従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントとは、会社の方針や戦略を、経営者を含む従業員全員に浸透させるために有効な手段を指します。急速な発展を遂げる新興国や流動的に変化する世界情勢の影響で、日本企業も早急なグローバル化が求められています。今回はこの「従業員エンゲージメント」の意味をはじめ、向上する事による効果や従業員エンゲージメントを向上させるための具体的な施策、調査方法、企業事例まで幅広くご紹介いたします。
~この記事でわかること~
- 従業員エンゲージメントの言葉の意味
- 従業員エンゲージメントの向上で得られる効果
- 従業員エンゲージメント向上のための具体的施策と企業事例
従業員エンゲージメントとは?
「従業員エンゲージメント」の意味を知るためには、まず「エンゲージメント」という言葉について知る必要があります。
「エンゲージメント」の意味
もともとエンゲージメントという言葉には「約束」「婚約」といった意味があり、 企業や人、ブランドやサービスなどへの愛着・絆、関係性を指す言葉 です。本記事の「従業員エンゲージメント」をはじめ、企業とそのカスタマー(顧客)の関係性や信頼度を表す「顧客エンゲージメント」があります。企業にとっては、どちらも重要なものです。
【関連】エンゲージメントとは?それぞれの定義と高め方、測定方法や事例まで徹底解説/ BizHint
従業員エンゲージメントの定義と構成要素
従業員エンゲージメントは、1990年頃にGE(ゼネラル・エレクトリック)社のジャック・ウェルチ元会長が、企業の継続的な成長のための最優先課題とした事から、世界的に注目されるようになった概念です。
世界140ヵ国以上に社員を抱える世界有数のコンサルティング会社「ウイリス・タワーズワトソン」では、従業員エンゲージメントを以下のように定義しています。
会社・組織が成功するために、従業員が自らの力を発揮しようとする状態が存在していること
つまり「従業員エンゲージメント」とは、 組織に対する自発的な貢献意欲 を指します。
この従業員エンゲージメントは、3つの要素で構成されています。
- 理解度 …企業理念・ビジョンなどへの理解・納得感
- 共感度 …組織への愛着心や帰属意識
- 行動意欲 …企業の目標達成のため、自主的に貢献しようという意欲
企業理念や目標などが従業員一人ひとりに浸透し、それが理解され「自分ゴト」として捉えられているからこそ、組織への愛着が生まれ、組織の目標達成に自主的に貢献しようと思える環境が醸成されるのです。
従業員満足度との違い
企業と従業員の関係を測る指標の一つに「 従業員満足度 」というものがあります。これは、従業員が企業の「目標やビジョン」「職場環境」「仕事の内容」「福利厚生・待遇」などについて、どれだけ「満足」しているかを数値化したものです。
先ほどご紹介したように、「従業員エンゲージメント」は企業への理解や共感を保った上での「 自発的な貢献意欲 」を指すもの。一方で「従業員満足度」は企業がもたらす様々な事柄への満足感、つまり従業員が組織で働く上での「 居心地の良さ 」にフォーカスした指標、という点に大きな違いがあります。
【関連】従業員満足度とは?向上させる方法や、企業事例まで徹底解説/BizHint
日本企業の従業員エンゲージメントは世界で最下位レベル
米国最大の調査会社ギャラップ社は、2017年、エンゲージメントに関する調査結果を発表。これは全世界1300万人のビジネスパーソンを対象としたもので、「熱意あふれる社員」つまり従業員エンゲージメントの高い社員の割合を国ごとに導き出しています。
このような社員の割合が、米国の32%に対し日本は6%にとどまり、 調査対象となった139カ国中でも132位と最下位レベル となりました。
少子高齢化により深刻な人手不足問題を抱えている日本で企業が生き残るためには、生産性向上や優秀な人材の流出を防いでいくことが重要 です。これらに効果のある従業員エンゲージメントは、まだまだ浸透していないものの、 その向上は急務 であると言えるでしょう。
【参考】働く人の幸福度をはかるたった12の質問 日本企業は世界でも最下位レベル/PRESIDENT Online
従業員エンゲージメント向上によりもたらされる効果
なぜ今従業員エンゲージメントは高い注目を集めているのでしょうか?それは、従業員エンゲージメントがもたらす様々な効果にヒントがあります。
