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2017年5月26日(金)更新

派遣・契約社員の2018年問題

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目次

    1.2018年問題とは

    改正労働契約法に定められた「無期転換ルール」

    遡ること2013年(平成25年)。大きな法改正があったことを御存知でしょうか。

    2013年4月、労働契約に関する法律「労働契約法」が改正され、「無期労働契約への転換」などの新しいルールが導入されました。いわゆる「無期転換ルール」は同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約(以下、有期契約)が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者(契約社員やパートなどの雇用期間が定められた社員)は無期労働契約(以下、無期契約)への転換を申し込むことができる、というものです。

    この改正は2013年4月に施行されましたが、実質的に該当者が現れるのは施行から5年が経過する2018年4月以降になります。そのため、使用者、労働者ともに大きな転換の年となり、さまざまな問題も考えられることから「2018年問題」と呼ばれています。  

    有期契約労働者から無期契約労働者への転換の条件は??

    1. 「同一の使用者」との間に有期契約の通算期間が5年を超える場合
    2. 労働者が使用者に対して無期契約への転換を申し込んだ場合

    この2点がそろったときに、「無期転換ルール」が適用されます。

    ただし、1.の通算期間については、改正労働契約法の施行日=2013年4月1日以降の期間のみが対象となるため、2013年3月31日以前に開始された雇用契約期間は通算されません。  

    有期契約労働者から無期契約への転換を申し込まれたら・・?

    有期契約で通算5年を超える労働者が、無期契約への変更を申し込んだ場合、原則、会社側は拒否することができません。

    申し込みを受けた使用者は、この申し込みを承諾したものとみなされ(無期契約の成立)、現在締結している労働契約期間満了日の「翌日」から無期契約が開始されることになります。

    無期転換ルールは契約社員やパートなどの有期契約労働者側からすると、契約更新の時期が来るたびに起こる「雇い止め」の不安から解放されるでしょう。そのため、政府が考えた通り、無期転換ルールは非正規労働者の職業の安定につながるとても良い制度にみえますが、やはりそう簡単にはいかないことが予想されています。  

    2.誤解を招きそうな2つのポイント

    無期雇用労働契約=正社員?

    無期転換ルールについて勘違いされがちなのが「無期契約」=「正社員」という誤解です。残念ながら、無期契約になったからといって、正社員になれるわけではありません。定年まで契約更新をすることなく、「自動的に雇用が継続する」というだけのことです。

    では、実際に転換される際には「転換後の労働条件をどうするか」という問題がありますが、改正労働契約法は、転換後に正社員同等の労働契約にすることまでは義務化していません。転換後の賃金、福利厚生などの労働条件は、転換前の条件と同じでもかまわないのです。

    ただし、政府は「同一労働・同一賃金」による正規・非正規労働者間の賃金格差の縮小も検討しています。今後、有期契約労働者が無期契約労働者になると、正社員の待遇についても検討する必要がでてきそうです。  

    勤続5年を超えると有期契約労働者を雇えなくなる・・?

    「勤務5年を超える有期契約労働者は必ず無期契約に転換しなければならない」という誤解もいたるところで生じています。無期転換ルールを定めた改正労働契約法の第18条をよく読んでみると、有期契約が通算5年を超えた労働者が「申込みをしたときは」無期労働契約が成立するとしています。「有期契約のまま5年を超えて雇用してはいけない」とはどこにも記載されていません。

    無期転換を申し込む権利(無期転換申込権)は労働者の権利で、申し込みを実際にするかどうかは労働者自身が決めることができます。そのため、労働者が「無期契約」への転換を申し込まなければ有期契約のまま更新することも可能なのです。 ただし、今回の契約更新時は申し込みをしなかったとしても、次回の契約更新時に労働者の申し込みがあれば無期労働契約に転換され、会社は認めざるをえません。  

    3.2018年よりも前に起こる2017年問題

     

    2017年問題とは

    2017年に入ったことで、「2018年問題」がテレビや新聞、雑誌などのメディアでも一層、大きく取り扱われることが予想されています。そのため、2017年は使用者側が、先述のような誤解によって「2017年の間に契約更新をやめてしまおう」と考える可能性がでてきます。

    いわゆる「雇い止め」ですが、今回の改正労働契約法には、「雇い止めの法理」という判例上のルールも組み込まれています。

    1. 過去に反復更新された有期契約で、その雇い止めが無期契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
    2. 労働者において、有期契約の契約期間の満了時にその有期契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

    上記のいずれかに該当する場合には、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」とされ、雇い止めが認められず、これまでと同様の労働条件で有期契約を更新することができます。さらに、更新により、通算契約期間が5年を超えている場合は無期転換ルールの対象になります。  

