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人事部 役割

2020年2月18日(火)更新

人事部とは、人材に関するあらゆる業務を総合的かつ専門的に扱う部署のこと。「ヒト」という経営資源を最大限に活用するという、大きな役割を持っています。ここでは、人事部に求められる役割や、代表的な仕事内容の詳細、人事スタッフに必要なスキルまで、幅広くご紹介します。

~この記事でわかること~

  1. 人事部が果たすべき役割
  2. 人事部の主な仕事内容5つ
  3. これからの時代に求められる人事の姿

人事部とは

人事部とは、 人材に関するあらゆる業務を総合的かつ専門的に扱う部署 のことです。

人事部の役割を端的に言えば、 「ヒト」という経営資源を最大限に活用すること です。

ヒトは四大経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の中で最も重要であり、その他全ての経営資源を自らの意志で活用することができる「脳」のような存在であると言えます。

ヒトを最大限活用するということは、強い組織を構築するために必要不可欠なのです。

人事部が必要な理由

もし人事部が存在しなければ、組織内の人事情報は点在することとなり、時代や周辺環境の変化に合わせて迅速かつ適切な人事判断を行うことが難しくなります。また、努力や成果に対する正当な人事評価が実行しにくく、従業員はやり甲斐や自己実現よりも、絶対的な評価者である上司の顔色を優先して働かなければならない職場環境が構築されやすくなってしまうでしょう。

このような状態では競合他社との戦いに勝利する「強い組織」を構築することはもちろん、次世代を担う若手社員を確保し、育成することもできません。

ワーク・ライフ・バランスの実現によって全社員のモチベーションを高い状態で維持し、個々のパフォーマンスを経営戦略や経営ビジョンに沿った形で最大化させるためには、 企業に規模に関わらず人材に関するあらゆる業務を総合的かつ専門的に扱う部署が必要 です。

【関連】ワーク・ライフ・バランスとは?正しい意味や取り組み、企業事例などご紹介/BizHint

人事部が果たすべき4つの役割

最も影響力のある経営思想家50名を選出する、経営思想界のアカデミー賞「Thinkers50」に選出(2015年)された、ミシガン大学教授 デイビッド・ウルリッチ(David Ulrich)氏は、人事部に求められる役割を、著書「MBAの人材戦略」の中で以下の4つにまとめています。

  • 戦略パートナー(Strategic Partner)
  • 変革のエージェント(Change Agent)
  • 従業員のチャンピオン(Employee Champion)
  • 人材管理のエキスパート(Administrative Expert)

人事部は、組織の「戦略パートナー」として経営戦略に基づいた人事戦略を構築し、「変革のエージェント」として経営理念や経営ビジョンの実現を目指した人材活用を行わなければなりません。

また、「従業員のチャンピオン」として従業員の声に耳を傾け、意欲向上の支えとなり、進むべき道を示す道標とならなければなりません。

雇用者と被雇用者のどちらとも深い接点を持つ人事部は、常に全方向に向けて神経を張り巡らせなければならない難しい立場にあります。しかし、このような立場にある人事部だからこそ、「人材管理のエキスパート」として組織や人を取りまとめ、業務効率の最大化を図ることができるのです。

【参考】デイビッド・ウルリッチ 経営思想家トップ50:第23位(2013年) | 経営思想家トップ50/DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー/BizHint
【参考】T50 Ranking(2015年)/Thinkers 50

企業ごとに仕事内容は異なる

人事部には様々な役割がありますが、企業や会社によっては人事業務の一部を他部署で行うことがあります

また、大企業など対象者の数が膨大な場合、例えば「採用」に関する業務については、一般社員と学生アルバイトなど雇用条件によって面接担当者を分ける場合があります。また、「人材育成」の面においては、新入社員研修やリーダーシップ研修、管理職研修など育成段階別に担当者を設けるなど、業務効率化のために役割が細分化される場合があります。

役割を細分化することで多くの対象者に対応している大企業に対し、比較的対象者が少ない中小企業では全ての人事業務をそつなくこなすことができるマルチな能力が求められます。