企業への理解や共感、そして貢献意欲を指す従業員エンゲージメントが高まれば、自然と 従業員のモチベーションが向上し、組織の活性化 にもつながります。
それにより、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
業績の向上
「従業員エンゲージメントが高まっている状態」は、「 従業員の企業への愛着心が強く、企業のために献身的に業務に取り組む姿勢を持った状態 」であると言えます。このような状態である従業員が増えると、企業全体の士気が高まり、結果として全体のパフォーマンスが上がります。それにより、業績の向上にも繋がるのです。
従業員エンゲージメントが、「サービス」「品質」「安全性」を高めるという研究結果も出ています。
内部部品・外部部品100万個あたりの品質不良(Quality Errors)が,エンゲージメント指数の低いグループでは5,658 件発生したのに対して,高指数のグループでは僅か 52 件であったという調査報告も存在する(51)。以上の事実を踏まえるならば,EEによって製品・サービスのクオリティ向上が期待できるものと理解しても大過はないであろう。
また2018年、株式会社リンクアンドモチベーションは「 従業員エンゲージメントと企業業績 」についての研究を実施。企業のエンゲージメントスコア(エンゲージメントの偏差値)が1ポイント上昇すると、 営業利益率が0.35%上昇 、また 労働生産性(指数)は0.035上昇 するという結果も得られました。
【出典】「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開~エンゲージメントスコアの向上は営業利益率・労働生産性にプラスの影響をもたらす~/株式会社リンクアンドモチベーション
離職率の低下
従業員エンゲージメントが高まっている状態は、従業員が企業の目指す方向性を信頼し、愛着心や帰属意識を持った状態であるため、 優秀な人材の流出も防ぐことができます 。また、自発的な貢献意欲を高める従業員エンゲージメントは、企業と労働者との間に、信頼関係と似た“絆”を生み出すこともできるのです。
実際に、アメリカの経営・人事管理コンサルティング会社、CEB社は「従業員エンゲージメントと離職率の関係性」を報告しています。
それによると、 従業員エンゲージメントの低い従業員の離職率が9.2% であるのに対し、 従業員エンゲージメント高い従業員の離職率は1.2% にとどまっています。両者の間には約87%の乖離が見られるため、従業員エンゲージメントはより優秀な人材を自社に留まらせる施策として有効であると考えられます。
【出典】Driving Performance and Retention Through Employee Engagement/Corporate Executive Board
【関連】離職率とは?計算式や平均値、離職率改善の取組事例、早期離職まで徹底解説/ BizHint
顧客エンゲージメントの向上
従業員エンゲージメントを高めることは、企業とそのカスタマー(顧客)の関係性や信頼度を表す「 顧客エンゲージメント 」を高めることにも繋がります。
アメリカの建設機器大手のFabick CAT社が、「従業員エンゲージメント施策」を実施。その結果、2002年時点では「従業員エンゲージメントの高い(職務を全うした)従業員」の割合が16%であったところ、2006年には45%と、29%の向上を見せました。それと同時に「顧客エンゲージメントスコア※」も、8%向上しました。
従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントの向上には、相関関係があると言えます。
※顧客エンゲージメントスコア…顧客と企業との関係性におけるエンゲージメント。顧客が製品・サービスを積極的に購入する、繰り返し購入する、知人・友人に積極的に勧めるなどの行動を数値化したもの
【参考】A Caterpillar Dealer Unearths Employee Engagement/Gallup
従業員エンゲージメントの向上施策
「従業員エンゲージメント」の調査や分析を手がけるコンサルティング企業、ウィリス・タワーズワトソン社のグローバル調査によると、従業員エンゲージメントと相関関係の高いテーマの「上位5つ」について、以下の点が挙げられています。
