企業の2020年度業績、過半数の56.0%が「減収減益」になる見通し 今後は働き方や業務フローが急変化?
新型コロナの負の影響はまだまだ続いていますが、GoToトラベル、GoToイートによる経済へのテコ入れとともに、菅義偉新政権が発足し、徐々に日本が新しい方向に向け動き始めています。企業においてはテレワークを経て新しい勤務体系や営業戦略などが求められていますが、2020年はどういった1年になったのかをデータから振り返ります。
新型コロナウイルスによるマイナスの影響、80.6%の企業の業績に波及
帝国データバンク(TDB)では、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の業績への影響、2020年度の業績見通し、働き方改革への取り組み、現在の課題、「新しい生活様式」に対応した商品・サービスの開発・展開について、アンケート調査を行っています。
全国1万社以上から寄せられた回答によると、まず、「自社の業績への影響」で「マイナスの影響がある」(すでにマイナスの影響がある+今後マイナスの影響があるの合計)と回答した企業は全体の80.6%。かなり高い数字ですが、毎月行っている調査では、5か月連続で減少しており、先行きに希望を持つ企業が徐々に増えていることが分かります。
「マイナスの影響がある」と回答した企業を業界別にみると、「運輸・倉庫」86.9%、「製造」84.5%、「卸売」82.8%が上位でした。ただし、さらに細かく業種別で見ると、直接的に打撃を受けている「旅館・ホテル」96.8%が高い数字を示しています。外出減で元気のないアパレル関連の「繊維・繊維製品・服飾品小売」93.5%、イベントの中止によるポスター減少や企業のペーパーレス化による影響がみられる「出版・印刷」92.9%も、9割を超えました。
2020年度の業績は過半数の企業が「減収減益」、新しい業務形態の構築が急務
「2020年度(2020年4月決算~2021年3月決算)の業績見通し」を聞くと、「増収」を見込む企業は14.4%。61.9%と過半数の企業が「減収」となる見込みです。さらに利益まで見ると、「減収減益」と見込んでいる企業は56.0%と過半数を超えています。この数字は、3月時点より11.6ポイント増加しており、新型コロナの深刻な影響が伺えます。業種別では、やはり「旅館・ホテル」87.1%でもっとも多く、「娯楽サービス」80.6%、「飲食店」80.0%などが続きます。
こうした状況を背景に、あらためて「新型コロナをきっかけに取り組み始めた働き方」を聞くと、「オンライン会議の導入」39.0%がやはり多く、新型コロナ前から取り組んでいた企業(14.7%)を加えると、53.7%と唯一過半数を超えました。
そのほか、新型コロナをきっかけとした取り組みでは「在宅勤務の導入」33.9%、「時差出勤・フレックスタイム制の導入」25.7%が上位となりました。新型コロナ拡大前から取り組んでいた取り組みでは「ペーパーレス化の推進」26.7%、「インターネットによる受注・販売の強化」21.5%が上位で、今後取り組みたいとしている企業も多いため、一気に加速しそうです。
一方で、「ステークホルダーの動向に合わせなければならない」「オンライン会議や商談打ち合わせは回線速度がまちまち」「従業員間のコミュニケーションが取れない」「従業員のメンタルヘルスに関して、フォローが難しい」といった具体的な課題も上がっています。
こうした声を踏まえて「働き方を変えていくとして、今後の問題点になる要素」を聞くと、接客や工場業務など「リモートワークに適さない業務が主である」74.5%に意見が集中しました。「情報セキュリティが確保できない」44.6%、「ペーパーレス化が不十分」43.8%、あるいは従業員を向いた課題も多く上がっていますが、勤務フローの見直しやDX推進、あるいはAR/MRによる生産業務支援など、今後はまったく新しい業務形態を組み上げる必要がありそうです。
調査方法
調査期間:2020年9月15日~30日
調査対象:全国の2万3,695社
有効回答企業数:1万1,689社(回答率49.3%)
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000182.000043465.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p201005.html
この記事についてコメント({{ getTotalCommentCount() }})
{{selectedUser.name}}
{{selectedUser.company_name}} {{selectedUser.position_name}}
{{selectedUser.comment}}
{{selectedUser.introduction}}