

2013年に専務取締役に就任し、実質の経営を任されました。ただ、 指示待ち組織に危機感を感じていたものの、プレイングマネージャーとして第一線で活躍していた私は、いつの間にかトップダウン型のマネジメントに陥っていたのです。

当時はすべての会議に出席し、現状を把握しようとしていました。そして、数字が悪かったり失敗したりすると、その理由を追及。結果、 社員の表情からは活気が消え、「指示待ち」の空気はさらに蔓延していきました。 当時、売上の半分ほどを私一人で担っており、今思えば「自分だけがやっている」という傲慢さがあったのかもしれません……。

2021年、あるセミナーに参加したのですが、そこで自分自身に対する根本的な気づきを得て、ハッとしました。 その気づきによって、私は経営者としての「あり方」を180度転換。社員たちへの接し方を大きく変えました。

――どのような「気づき」だったのでしょうか?

岸:私自身、社員を過小評価していたという気づきです。 つまり、社員を信用していなかったのです。だから、常に監視し、指示し、権限を与えていなかった。できないところばかりが見えていたんです。それが、結果的に社員の主体性を奪っていたのでしょう。本当に、反省ですね……。

その気づきを得てから、私は二つのことをやめました。

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