このように、経営者の方針や組織形態、企業の規模によって人事担当者に与えられる仕事の内容が異なる場合があることを覚えておきましょう。

人事部の仕事内容

人事部に与えられる業務は組織によって実に様々ですが、その中でもほぼ全ての人事部に共通して与えられている業務がいくつか存在します。

ここでは、日本企業における人事部の基本業務ともいえる

  • 人材採用
  • 人材評価と処遇の実行
  • 労務管理
  • 人材育成・組織開発
  • 人事制度の企画や立案

という5つの業務の解説と具体的な仕事内容の紹介を行います。

人材採用

事業拡大や退職に関わる補填など、新たな人材を雇用する必要のある時に実施されるのが人材採用です。

人材採用に関する仕事内容には以下のようなものがあります。

  • 組織内の現状と人材需要、求める人物像の把握
  • 採用活動の方法や詳細、採用計画の決定
  • 必要に応じて採用担当者やリクルーターを選定
  • 採用スケジュールの設計
  • 社内外に対して求人情報を公開
  • 会社説明会や選考会、面接を実施し、内定者や採用者を決定
  • 内定者フォローの実施

人材は「人財」であり、組織にとって非常に重要な存在です。そのため、人事部は人材採用活動を単なる不足人材の補充や穴埋めではなく、企業や会社の将来を見据えた人材採用戦略として実施する必要があります。

採用のミスマッチを防ぎ、より質の高い採用を実現させるため、面接担当者として経営層や現場の管理職が同席する企業も少なくありません。

人材採用活動を人事部内だけで完結させるのではなく、経営層や現場スタッフなど企業全体を巻き込んで実施することによって、経営戦略や現場の希望と合致した人材の採用が可能となるでしょう。

【関連】採用を行う意味とは?採用方法の種類や目的、採用関連用語を徹底解説 / BizHint

人材評価と処遇の実行

人材評価と処遇の実行は、組織内における適切な行動指針を示し、従業員のモチベーションを高めることを主な目的として行われます。

人材評価と処遇の実行に関する仕事内容には以下のようなものがあります。

  • 組織が求めている人物像の明確化
  • 人事評価制度(評価制度・等級制度・報酬制度)の策定
  • 評価制度に従って評価を行い、等級制度や報酬制度に従って昇格や昇給などの人事を行う
  • 組織と個人の目標の方向性が合致するように支援
  • 人事異動の実施・人員配置の最適化

企業理念や現在の経営課題、創業者や経営者の想いを十分に反映させた人事評価制度には、組織が求めている人物像や意高めて欲しいスキルが明確に示されています。そのため、従業員たちは不安を感じることなく、目標を見据えて努力を重ねることができます。

また、人事部は人材評価と処遇の実行を通じて従業員のモチベーション向上や人員配置の適正化も図る必要があります。

部下の査定を直属の上司に丸投げするのではなく、人事部が明確な評価基準を示し、全体の取りまとめを行うことによって、評価の公平性を確保し、人事情報の集約化と経営戦略に基づいた全社的な人事戦略を実現することができるでしょう。

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労務管理

労務管理とは、簡単に言えば「従業員が働く上で必要となるあらゆる事務作業」です。

労務管理は生産性の向上や従業員に関する様々なリスクの回避、軽減を主な目的として行われます。

労務管理に関する仕事内容には以下のようなものがあります。

労務管理業務の多くは労働基準法や個人情報保護法、働き方改革法案など様々な法令や法案に基づいて行う必要があるため、事前に各法令・法案に対する理解を十分に深めておかなければなりません。

企業や会社によっては人事管理を人事部が行い、労務管理を総務部や労務部、経理部など別の部署が行うこともありますが、その場合には個々の部署が単独で管理業務を実施することがないように注意が必要です。

人事部と該当部署が密な連携を図り、質の高い人的資源管理(Human Resource Management,HRM)を実現させることによって、組織コミットメント向上やエンゲージメント向上といった相乗効果を生み出すことができるでしょう。

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人材育成・組織開発

人材育成は、従業員一人ひとりの潜在能力を引き出し、最大限に発揮させることによる生産性向上や競争優位性の確保、組織開発は、健全かつ効果的に機能する組織の構築を主な目的として行われます。

