連載:第58回 成長企業 社長が考えていること
1人あたりトヨタの3倍稼ぐ中小。主体性しかない社員を生み出す組織づくりの要諦
社員44人で年商165億円を稼ぐ、高収益体質のものづくり企業が埼玉県にあります。1人あたりの売上高はトヨタ自動車の約3倍!超高精度の板金加工技術で「金型レス」を可能にした株式会社井口一世です。急成長の背景には、業界のセオリーを覆す斬新な発想や人材育成がありました。井口一世社長に話を聞きます。
株式会社井口一世
代表取締役 井口 一世 さん
1955年東京都生まれ。1978年立教大学経済学部卒。2001年、株式会社井口一世を設立。板金加工の常識を変えた高い技術力が評価され、2006年「第1回渋沢栄一ベンチャードリーム賞奨励賞」をはじめ、受賞多数。
「壊してもいい」。1人当たりトヨタの3倍稼ぐ秘訣は究極のトライアンドエラー
――貴社は少人数で高い付加価値、売上を達成されています。その背景を教えていただけますか?
井口一世さん(以下、井口): 2023年度は、44人で165億円ほどの売上です。1人あたり3〜4億円稼ぐ計算ですね。トヨタさんの2021年の数字で一人あたり8000万〜1億円ですから、その3〜4倍ということになります。売上は2013年度の54億円から3倍になりました。
背景にあるのは、ビジネスモデル。 当社の最大の強みは、金型レス(金型を使わない)で製品を提供できる金属加工です。
金型というのは非常に高価で、作るのに時間もかかりますが、大量生産する場合には、最終的にコストを抑えられるのが利点です。一方、少ロットの場合には金型を使うとコストや時間が必要以上にかかってしまいます。
当社では金型レスで金属加工・製品製造ができます。金型を使う場合に比べ、1製品あたりの製造コストは高くなりますが、お客様は初期投資を抑えられ、またスピードは早くなる。そして高品質で長持ち。試作や少ロットでは重宝される価値です。
結果的に「良い買い物をした」というメリットにつながります。 「絶対値は高いかもしれないけれども、相対値では安い」わけです。
そしてもう1つ、当社には高付加価値を生み出すために重要な強みがあります。
それは 「これまで世の中にまったくなかったものを作り出せる」こと。
世の中の多くの製品は、工作機械の仕様の範囲内で作られます。そして工作機械の性能に引っ張られてしまうと、その限界を超えられない。
これでは『まったく新しいもの』は生まれません。
では、どうするか?
当社では社員にある大切な言葉を伝え徹底しています。それは、
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バックナンバー (61)
成長企業 社長が考えていること
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