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連載:第7回 採用 独自ノウハウを聞く

「コミュ力=優秀」という幻想を捨てたリーダーの英断。“人が辞めない組織”を作る人材見極めの本質

BizHint 編集部 2024年4月18日(木)掲載
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新卒採用の競争が激しくなっている昨今、特に中小企業においては「求人を出しても、そもそも応募すらしてもらえない…」といった状況に陥っていることもあるでしょう。愛知県にある前田鉄工所もかつては新卒をほとんど採用できず、採用した社員もすぐに退職していたそう。しかし、「コミュ力-ゼロ採用」という型破りな採用方針を打ち出したことで、学生からの応募が殺到。「口下手だけど真面目」な新卒社員の仕事ぶりが既存の社員にも好影響を与え、離職率も低下しているようです。状況を打破するきっかけは、一般的な優秀さとは違う「自社ならではの優秀さ」の追求にあったと語る前田基樹社長に、詳しくお話を伺いました。

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株式会社前田鉄工所(製造業/従業員数約50名)
代表取締役社長 前田 基樹さん

慶應義塾大学卒業後、新卒にて世界最大のコンサルティング会社アクセンチュアに入社。コンサルティング、人事、採用、経営管理などの業務を約10年経験し、社長への提言機関で社長賞を受賞。2014年、家業である前田鉄工所に入社。2019年10月より現職。


コミュ力よりも大事なものがあると気づいたから“捨てた”

――貴社では、コミュニケーション能力(コミュ力)を不問とする「コミュ力-ゼロ採用」に取り組んでいるそうですね。

前田基樹さん(以下、前田): はい。求人の際に 「コミュニケーション能力は一切求めません。口下手でも、コツコツ真面目に仕事に取り組める人を歓迎しています。ぜひ一度お会いしましょう」 と発信しています。コミュニケーションに自信がない人にこそ来てほしい、そういう人でも活躍できる場所だと伝えたい。そんな想いを込めています。

以前の当社は、新卒採用に求人を出しても全く応募がない、あっても1、2名。自社に合う人材かどうかの見極めも難しい状況でした。その影響か、採用しても1~2年で辞めてしまう。どうにか中途採用で人材を獲得していたものの、50名規模の組織で10名も離職してしまう年もあったほど…。

「コミュ力-ゼロ採用」を本格的に始めたのは、2021年からです。2022年と2023年にコミュ力-ゼロ採用を通じて入社してくれた計4名は、一人も欠けることなく頼もしい戦力となってくれています。今年2024年4月には3名が入社してくれました。

――「コミュニケーション能力」は多くの企業で重視される傾向にあるかと思います。あえて「不要」と打ち出すのは勇気のいる決断だったのではないですか?

前田: そうですね。全面的に採用に打ち出すまで、かなりの時間がかかったのも事実です。

私の前職はコンサルティング会社だったのですが、その業種からか、コミュ力の高い人がそこら中にいたんですよ。そんな会社と真逆とも言える当社が、同じことを求めても駄目だと思っていて。だからこそ、 一般的な優秀さとは違う「当社ならではの優秀さ」を探すしかない。 そうずっと考えていました。

当社の企業文化をはじめ、良いところや強みとひたすら向き合った結果、「当社ならではの優秀さ」が見えてきました。それは、 当社で活躍してくれる人材を見極めるのに欠かせない、たったひとつのポイント でもありました。

当社にとっては、コミュ力とは比べものにならないほど、大事なものだと言い切れます。

――そのポイントとは何だったのでしょうか?

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