人材育成と組織開発に関する仕事内容には以下のようなものがあります。

人はロボットではなく個々に異なる感情を持った生き物です。そのため、能力開発やスキル開発を強制するのではなく、育成対象者の希望や意見にしっかりと耳を傾けた上でじっくりと腰を据えて進める必要があります。

現在の人員配置状況や育成対象者の将来のビジョンなど様々な情報を加味し、OJT(On the Job Training)やOff-JT(Off the Job Training)、自己啓発(Self Development,SD)などの人材育成手法を適切に使い分けることで、自社の未来を担う人材を育成することが可能となるでしょう。

また、昨今では個人間の関係性をマネジメントすることによって組織全体の活性化を図る組織開発にも大きな注目が寄せられています。

互いを認め合い、変化を積極的に迎え入れるチームや組織を作り上げることで、ダイバーシティによる多様性や異質性を大きな推進力に変えることができるでしょう。

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人事制度の企画や立案

人事制度とは、従業員のパフォーマンス最大化や組織運営の安定化を目的とした施策です。

評価判定制度や報酬制度、福利厚生制度、人材育成制度(教育制度)など、これまでに紹介してきた4つの業務に関する制度はいずれも人事制度の一部となります。

人事制度に関する最終決裁は経営層が行いますが、 人事部を持つ組織の場合、企画や立案については人事部が行うケースが大半 です。

人事部に与えられた4つの役割を正しく認識し、行う仕事の内容を具体的にイメージしながら組織と人の両方にとって最適な人事制度を企画、立案することで、組織や従業員の成長を力強く後押しする戦略人事を実現することができるでしょう。

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これからの時代に求められる人事の姿とは

現代の日本社会においては、少子高齢化社会への突入や、国を挙げた「働き方改革」推進など、人材をとりまく環境も大きく変化しています。ヒトに関するさまざまな事柄を扱う人事部としては、働き方の多様性を考える必要があります。育児や介護を抱えた従業員の支援、高齢者や障がい者の雇用などがその一例です。

また、法律や省令などの改正や、近年より強く求められるコンプライアンスの遵守も、重要な役割の一つです。

人事部が関与するのは人的リソースですが、それは他ならぬ企業経営そのものに資するものでなくてはなりません。そう考えれば、懸念すべき環境の変化はさらに広範囲にわたることが分かってきます。ICT等の技術革新や社会全体のグローバル化も意識して、それらに対応できる人材育成を目指す必要があります。

経営をサポートする「戦略人事」へ

戦略人事とは、 経営戦略や経営ビジョンの実現を人材活用の観点から全力で支援すること です。

日々大きな変化を繰り返す現代社会において、従来の管理業務に重点を置いた後方支援型人事では、企業は他社を圧倒するだけの競争優位性を生み出すことはできません。

世の中の激しい変化に対応するためには、組織内の各部門が一体となって高度な戦略に取り組む必要があります。

人事部が経営者や事業責任者の良き理解者として組織の現状把握や各種戦略の理解に努め、それらに基づいた人事戦略を構築、展開することによって、迅速かつ最適な形で高度な戦略を展開することが可能となるでしょう。

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タレントマネジメントによる戦略人事

個々の従業員が持つ能力やスキル、資質を見極め、全ての人材が最も効果的な形でパフォーマンスを発揮することができるように人員配置や人材開発を行うこと をタレントマネジメントといいます。

タレントマネジメントにおいて価値ある人材とは、「優れた能力やスキルを数多く保有する人物」ではなく「組織が求めている能力やスキルを保有する人物」のことです。

この「組織が求めている能力やスキルを保有する人物」を確保、育成するという考えは、新規採用や次世代リーダーの候補者選抜、人事評価制度など人材に関する全ての取り組みに適用されます。

そのため、タレントマネジメントを実施する人事部は人材と向き合う前に組織の考えや方針を十分に理解し、現時点で組織内に不足している能力やスキルを洗い出しておく必要があります。

