連載:第4回 よくわかる補助金・助成金 選定・申請 押さえるべきポイント
補助金は採択されたら終わり、ではない。「小規模事業者持続化補助金」採択後の手続きについて
創業補助金や省エネ補助金など、過去補助金を利用したことのある方の多くは「もう補助金はやりたくない…。だって採択後の手続きが大変だし、何年にも渡って書類を書かないとダメだし…」とお思いではないでしょうか。ただ、手間がかかるからという漠然とした理由で補助金を敬遠するのは少しもったいないような気もします。採択後の手続きを事前に詳しく知れたら・知っていたら、補助金に対するハードルが少し下がるかもしれませんよね。 そこで今回は、年間約30,000者(社)が採択されている、「小規模事業者持続化補助金」の採択後の手続きについてご紹介したいと思います。
1. 小規模事業者持続化補助金とは?
改めて、「小規模事業者持続化補助金」とは何か。念のため要点のみ、おさらいしておきたいと思います。
(1)概要
小規模事業者持続化補助金(以下、「持続化補助金」)とは、平成26年に始まった小規模事業者を支援する国の取り組みです。なぜ小規模事業者なのかというと、国内の事業所数の約9割を占める小規模事業者は、地元からの雇用者比率も高く、地域経済と密接に繋がっている反面、経営資源が不足しています。国は小規模事業者の持続的な経営を支援することで地域の需要や経済発展を促す目的がこの補助金にはあるのです。
(2) 対象となる取組事例
以下のような取り組みを行う際にかかった経費が、補助対象となります。
・新商品を陳列するための棚の購入
・新たな 販促用チラシの作成 、送付
・新たな 販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
・新たな販促品の調達、配布
・ネット販売システムの構築
・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
・新商品の開発
・新商品の開発にあたって必要な図書の購入
・新たな販促用チラシのポスティング ・国内外での商品PRイベントの実施
・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言 ・新商品開発にともなう成分分析の依頼
・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)
※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可
(出典:令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】 )
(3) 対象者
その名の通り、「小規模事業者」が対象となります。小規模事業者とは以下の通りです。
2. 採択後の諸手続き
ここからが今回の記事の本題です。持続化補助金で採択されるためのノウハウや書き方といった「採択前」の情報はインターネット上でも豊富にありますし、補助金コンサルのような人たちからも多くの情報を得ることができます。一方、それと比較して採択後の情報は少なく、また、採択されることに必死ですから、採択後どうすればいいのかをきちんと調べている人は少なかったりします。補助金コンサルも、採択後の手続きまでは手厚くサポートしてくれないことが多いのではないでしょうか。
申請書の作成で手一杯になる前に、採択後の手続きを一通り理解しておくことは、採択後に「こんなつもりじゃなかったのに」を防ぐことができます。 ここから順を追って、昨年実施の持続化補助金での採択後の諸手続きについて説明していきます。
(1) 採択時
まず、持続化補助金に採択された場合にはどのような書類が届くのでしょうか。補助金の事務局から、「採択結果通知書」というものが送られてきます。この書類に「採択」あるいは「不採択」のどちらかが記載されており、「不採択」の場合は当然ながらこれにて終了、となります。
ここで、最大限注意していただきたいことがあります。それは、補助事業に係る発注・契約・支出行為は、次の「交付決定通知書」が届いてからでないと行ってはいけない、ということです。つまり、「採択結果通知書」で見事「採択」になったからと言って、「交付決定通知書」が届く前に業者に発注をしてしまった、契約をしてしまった、となると、後々必要となる実施報告書で補助金の交付要件を満たしていない、となり、補助金が交付されなくなります。
知らなかった、では済みませんので、ご注意くださいね。
(2)交付決定時
「採択」の場合、次に届く書類が「交付決定通知書」というものです。前述のとおり、この書類が届いて初めて補助事業に係る発注・契約・支出行為を行えることになります。全体を通じて言える話ですが、補助金は国のお金を使っていますので、補助金事務局から送られてくる書類や、補助事業を行う際に業者等と交わした契約書、受領した見積書、納品書など、関連する書類はきちんと保管しておくことが大切です。書類不備で最後の最後に交付NGとなれば、これまでの努力が水の泡となりますから、気を付けましょう。
(3)事業実施時
補助事業を実施しているときに必要となる手続きや書類は、申請時に記載した補助事業の計画が変更となる場合、もしくは中止する場合のみです。変更する場合は「変更承認申請書」を、中止する場合は「中止(廃止)申請書」を提出することになります。特に、申請時の経費の配分や、経費の区分を変更する場合にもこの「変更承認申請書」を提出した上で事務局の審査を受け、承認される必要があります。
変更をしたにもかかわらずこの「変更承認申請書」を出さなかったが為に、実施報告で書類不備のため交付NGとなることは避けたいですよね。めんどくさがらずにきちんと届け出ましょう。
(4)事業終了時
補助事業が終了した場合には「実績報告書等」を提出します。この「等」という部分が非常に大切で、報告書以外にも「支出内訳書」「経費支出に係る証拠書類」の提出が求められます。提出後には事務局側が、必要な提出物がそろっているか、支出が適正にされているか、申請通りの補助事業が実施されているかを確認し、問題がなければ補助金の「確定通知書」が届くことになります。
(5) 精算時
「確定通知書」が届けば、事務局から示されている確定額をもとに、「精算払請求書」を提出することで補助金の精算払いを請求します。
これで補助金の手続きは完了です。
3. 書類がそろわない場合
例えば補助事業に係る業者への発注を口頭で行った、見積金額も口頭で聞いた、といった場合、証拠書類の提出が出来ずに書類不備となります。また、書類が揃わないからといって、事務局へ口頭で説明を行えばなんとかなる、ということも一切ありません。ポイントは、 具体的な書類で外部の人からの疑問について証明できる書類を揃えておく ことです。いざ精算の際に書類が提出できずに補助金を受けることができないというような事態を起こさないためにも、書類管理はきちんと行うことが大切です。
4. 書類の保管期限
関連書類は補助事業終了後5年間の保管が義務付けられていますから、入金があったからといって書類をすぐに捨てないようにしましょう。
また、補助金で取得した資産を処分する場合にも、事前の許可が必要です。該当する場合は事務局へ問い合わせをするようにしましょう。
5.まとめ
いかがでしたか。
採択のことばかりに目がいき、採択後の手続きでうっかりしてしまうようなことになれば、申請の労力は徒労に終わることになります。早め早めに先のことを見据えておき、準備をしておくことも大切ではないでしょうか。
※募集要項等が本記事と異なる場合があります。 最新の公募要項に沿って申請をしていただくようお願いします。
・中小機構・生産性革命推進事業ポータルサイト
・令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】
(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 花岡貴志
中小企業診断士/ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士
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