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連載:第11回 組織改革 その根幹

「優秀な人材を採用すればうまくいく」は経営者の幻想だった。社員の離職を止めたリーダーの気づき

BizHint 編集部 2025年9月10日(水)掲載
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どうすれば離職を減らし、社員がいきいきと働ける職場になるのか――。そのヒントは、愛媛県に本社を置くデジタルマーケティング会社 株式会社Shiftの軌跡にありました。かつては離職率が約40%という危機的状況で、組織は完全に二分化。代表取締役 岡本哲郎さんは「会社を辞めるべきか」と考えるほど追い詰められていました。しかし現在は、人材流動性の高い業界にありながら離職率11%という低水準を実現。さらに、一人ひとりの当事者意識が高く、自ら考え動く組織へと変貌を遂げています。同社はなぜ、人材流出の負のスパイラルから脱却し、人が辞めない組織へと生まれ変わることができたのか。そこには、岡本さんが危機から学んだ人材定着を実現するための、重要な気づきがありました。詳しく伺います。

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「優秀な人材を採用すればうまくいく」は経営者の幻想

――貴社は組織改革に取り組まれ、離職率が40%近い状態から11%まで減少。現在は、過去最高に組織状態が良く、社員満足度もお客様満足度も高い状態だとか。

岡本 哲郎さん(以下、岡本): そうですね。 人材流動性の高い業界ですが、当社の社員はいきいきと働き続けてくれています。 少し会社について説明すると、当社は2006年創業のデジタルマーケティング支援会社です。現在、従業員数は51名となっています。

当社は創業以来、順調に規模を拡大し、いつしか西日本最大級のデジタル広告運用会社と言われるようになりました。 それと同時に、中途採用で応募してくる人の履歴書の内容がレベルアップしていきました。 例えば、海外の日本大使館に勤めていたとか、公務員や大手銀行を退職して入社したいとか……。私は「この会社にも、こんな高学歴の人たちが応募してくれるようになったのだ」と嬉しくなり、どこか調子に乗っていたと思います。それが、2017年頃のことです。

そういった方々は向上心も旺盛で、コミュニケーション能力も高い人が多かったので、どんどん採用しました。 しかし、2〜3年経つと次々と退職してしまったんです。当社でスキルを身につけて、コンサル会社や大手に転職してしまった。 つまり、ステップアップとして考えられていたわけです。今思えば、私の技術と経験不足だったなと反省しています……。

時期を同じくして、社員数名がお客様先に転職し、仕事をそのまま持ち出すという事態が起こりました。これは、業界ではご法度な行為。さらにその社員たちは、残った同僚に対して経営陣への不信を煽るような発言を繰り返しました。結果、現場VS役員陣のような形で組織が二分してしまい、それによってさらに多くの社員が会社を去りました。当時は、組織の雰囲気も最悪でしたね……。人がいなくなることも辛いですし、人がいなければ仕事も受けられない。業績にも大きな打撃がありました。 まさに組織崩壊であり、本当に会社の存続に関わる一大事でした。それが、2022年頃のことです。

退職の連鎖が起きれば、辞めた人の業務を残った社員がカバーしたり、新たな人材育成の負担も増えます。また、担当者が頻繁に変わることでお客様との関係性も構築できず、社員満足度も顧客満足度も下がっていました。

とにかく人材の定着が急務だと藁にもすがる思いで、全国で定着率の高い中小企業を視察して回りました。 その中で、ある経営者に言われた一言にハッとしました。そして、そこでの気づきが現在の組織づくりの礎となり、人が辞めない会社に変化したきっかけになっていると思います。

――それは、どんな言葉だったのでしょう?

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