- 経営トップのリーダーシップ
- ゴールや目標の明確さ
- 直属の上司
- 企業イメージの信頼性
- ワークライフバランスと柔軟性
今回は、これらのテーマを元に、従業員エンゲージメントの向上施策についてご紹介します。
ただし、企業の特性ごとにマッチする施策は異なるため、1つのヒントとしてご活用ください。
【出典】FCC REVIEW 2019年8月号/株式会社 タナベ経営
組織のミッション・ビジョンを明確に共有する
冒頭でもご紹介したように「従業員エンゲージメント」は、従業員が企業の目指す方向性やビジョンを信頼、共感した上での、自発的な貢献意欲を言います。従業員がそのビジョンを信頼するためには、まずそのビジョン自体を明確に、わかりやすく共有する事が必要不可欠です。
会社はどのような方向性で、何を目指しているのか。そして自身の日々の業務は、そのプロセスのどの部分を担っているのか…など、企業のビジョンを理解する事により、自身の業務を紐づけて捉える事ができ、会社の目標を自分ゴトとして捉える事ができるようになります。
まずは、経営トップの言葉で、従業員に会社の方向性を指し示すことが重要です。
そして、それが従業員一人ひとりに浸透するよう、施策を講じていきましょう。具体的には、ビジョンなどが記されたカードを配布したり、社内媒体での定期的な広報、さらにはビジョンなどについて考えるワークショップの開催など、様々な手法が考えられます。
【関連】ミッション・ビジョンとは?用語解説から企業の例まで/BizHint
社内コミュニケーションの活性化
次に、社内コミュニケーションの活性化です。
企業の戦略や目標を達成するためにはオープンなコミュニケーションが必要不可欠。どんな些細なことや当たり前と思っていることでも、発言しやすい環境を構築することが大切です。役職や部署、属性などに関わらず積極的なコミュニケーションを重ねることで、相互理解が深まり、尊重しあえる関係性が築けます。
これにより、従業員エンゲージメントの構成要素である、会社への「愛着」や「帰属意識」も高まるのです。
【関連】なぜ社内コミュニケーションが重要なのか?改善施策・事例まとめ10選/BizHint
タレントマネジメントの推進
先ほども触れたように、企業によってマッチする従業員エンゲージメント向上施策は異なります。ただし、従業員が持つスキルや能力を把握し、適材適所な人材配置や適切な人材育成を用いて、その能力を最大化させる「タレントマネジメント」は、どの企業にとっても重要な施策であると言えます。
従業員が適材適所で業務を行うことができるようになれば、職務に対して興味を持ち、楽しみながら取り組むことができるようになります。強みや得意分野を担うことは自信にもつながり、成果も出しやすくなるでしょう。併せて、個々の特性を把握した上で、個別のスキルアップ支援やキャリア開発などを行うことも重要です。
【関連】タレントマネジメントの意味とは?定義や目的、事例をまとめてご紹介/BizHint
部下への権限委譲
また、タレントマネジメントの一環として、部下に意思決定・提言を行わせる権限委譲も有効な手段のひとつです。
これにより、部下は自分が抱えるプロジェクトを自らコントールし、より強い責任感の元、仕事に集中することができます。
また同時により高い権限を得られる昇進や昇給などを目指しやすくなり、部下の成長にもつながります。
【関連】権限委譲の意味とは?責任や権限の委譲などの正しい方法/BizHint
評価制度とフィードバック
人は「正当に評価されている」と感じると、仕事への意欲や企業への貴族意識が高まります。そのため、従業員エンゲージメントの向上には、透明性が高く納得感のある評価制度も欠かせません。
また、評価制度を整備するだけではなく、適切なフィードバックを行える環境づくりも大切です。
「自分を認めてもらえている」という自信は人を勇気づけ、自発的な行動へと駆り出してくれます。そのため、どんなに小さな貢献も見逃さないよう注意しましょう。
欠点ばかりを指摘し、注意する上司は数多く存在しますが、部下がどんなことに成果を出したかを見つけ出す努力や、ポジティブフィードバックを積極的に行うように心掛けることが大切です。
【関連】ポジティブフィードバックの意味とは?効果や利点、具体例をご紹介/BizHint
ワーク・ライフ・バランスが保てる環境づくり
また、従業員が働きやすい環境を構築するため「ワーク・ライフ・バランス」が保てる環境整備も重要です。
