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連載:第16回 ヒット商品を生む組織

路上販売から社員への謝罪、社長の通信簿まで。沖縄で10億以上売れる首里石鹸、急成長の舞台裏

BizHint 編集部 2022年10月20日(木)掲載
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2016年に誕生した「首里石鹸」をご存知でしょうか。誕生から6年で10億以上を売り上げるブランドに成長し、東京や大阪にも出店するなど急成長しています。この石鹸の歴史を辿ると、すべてが自己責任の「道売り(路上販売)」から事業を始めた創業者の波乱万丈の半生と、どんなにうまくいかない場面でもお客様や社員に真正面から向き合う姿勢が見えてきます。沖縄県を代表する成長企業となった株式会社コーカスの歩んだ道のりや、社員との向き合い方、組織づくりについて聞きました。

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首里石鹸(株式会社コーカス)
店主(代表取締役) 緒方 教介 さん

1972年、大阪府豊中市生まれ。母親が商売をする姿を見ながら、子ども時代を過ごす。大学卒業後、東京の通販雑誌編集などを経て、1999年に沖縄移住。道売りなどの経験をした後、2011年に株式会社コーカスを設立。コールセンターから始まった事業を拡大させ、2016年にスタートさせた「SuiSavon-首里石鹸」を成功させる。ほかに保育事業も行う。「世界で活躍できるブランド創り、人創り」が目標。


大切なことはすべて「道売り」が教えてくれた。

――貴社はコールセンターと首里石鹸、2つの事業の柱があります。創業からの経緯について教えてください。

緒方 教介さん(以下、緒方): ちょっと話はそれますが、沖縄の国際通りで始めた「道売り(路上販売)」が始まりかもしれません。

もともと東京で働いていたのですが、沖縄の広告代理店への転職を打診され、1999年に妻と2人で引っ越し。しかしその事業が行き詰まり、半年後に会社を辞めざるを得なくなりました。

物販事業の準備を進めていたこともあり、東京に戻るわけにもいかないな…と始めたのが国際通りでの道売りでした。海で拾った貝殻やサンゴを写真立てに貼りつけて売ったりして。これが、サラリーマンの時より儲かったんです。

もちろん、とても不安定な商売です。天気に左右されるし、警察や清掃の方に注意をされることもありました。でも、とても楽しかった。1年間、道売りをやりましたね。

(左)売り物の「くば笠」を編んでいる様子 (右)道売りから少し格が上がり、声をかけてくれた店の軒先を借りていた頃 (写真提供:コーカス)

――沖縄への引っ越しや道売り…奥さまは大丈夫だったのでしょうか?

緒方: 東京では二人でそれなりの収入があって、「沖縄では倍以上になるよ」と言っていたものが、それどころではなくなりました。そして妻は太陽も草も嫌い…。ものすごく不安な様子でしたし、当初はずっと家に引きこもっていました。

そんな中、僕の道売りが軌道に乗り人手が必要になってきたので、ある晩思い切って「店に立ってくれないか」と妻に相談しました。するとそれを引き受けてくれて、その後はずっと助けてくれました。

当時の写真に、たまたま出会ったバックパッカーを家に泊め、僕と妻と三人で寝転がっているものが残っています。誰とでも友達になって、好きな時に休み、好きな時に働く。妻も当時を振り返って「大変だったけど嫌な思い出はあまりない」と言ってくれています。

――事業について「道売りが始まり」と仰いましたが。

緒方: 今の経営に通じる貴重な経験を積み重ねられたのです。

道売りでは、お客様のほとんどが「お前、がんばっているな」と声をかけてくれます。そんな場面で僕ができることは、 「目の前のお客様に喜んでいただく」ことだけ 。いろいろな方と接しながら、そういったやりとりの中に「商売の基本」があることを体感しました。

振り返ると、これには大阪で商売をしていた母の影響もあります。子どもながらに母を間近で見ていて、「お客様を喜ばせること」が大事というのは、なんとなく体に染みついていたなぁ、と。同じ商品でも、こちらの姿勢や伝え方で高く売れることを目の当たりにしていましたので。

そして何よりも重要だったのは、道売りでは「起こるすべてのことは自分のせい」という究極の自己責任 でした。ここで店を開いたのは僕のせい。台風で商品が吹き飛ばされても僕のせい。全部自分で責任をとる。

会社を経営する立場になっても、社長として 「何があっても自分が責任を取る」という姿勢は変わらない ですね。

――道売りをやめられたきっかけは?

緒方: 道売りを始めて1年ほど経った2002年に、縁あってとある子会社の社長を引き受けたことがきっかけです。2010年まで在職しました。

そして子会社社長を退任後、2011年に4人のメンバーとレオパレスの一室でコーカスを立ち上げるに至ります。

経営方針の一つは「捨てる」。業界の常識を捨てて進めた改革

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