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連載:第5回 躍進する企業の転換点

和菓子屋が洋菓子作り!? 創業200年超の老舗和菓子メーカー7代目の15年改革記

BizHint 編集部 2021年10月11日(月)掲載
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古くから大阪のおみやげとして親しまれている「おこし」。この伝統の銘菓を216年にわたって作り続けてきたのがあみだ池大黒です。明治時代には天皇陛下から戦地への慰問品に選ばれるなど長らく皇室御用達品として名を馳せてきました。しかし、時代とともに消費者の嗜好が変わり、売上は低迷。それを改善していったのが7代目社長の小林昌平さんです。和菓子の伝統を覆し、現代的な洋菓子の開発に挑戦したところ、業績をV字回復させることに成功。伝統を守りながらも、常に「攻めの経営」を行い、組織の体質も大きく改革しています。「暖簾にあぐらをかくことなく、日々新た」という経営理念のもと、コロナ禍でも臆することなく新製品を開発しています。企業を存続させ、業績を伸ばすには何が必要なのか。そのヒントをうかがいました。

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株式会社あみだ池大黒
代表取締役社長 小林 昌平さん

1976年兵庫県生まれ。大学卒業後、大手総合リース会社に就職。法人営業職を7年間務めた後、2006年30歳の時に家業であるあみだ池大黒に入社。2012年に専務取締役に昇進、2016年に七代目の代表取締役社長に就任。食品衛生プロジェクトを進め、数々の新製品を開発するなど改革を進めている。


製造現場の改革に乗り出し、兵庫県食品衛生管理プログラム取得に奮闘

小林昌平さん(以下、小林): あみだ池大黒は、江戸時代の1805年(文化2)に大阪で創業しました。大阪銘菓の「おこし」は、お米を炒って粟状にしたものを砂糖や水飴に混ぜて型に入れ、乾燥させた干菓子です。このおこしを主力商品とし、さまざまな菓子を製造してきました。私は2006年、30歳で家業に戻ったのですが、当時はお客様のニーズが変わりおこしの人気が薄れ、業績が低迷しており人員整理を検討しなければならないほどでした。売上は減少の一途をたどっていましたが、なかなか打開策を見いだせず、苦しい状況が続いていました。

さらに大きな問題を抱えていました。それは製造現場の管理体制です。そもそも、現場ではおこしの製造マニュアルがありませんでした。昔ながらの職人気質のベテラン社員が多く、「俺のやり方を見て覚えろ」という風潮がありました。そのため新入社員がおこしづくりで一人前になるには10年かかると言われていました。製造現場ではミスも目立つようになっており、このままでは会社が危ない、と私は大きな危機感を持ちました。当時は、会長(祖父)と社長(父)の権限が強く、社員はその指示に従うという状態でした。会議の議事録がなく、情報共有もされていませんでした。

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