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人事を成功させるためのポイントとは?――「言葉」が組織のカルチャーをつくる―― freee佐々木CEO x ラクスル永見CFO 「経営者が求める人事の役割」(後編)

BizHint 編集部 2016年8月25日(木)掲載
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※この記事は2016年8月17日に開催されたイベントの録音を元に作成されたレポートです。


登壇者

パネラー

佐々木 大輔 氏 (freee株式会社 代表取締役)

永見 世央 氏 (ラクスル株式会社 取締役CFO)​

モデレーター

麻野 耕司 氏(株式会社リンクアンドモチベーション 執行役員)

人事を成功させるためのポイントとは?――「言葉」が組織のカルチャーをつくる――

麻野 耕司 氏(以下、敬称略) :お二人の話から、人事を経営や現場といかにつなげていくかが非常に大事だということが伝わってきました。では、人事を成功させるためのポイントは何だと考えていますか。

佐々木 大輔 氏(以下、敬称略) :人事や組織に関するコミッティー(委員会)を機能させることが大事だと考えています。現在freeeでは、「どうやって組織を良くするか」という議論に特化した会議を週2回30分という、比較的高い頻度で行っています。ここではサービスの開発などの話は一切ふれません。そして、この時間内で解決するのが厳しい課題については、月2回、2時間の会議で議論するという流れです。メンバーは、私たち役員だけでなく、先ほど述べた「メンバーサクセスチーム」の代表です。現場のメンバーにも参加してもらっているのは、経営層だけで考えていても、現場の声を反映できないと思ったためです。

どんなことを議論するかというと、テーマは実に多岐にわたります。一例としては、自社のビジョンにインパクトを与えられるようなアウトプットを、メンバーに促すフィードバック基準のことを「インパクトマイルストーン」と呼ぶんですが、そのレビュー項目を変更するかどうかという話が挙げられます。また、次の組織変更をどうするかといった中長期的に組織に関わる話や、今度の社内バーベキューでどこまで呼ぶのか、突発的な問題を抱えている社員にどう対応するかといった具体的かつ差し迫った話も含みます。

人事を成功させるうえで、もう一つ重要なのは、自分たちの会社らしさが表れた言葉を使うことです。freeeらしい言葉遣いって何だろう、と。例えば、総務とか上司といった言葉って、普段当たり前のように使っていますよね。こうした表現を、freeeがめざす「ムーブメント型組織」という文脈からとらえ直して、よりふさわしい表現に置き換えるんです。

上司を「ジャーマネ(芸能人のマネージャー)」と表すのも、freee独特の表現ですね。すると、タレントの持ち味をうまく引き出すマネージャーのように、メンバーの「やりたい」という気持ちを促す役割として、上司の役割を、より適切に定義できます。結局のところ、組織のカルチャーって、「社内でどのような言葉が話されているか」に大きく規定されると思うんです。

麻野 :佐々木さんが、言葉へのこだわりを強く持つようになったきっかけは何でしたか?

佐々木 :私たちの会社では、エンジニアが不具合修正に追われることもしばしば。そんなとき「バグが起きた」と、マイナスの表現ばかり使っていると、メンバーのやる気がそがれていくんです。そこであるとき、「バグ」のことを「ハッピー」と言うようにした。「今日はハッピー対応で忙しいので、通常の開発は後回しにします」みたいに。一歩まちがえると、ちょっとブラック企業みたいに聞こえるかもしれませんが(笑)

ですが、こんなふうに、ポジティブな表現に変えただけで、バグの解消を、「お客さんをハッピーにするための業務」ととらえるようになり、社員の提供するクオリティもモチベーションも上がりました。この成功体験から、自社独自の言葉へのこだわりが生まれるようになったんです。

麻野 :弊社でも、これからクレームのことを「ハッピー」と呼ぼうと思います(笑)

永見 世央 氏(以下、敬称略) :佐々木さんのおっしゃるとおりですね。普段から自社独自の言葉が使われるようになると、意思決定やアクションがそろってくるという不思議な効果が生まれるんです。ラクスルでは、3ヶ月かけて徹底的に議論し、「ユーザードリブン」や「完璧より最速」などの「6つの行動規範」をつくりこみました。現場で毎日、その行動規範が使われるように、何度も言葉を練り直しましたね。そのおかげで、意思決定のスピードが早くなったと感じています。

人事でもPDCAサイクルを回せているか?

麻野 :永見さんにとって、人事が成功するためのポイントは何ですか?

永見 :当たり前のことかもしれませんが、PDCAサイクルを回すことに尽きると思います。事業においてはKPIをきちんと設定してPDCAを回すのが普通なのに、人事の領域でもPDCAを回す人は驚くほど少ない。例えば、100人の会社に一人新しい社員が増えたら、100の新しいコミュニケーションが増える。そのダイナミズムに対応できるようにするには、メンバーとの接し方や育成、評価方法などを改善し、進化し続けることが重要になってきます。

もう一つ大事なのは、制度面に関して、マネジメント層にメンバーのモチベーション向上やリテンションにおける目標を明確に課すことです。ラクスルには、グレード制度という人事評価制度があって、ある一定の等級以上のマネージャーには、メンバーのリテンションが一定のレベルに達していないと、上には上がれないようにしています。このように、マネジメント層の人事評価や昇格にも、人事的な役割の達成度を考慮することが大事だと考えています。

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