close

はじめての方はご登録ください(無料)

メニュー

BizHint について

カテゴリ

最新情報はニュースレター・SNSで配信中

連載:第7回 進め方いろいろ「中小企業の働き方改革」

1年で1/5が退職するブラック体質の企業が、各種表彰を受けるまでにホワイト化した理由

BizHint 編集部 2022年1月18日(火)掲載
メインビジュアル

残業時間は月80時間で休日出勤も慢性化、1年で社員の1/5が退職する“ブラック”な会社だったと振り返るのは、徳島県に本社を置く製造メーカー、船場化成株式会社。2014年まで多くの作業がアナログで、1日100枚の製造ラベルをひたすら手書きする社員もいたのだとか。そんな状況下、3代目社長が少しずつ改革を進めていきます。結果、残業時間は1/4になり離職率も低下。その過程にあったのは「従業員の意識の大きな変化」でした。今回は、23年以上会社とともに歩んでこられた総務部長 村田 道彦さんに、組織が変化する道のりや、アナログ組織に変革を起こすためのヒントをお聞きしました。

メインビジュアル

船場化成株式会社 総務部長 村田 道彦さん


船場化成株式会社
(製造業/従業員数308名※グループ全体・2021年9月現在)

徳島県に本社を置く、ポリエチレンフィルム製造メーカー。1955年創業。国内最大級、最新鋭の製造ラインを誇る。ポリエチレン樹脂を主原料とした、環境型レジ袋、自治体のゴミ袋、産業用フィルムなどを製造・販売。徳島県内に2箇所の製造拠点と、東京・大阪・名古屋の3箇所に営業拠点。また、青森、福岡、徳島に関連会社がある。


離職が相次ぐブラックな職場。残った社員の負荷増大で負のスパイラルに

――全国中小企業クラウド実践大賞での受賞、おめでとうございます!これまでにも、複数の賞を受賞されていらっしゃいますね。

村田道彦さん(以下、村田): 2021年12月10日に開催された「全国中小企業クラウド実践大賞全国大会」(主催:クラウド実践大賞実行委員会)において、審査員特別賞をいただきました。また、2020年には「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」(主催:四国地域イノベーション創出協議会)の奨励賞も受賞。経済産業省より「健康経営優良法人2021」にも認定いただいています。

――さまざまな側面から評価されていらっしゃるんですね!

村田: はい。ただ、ほんの数年前まではいわゆる 「ブラック企業体質」。 そして、今回賞をいただいたクラウドやシステム化などとは無縁の会社だったんです。

例えば、パソコンはあるもののネットワークに繋がっていなかったため、印刷時にはUSBにデータを移し、プリンタ専用パソコンに移動する…など、今考えると“非効率”な業務は日常茶飯事。その他にも、情報は全て個人が紙やExcelで管理していたため、業務は属人化し、情報共有もできていませんでした。

工場での在庫管理も、ひたすら「正」の字を書いて把握しているという状態で…本当に、アナログでしたね。工場設備などのハード面には積極的に投資していたのですが、ソフト面への投資はほぼゼロの状態でした。

――アナログな業務環境は、従業員の働き方にも影響していたのでしょうか?

村田: はい。当時は残業や休日出勤が慢性化していました。工場での残業時間が、1ヶ月平均80時間なんてことも……。特に現場における体力仕事での長時間労働は、精神的にも体力的にもしんどいんですよね。繁忙期には、平日の残業で間に合わない分は休日出勤でまかなう…といったこともあり、従業員には相当無理をさせてしまっていたと思います。

その影響もあり、社内の雰囲気も決して良いとは言えず……。そして拠点が違うとまるで別会社のようにお互いを知らないという状態で、社員同士の交流もありませんでした。

そのような状況でしたので、離職率も高く、1年で30名が退職してしまった年もありました。当時は従業員数が150名ぐらいでしたので、全体の1/5の人が辞めてしまったんです。人が辞めると、当然残った人に負担がかかります。そして、その人も耐えきれずに辞めてしまう……、そんな負のスパイラルに陥っていました。最終的には「求人を出しても、応募すら来ない」という状況にまでなり、正直「この会社、大丈夫なんだろうか…」と思ったこともありました。

――本当に「ブラック」な時代があったんですね……。その状況が変わったきっかけは何だったのでしょう?

村田: 当時専務だった現社長が、徳島本社勤務になったことです。社長は2005年に入社後、名古屋営業所、大阪営業所で勤務し、2014年に本社に戻ってきました。社長は入社当時からアナログな環境に課題を感じており、所属していた拠点で独自に情報共有などを進めていたようです。そして本社に戻ってからは、本格的に組織全体のシステム化に取り組むようになったのです。

「最初は大変だけど絶対に楽になるから続けてほしい!」社長の言葉がシステム化の後押しに

この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})

close

{{selectedUser.name}}

{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}

{{selectedUser.comment}}

{{selectedUser.introduction}}