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連載:第1回 中竹竜二さんが聞く「伸びる組織」

天才とは「人の気持ちがわかる人」である

BizHint 編集部 2020年10月12日(月)掲載
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創業期のスタートアップへの支援だけでなく、イスラエルなど海外にも直接赴いて投資・成長支援してきた株式会社サムライインキュベートの榊原健太郎さん。榊原さんはどんな想いで投資しているのかを紐解くと亡き祖父のエピソードがありました。そして、榊原さんが「どういう人に投資するか」について中竹竜二さんが切り込んでいきます。

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情熱の源泉は戦地に赴いた祖父から……

中竹竜二さん(以下、中竹): ICT領域でのイノベーション支援や、創業・シード期を中心に出資するハンズオン型のベンチャーキャピタルを率いる榊原さんは、経営者としてのフィロソフィーの部分がユニークな印象があります。常に情熱がにじみ出ているという印象を受けるのですが、それは何か覚醒するきっかけがあって、その情熱が解き放たれたのですか。

榊原健太郎さん(以下、榊原): 僕は自分のことはいたって普通の人間だと思ってるんですけど(苦笑)。こういったインタビューではよく同じような質問を受けるので、そのたびに自分のことを振り返ってみるのですが、ようやく最近気づいたことがありまして。

中竹: では、今回初めてお話してくださることなんですね。

榊原: はい。実は僕の家族は岐阜に住んでいて、僕自身は東京や海外の拠点と岐阜の家を行ったり来たりしていたのですが、最近、東京の家を引き払うことになりました。それで、東京から岐阜の家に送った僕の荷物の中に、亡き祖父の軍事郵便が紛れ込んでいたようで、それを妻が偶然発見したんです。

中竹: お祖父さんは、戦地に行かれていたのですか?

榊原: 祖父は第2次世界大戦中、インパール作戦のためにミャンマーに派兵され、そこで戦死しています。僕の父は、自分の父親、つまりそのミャンマーで戦死した僕の祖父に、一度も会ったことがないんですよ。亡き祖父はミャンマーから、まだ会ったことのない息子のことをいつも思いながら、「いつか会いたい」と記した手紙を祖母に送り続けていました。

僕の実家の屋根裏には、そういう軍事郵便とか召集令状とか、亡き祖父母の遺品がたくさん置いてあって、小学生の頃、僕はその埃っぽい屋根裏に、まるで秘密基地のような感覚でよく篭っていたんです。これまであまり意識したことはなかったんですが、そうした手紙を掘り返しては、何度も読んでいたんでしょうね。

まだ東京に残っていた僕に、その手紙を読んだ妻が泣きながら電話をかけてきて、「なぜあなたが今みたいな感情を持って生きているのかがよくわかった」と言ってくれて、あぁそれかと。

中竹: 無意識に榊原さんの奥底に、戦地で亡くなられたお祖父さんの思いが刻み込まれていたんですね。

榊原: なぜ、自分があえて「侍(サムライ)」という名前を社名に掲げて、日本のために頑張りたいと思うのか。戦争を止めたい、戦争を起こしてはいけないという気持ちがこんなにも強いのか。その感情のベースは、あの屋根裏の手紙が僕の心の中にずっとあるからかもしれない。最近になって、そんなふうに感じるようになりました。

投資家は当事者の意識に立たなければならない

中竹: そこに根本があるっていうことに気づくまでに、意外と時間がかかったということですよね。それに気づいたことで、ご自身に何か変化はありましたか。

榊原: そうですね。投資する側として、良いインキュベーター(起業支援家)になるには、やはり当事者の意識に立てないといけません。そういった意味では、なぜ、そういうことが起きているのか、そういう考えになるのかという、起業家さんたちが持つ思いの氷山の下の部分を見に行けるようにはなってきたかなと感じています。

中竹: 今回の軍事郵便の件では、ご自身の氷山の下の方も見えてきましたね。

榊原: そうそう、そうなんです。まだ、他にも要因があるのかもしれませんけど、自分が人と違う部分については深掘れたのかな、と。

中竹: 成人発達理論の中では、「人が発達していく過程では、無意識は意識より先行する」と言われています。人間の意識って、かなり全体的な感覚のごく一部で、本来的なものを回しているOSみたいなものってほぼ無意識なんです。幼少期からの体験がどんどん積み重ねられていき、それが基盤になって成人になっていくのですが、私たちはほとんど無意識で気づかないんですね。

一方で、アトラクターと呼ばれる、ちょっとしたきっかけによって、「あ、これだったんだ」と気づいたり、その無意識が言語化されたりすると、一段視座が上がります。まさにこれが人としての成長であり、榊原さんはちょうどそのステージに上がられたんだなと、今、お話を聞いていて感じました。

榊原: 今回のこともそうですし、コロナ禍で自分を振り返る時間がめちゃくちゃ増えたので、内省する時間は相当増えましたね。

中竹: お仕事としては、これまでは自分を内省して見るよりも、圧倒的に投資先の方々を見る時間の方が多かったと思うんですが、自分自身の見え方が変わると、他者への見え方も変わってくる気がしますか。

榊原: そうですね。おっしゃる通り、昔はご支援先のことで頭がいっぱいだったんですけど、逆に今は、自分自身のことを一生懸命考えた方が、世の中をより早く変えられるのかなと、ちょっとそんなことも思うようになりました。僕自身が、自分のことを省みて、「自分はどうしたいのか」っていうことを整理できると、起業家の皆さんにも、うちのメンバーたちにも、逆にもっといいものが伝えていけるのかなと思っています。

中竹: 榊原さんは、隣人から地球レベルまで、あらゆるメッセージを発信されていますが、ここまでどストレートに言い続けている方って、かなり稀有な存在だと思うんです。「それ言ったらかっこいいから」という理由で言っている人はいるかもしれないけど、本気でおっしゃってる方って、僕はあまり見かけたことなくて。

榊原: (笑)本当ですか。

中竹: 榊原さんは、心から一人ひとりの幸福を追求し、「地球全体をよくするぞ!」って本気で言い切れる。これは、ご自身の使命だという感覚からなのですか。

榊原: 多分、うちの祖父は、相当むごい死に方をしたと思うんです。わが子に会いたいと思いながら、無謀な戦いに行って、飢えに苦しみ亡くなっているはずです。そういう思いをした犠牲者を大勢生み出し、僕らの祖国は世界中に大変なご迷惑をおかけしてしまったわけです。もちろん、リーダーが悪かったのですが、それに従った国民全体も悪かったと、僕は思います。

だから、そうした多くの犠牲者への償いも含め、戦後75年間、その復興のために頑張ってきた人たちへの恩返しとしては、次は「地球規模だ」と僕は思っています。僕らは今、ものすごく幸せな環境で生きているので、この社会で起きている問題なんて、昔に比べればすごく簡単なはずなんです。そこはやっぱりやらなきゃな、と。

たった75年間で日本がここまで変われたなら、僕らも世界のリーダーとして地球を変えられるんじゃないか。ここまで復活できた日本に求められているのは、With the Earthの視点で、どう地球全体をインキュベートしていくかだと思っています。

天才とは「人の気持ちが分かる人」である

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