    気になる他社の動向は

    では、2018年問題へのカウントダウンの中、他の企業はどんな対策を立てているのでしょうか。

    一般企業の対応について、独立行政法人労働政策研究・研修機構は「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査」(2015年12月18日)を実施しました。調査によると、フルタイムまたはパートタイム契約労働者を雇用している企業では、6割を超える企業が「何らかの形で無期契約にしていく」と回答しています。

    この回答は、前回調査(2013年公表)の結果から約1.5倍増加しており、ここ2年ほどの間に着々と準備を進めていることが分かります。

    出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構

    参照:http://muki.mhlw.go.jp/overview/business.html 引用元:改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査 http://www.jil.go.jp/press/documents/20151218.pdf   

    4.2018年問題、派遣社員はどうなる?

     

    2018年問題は派遣社員にも訪れます

    一般企業と同様に、派遣社員の派遣元である人材派遣会社でも「無期転換ルール」が適用されますが、派遣社員の場合はより深刻な問題が予想されています。

    2015年(平成27年)には労働者派遣法も大改正され、有期契約の派遣労働者は派遣先が同じ課やグループなど(同一の組織単位)の場合、働ける期間の限度が原則、3年になりました。これは、同一の事業所への派遣期間制限(3年)とは別に設けられた「派遣労働者個人単位」の期間制限です。

    こちらも2015年10月1日から3年後の2018年9月30日までが限度となるため、また別の2018年問題が生じることになります。

    ただし、無期契約で派遣会社に雇用されている派遣社員には、この期間制限は適用されません。  

    派遣元に転換申し込みが殺到する?!

    2018年4月になると、5年無期転換ルールの適用となる派遣労働者は、派遣元の会社に無期転換の申し込みができるようになります。そうなると、派遣会社は派遣労働者を無期雇用派遣として雇用しなければなりません。

    先述のとおり、無期契約で雇用されている派遣社員は、3年の期間制限の適用を受けずに済むため、大多数の派遣社員が無期転換の申込みをすることが予想されます。  

    無期雇用派遣の働き方

    では、「無期雇用派遣」とは、一般的な登録型派遣とどう違うのでしょうか。

    従来の登録型派遣の場合、事前に派遣会社に登録を行い、希望と合致する派遣先会社がみつかったときに初めて派遣契約を結びます。

    そして、派遣先での契約期間が終わると、派遣契約も終了となり、次の派遣先企業が見つかるまでは実質的には無職状態となります。

    ところが、「無期雇用派遣」の場合、派遣会社に登録する時点で、派遣会社と雇用契約を結びます。そして、希望と合致する派遣先がみつかったときは派遣先に赴き、派遣先との契約期間が終了しても、派遣元との雇用契約は継続するため給料が発生し、派遣元での勤務や待機することになります。

    派遣社員にとっては派遣切りに脅えることなく、安定感を得られる働き方ですが、昨今の派遣業界事情を考えると、無期契約を結べるような派遣会社は少数であろうといわれています。2017年中の契約更新はより慎重になり、2018年2月頃になると3月末での雇い止めを通知される恐れがあります。  

    無期転換ポータルサイト

    このように、多くの混乱が生じる恐れのある2018年に向けて、厚生労働省が無期転換ポータルサイトを開設しています。

    無期転換ルールの概要や制度導入のポイント、企業の事例紹介、また、制度導入に役立つ就業規則の規定例なども公開されているので参考になるでしょう。

    雇用の安定を図ることは労働者の能力を向上する機会になるとともに、労働者にとっては意欲を高めることにもつながります。一方、企業にとっても企業に貢献してくれる人材の確保は極めて重要なことです。

    しかし、企業側の経営事情、労働者の適正や能力を考えると、希望者全員を無期雇用にするのは難しいという状況もあるでしょう。その場合には、早い段階から契約更新の都度、業務量や適正能力をチェックして企業への貢献が期待できる人材かどうかを見極める必要があるかもしれません。

    人材の見極めは決して容易なことではなく、慎重さが重要です。厚労省も雇い止めについては、その必要性を「十分慎重に」検討して判断するよう求めています。特別の理由もなく、単に無期転換ルールの制度利用を阻止する目的で雇い止めをすることは許されません。厚労省のポータルサイト等を参考にして慎重な対応を心がけてください。

    企業側の準備としては、2018年の時点で社員のうちどの程度の人が無期転換ルールに該当するのか、まず実態を把握することから始めるとよいでしょう。また、無期転換後の労働条件については、労使間でよく話し合っておくことも必要になります。直前になって焦らないよう、一刻も早く、社内方針等を取り決め、その内容を就業規則に規定して労働者に周知しておくことなどが必要です。 有期契約労働者の無期転換ポータルサイトはこちら ⇒ http://muki.mhlw.go.jp

     

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