経営戦略や経営ビジョンから組織が求めている人物像を作り上げ、それに合致する人材を探し出し、より望ましい形へと育成した後に適切な場所に配置するという一連のプロセスはまさに戦略人事といえるでしょう。

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組織変革の担い手

様々な社会の変化に臨機応変に対応できる組織であるため、人事部が策定する施策は少なからず変化を伴うものになります。これは社員一人ひとりにも変化を促すもので、個人の成長を期待した打ち手でもあるでしょう。

組織の構造を考えるのも人事部の仕事ですから、 変革を行うときの旗振り役にもならなければいけません 。もちろん、組織のメンバーが納得したうえで参加してくれることが必要です。

必要に応じた改革を行うときには、リーダーシップの発揮が求められます。

従業員一人ひとりに寄り添う伴走者

近年、若年者の早期離職が組織の成長を阻む大きな要因となっています。

また、ダイバーシティの推進によって組織内の多様性が高まった結果、周りとのコミュニケーションや連携が上手く取れずに孤立してしまっている従業員が増加しているといいます。

そのような背景から、 人事部は率先して寄り添い、耳を傾けながら個々の自己実現に向けた総合的支援を行わなければならない のです。

これらの支援は人事部がメンタルヘルスケアの重要性を心から理解し、多様性を全面的に受け入れることから始まります。

まずは、アドバイザーやコーチのような上から目線ではなく、伴奏者として同じ目線で個々の従業員が抱える問題に向き合います。そうすることで、全従業員が自身の力で問題を解決し、高い目標を掲げ、その達成に向けてポジティブな思考で働ける強い組織を構築することができるでしょう。

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人事スタッフに求められる能力

ここまで人事部の役割や機能を見てきましたが、それらを果たすためにはどのような能力が必要なのでしょうか。人事スタッフに求められるスキルを解説します。

コミュニケーション能力

人事スタッフは、人と接することで役目を果たします。経営層が考える理念や全体的なビジネス戦略を理解して、それを現場に伝えることも必要となります。逆に、従業員の思いをくみ取る場面も発生するでしょう。

意思の疎通に食い違いがあっては組織運営に支障が出ます。そうならないために、人事スタッフには、高いコミュニケーションスキルが求められます。

情報収集力

会社の課題を、人的リソースによって解決しようとする部署が人事部です。そのため、会社の内外を問わず課題の原因や解決策を探ります。コミュニケーション能力も活用しながら人事部はさまざまな情報収集を行います。必要となる情報を、漏れなくしっかりと集めて、うまく使うための情報収集力が不可欠です。

数値に基づく科学的な視点

労務管理の事務処理は別として、人事部の仕事には定性的になりやすい部分が少なからずあります。どのような人材を採用するのか、社員をどのように評価するのか、どのような育成担当がどのように指導を行うのか、いずれも抽象的な表現になりがちです。

しかし、事業戦略実現を目指した人事戦略においては、あいまいな表現や思考は判断を狂わせるおそれがあります。したがって、ときには統計的な手法を用いた、数値に基づく論理的な思考が必要です。何か課題があったときに、それがなぜ起こっているのかということや、どのようにすれば解決できるのかということを、科学的な視点から考えなければいけません。

戦略的思考

人事スタッフには、戦略を持った思考が必要です。目的を持った決断であるとか、重要なことを優先する判断とか、あるいは中長期的な視野に立った計画などが該当します。

良好なコミュニケーション能力によって質の高い情報を集め、科学的な視点で物事を考えたとしても、戦略的な思考がなければ本当の意味で人事部が持つ責任を果たすことはできません。目先のことにとらわれることなく、戦略性を意識して頭を働かせることが必要です。

まとめ

  • 一般的に、人事部が果たすべき役割には採用や育成、評価・処遇、また、それらに伴う事務処理などがある。
  • 人事スタッフには、業務を行うためにコミュニケーション能力や情報収集のスキルなどが必要。
  • 多様性のある社会構造の中で、組織は臨機応変な対応が必要となっている。人事部には、経営戦略に基づいて 人材開発や人材管理を推進するリーダーシップも期待される。

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