連載:第8回 エネルギー
注目度高まる「洋上風力発電」関連の特許、日本は「トータルパテントアセット」で三菱重工が2位に
二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を進める日本において、原子力発電から火力発電への回帰、あるいは風力発電・水力発電への注力が加速しています。政府は2兆円の「グリーンイノベーション基金」を設置。アスタミューゼは、基金配分の検討に参画するとともに、関連技術における有望企業/大学・研究機関の技術資産の評価を行いました。
2010~2019年間のパテントエッジスコア上記企業20社
日本は「トータルパテントアセット」で三菱重工が2位に
同社の最新レポートでは、風力発電のなかでも「洋上風力産業」に焦点をしぼり、関連技術を分析しています。今回の分析では、2010~2019年の10年間に出願された全世界の洋上風力に関する特許の「インパクトスコア」(特許1件1件の強さを定量評価したもの)を算出しました。なお対象期間中には4,478件の特許が、計29か国から出願されていました。
「パテントエッジスコア」(競合他社に対して大きな脅威となりうる突出した特許を示す値)を見ると、上位には米欧の企業・機関が多くランクイン。上位のPrinciple Power, Inc.、Oceanwind Technology LLC、SBM Offshoreは、いずれも浮体式の洋上風力発電機の基礎部分に関する特許を保有しています。日本からは、三菱重工が5位にランクインしました。
2010~2019年間のトータルパテントアセット上記企業20社
この、1つ1つの特許のスコアをもとに、風力発電に関わる特許出願人ごとの「トータルパテントアセット」(各社の特許ポートフォリオとしての総合的な競争力を計る指標)を分析すると、1位はState Grid Corporation of China(中国)で、2位に日本から三菱重工がランクインしています。三菱重工の出願特許では、発電機や、浮体構造を含む発電機の基礎部分に関する特許が、高いスコアで評価されていました。
2010~2019年間の国別トータルパテントアセット上位10か国
国別で「トータルパテントアセット」を見ると、1位「中国」が突出していて、それに2位「日本」、3位「米国」が続きます。なおトータルパテントアセットが算出された出願人619機関のうち、中国が約30%を占めているとのことです。
洋上風力発電の主たる研究テーマとその件数ならびに配賦額
さらにアスタミューゼでは、「グラント」(公募で決定される研究開発資金)についても分析しており、それによると2010年~2019年の10年間に洋上風力にかかわるグラント配賦額の総計は4.8億ドル。年間成長率17.2%で伸長していることがわかっています。ジャンルでは「発電効率の向上を目指すタービンの設計や開発に関する研究」への資金投入が多いようです。
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000181.000007141.html
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