連載:第1回 よくわかる補助金・助成金 選定・申請 押さえるべきポイント
補助金作成における企業概要のポイントは、ここを抑えるべし!
補助金の申請書を記載する際、皆さんは自社アピールをどのように書いていますか。補助金は、助成金と違って、申請者全員がもらえるものではありません。ビジネスコンテストのようなものであり、審査員に選んでもらわないといけません。過去、補助金の申請をされた方は、企業概要を一度見返してみてください。自社の特徴をどのように表現していますか?事実を淡々と述べていませんか?そんなにアピールするところがないなと自信なさげになっていませんか?皆さんが、初対面の方に自己紹介するのに、どこか似ていないでしょうか。企業概要の説明は、まさに会社の自己紹介になります。 今回は、「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」などで記載する企業概要について、どうしたら審査員に伝わるかのコツをお話しできればと思います。
1. 企業概要の書き方のコツ
(1) ものづくり補助金・小規模持続化補助金とは
本補助金の目的は、 『中小企業・小規模事業者等が連携して取り組む、生産性向上や地域経済への波及効果拡大に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援すること』 になります。
補助の対象や補助額は以下の通りです。(中小企業庁のHP参照)
(2) ものづくり補助金・小規模持続化補助金の申請書における記載の流れ
例年、2~5月に公募され、採択の発表が6月頃されます。申請する補助金によって時期が異なりますので、詳細は中小企業庁のHPを参照してください。
ものづくり補助金の場合、下記のように、自社の分析「企業概要→内部環境→外部環境」を行い、新たな事業の取り組み内容について、下記のような流れで記載をしていきます。
【ものづくり補助金 様式2】
(4)事業の具体的な内容
○概 要
[事業の背景・目的]
1.当社の概要
2.当社の強み
3.本事業の背景・目的・概要
4.具体的な取り組み内容
(3) うまい自己紹介とは
ここで、個人の自己紹介に話を移してみましょう、うまい自己紹介はどのようなものでしょうか。自己紹介をすることで、自分のことを知ってもらい、共感を得て、興味を持ってもらうことが大事です。今後の人間関係がよくなるきっかけになれば成功です。
自己紹介をする際に、必要なポイントを下記のようにまとめました。
①第一印象
人の第一印象の約9割は、「見た目」で決まるとも言われています。
②出身地・出身校などの基本情報
相手と共通の話題があれば盛り上がりますね。
③人となりが分かるエピソード
自身の性格が分かるエピソードを踏まえ、価値観を共有することが目的です。
④自分のアピールポイント/強み
信頼できる相手なのか、一緒に何かしたいと思わせることができるかがKeyですね。
⑤上記を踏まえたキャッチフレーズ
せっかくの出会いも覚えていてもらわないと意味がないですからね。印象に残る一言が重要です。
(4) 企業概要のここを押さえろ!
それでは、補助金申請における企業概要の書き方に話を戻しましょう。自己紹介で抑えたポイントを軸に、企業概要の記載の仕方を考えてみましょう。
①第一印象
自社の外観、工場・店舗内の様子 が当たります。このような写真をぜひ掲載してみてください。HPでも自社の写真がなく、文章だけ羅列されると果たしてどのような会社なのか、不安になりますよね。補助金の申請書も全く同じです。
この企業に新しい設備を入れたら成長してくれるはずだと思わせるのが大事です。従い、日頃から2Sをしっかりできているのも、十分なアピールポイントとなります。
②基本情報
自社を把握する上で最低限知ってもらいたい情報です。 所在地はどこか、自社の取り扱い商品は何か、得意先の企業はどこかなど が挙げられます。
③人となりが分かるエピソード
自社の大切にしている価値観になり、 経営理念 が挙げられます。各社の経営理念について、紹介します。
※各社HPより引用
各社、この経営理念をもとに事業展開していることが伺えますね。
④自分のアピールポイント/強み
有資格者を持つ従業員が多数いる、自治体・顧客からの受賞歴、ISOなどの認証など が挙げられます。これを羅列するだけでは何がすごいか分かりません。また、これがいかに自社の商品に活かされ、顧客から評価をされているのかといったストーリーを付加することが大事です。
例えば、A社の事例として、『当社には職業訓練指導員の資格を取得した技能者3名を擁しており、若手の技能者育成に力を注いでいる。まだ社歴の浅い当社ではあるが、全くの素人からマシニングセンタ技能士を取得できるまでに社員を育成し、現在ではマシニングセンタの1級技能士6名、2級技能士3名を擁する”技能集団”として、顧客からの高い評価を得るに至っている。』というように、資格を所有しているから、社内外にどう波及効果があるのかがアピールポイントになります。
また、沿革を通して、自社がどのような歩みをしてきたか、困難や危機に打ち勝った要因は何だったかなど、今一度振り返るのも、自社の強みを再認識させてくれるはずです。
⑤キャッチフレーズ
読み手に関心を持ってもらえるように、 「読み手に伝えたい要素を一言で簡潔に」 が大事です。各社のキャッチフレーズを見てみましょう。
※各社HPより引用
各社の商品・サービスを通じて、顧客にどのような価値を提供したいのかが表れていますね。ただ、このような大企業のキャッチフレーズまではなかなか難しいですよね。大企業の場合、すでに企業イメージ、ブランドイメージが根付いているので、特に説明しなくても読み手/聞き手が連想してくれます。
しかし、補助金申請の場合は、初めての相手なので、補足説明しなくて済むようもう少し具体的な記載が必要となります。例えば、先ほど紹介したA社の場合、『技能集団による複雑・高精度かつ少量多品種製造を提供』のようなフレーズを考えることができます。
2. まとめ
いかがでしたか。何を伝えたいのかをまず整理して、誰にでも分かるように伝えるのが大事です。写真も活用して、読み手の想像を駆り立てながら、具体的な実績(×:大手企業への採用実績あり/〇:企業Bと30年の取引実績あり)で記載してみてください。各社のHPを見比べながら、「見やすい/見にくい」点を整理するのも、参考になります。
今後、申請書を執筆する際には、ぜひ本内容の活用を検討してみてください。
補助金作成についての次回予告は、申請書を通すためのコツについてお話しさせて頂きます。
(参考文献)
中小企業庁HP
全国中小企業団体中央会
(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 佐藤俊一
中小企業診断士
事業承継士
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