心身ともに健康な状態を保てることで、自身のモチベーション向上や「この会社でもっと働きたい」といった組織への帰属意識が高まります。
しかし、居心地の良さの指標である従業員満足度ばかりが向上し、従業員エンゲージメントに寄与することがなかったということにならないよう注意しましょう。
【関連】ワーク・ライフ・バランスとは?正しい意味や取り組み、企業事例などご紹介/BizHint
従業員エンゲージメントと一緒に考えたい「心理的安全性」
ここ近年、従業員エンゲージメントと一緒に話題にあがるのが「心理的安全性」です。
心理的安全性とは、チームのメンバーがそれぞれ不安を抱えることなく、自分の考えを自由に発言できたり、行動に移したりできる状態をいいます。
心理的安全性の確保されることにより、メンバーは本来の自分を偽ることなく「ありのままの自分」でいられるように。安心して発言できるようになり、チームで協力しあえる関係性が構築されます。そしてコミュニケーションが活性化し、お互いへの相互理解も深まり、信頼関係が生まれるでしょう。
これらの環境が整えば、メンバーそれぞれが仕事にやりがいを感じ、主体的な行動が増えていきます。モチベーションも高まり、結果的に従業員エンゲージメントの向上にも寄与するのです。
このようなことから、従業員エンゲージメントの向上には、心理的安全性の確保が欠かせません。
【関連】心理的安全性が職場にもたらす効果と高め方、測定方法まで徹底解説 / BizHint
従業員エンゲージメントは持続させることが最も重要
従業員エンゲージメントが高い状態は、一時的なものでは意味がありません。従業員エンゲージメントが高い状態を持続し続けることが最も重要なのです。
持続可能なエンゲージメントの構成要素
ウィリス・タワーズワトソン社によると、従業員エンゲージメントに、「 生産性高く働ける環境 」と「 心身ともに健康な状態 」という2つの要素を足した状態が「 持続可能なエンゲージメント 」であるとのこと。
生産性高く働ける環境では、業務を行うにあたり必要な権限の委譲(意思決定)や業務量のバランスが影響度が高いとされており、心身ともに健康な状態では、従業員自身が行える業務量を把握・理解できる環境の整備が大切です。
持続可能なエンゲージメントがもたらすもの
ウィリス・タワーズワトソン社の2011〜2015年の調査(対象:従業員1〜5万人規模のグローバル企業41社)によると、「持続可能なエンゲージメント」の数値が高い企業は、 ほぼ一貫してそれぞれの業界の成長を上回る業績をあげています 。そして 営業利益率は、エンゲージメントの低い企業の約3倍 にもなるという結果も得られており、「持続可能」である事が業績に直結している事が見てとれます。
つまり、貢献意欲の強い従業員が、居心地の良い環境の中で、心身ともに健康に働き続ける事ができれば、自ずと継続した業績の向上が見込める、という事です。
【出典】エンゲージメント:back to basics!/ウイリス・タワーズワトソン
注目したいのは「エンプロイー・エクスペリエンス」
「 エンプロイー・エクスペリエンス 」という言葉があります。これは、従業員が組織の中で体験する「経験価値」のこと。仕事や人間関係、健康状態や職場環境に至るまでの様々な要素を幅広く含みます。
従業員エンゲージメントを向上に導く「要因」であると考えられており、欧米で注目を集めている概念です。
「エンプロイー・エクスペリエンス」の詳細については、以下の関連記事をご参照ください。
【関連】エンプロイー・エクスペリエンスとは?企業と従業員をつなぐ新たな考え方を紹介/ BizHint
従業員エンゲージメントを経営に取り入れた企業事例
それでは、実際の企業ではどのような施策を行っているのでしょうか。ここでは、2社ご紹介します。
小松製作所
建設機械日本シェア第一位、世界シェア第二位の小松製作所は2012年より従業員エンゲージメントの強化へ本格的に乗り出しました。
小松製作所がマネージャーを対象に実施した従業員エンゲージメントを高める施策は以下の通りです。
- マネージャー層が気を配るべきポイントの明確化(信頼、モチベーション、変化、チームワーク、権限委譲)
- プロフェッショナルとして働くための教育研修体形の整備
- 柔軟性に優れた育児・介護支援などの充実した休暇制度
- 経営陣を含む全従業員に、小松製作所の価値観を記した小冊子「コマツウェイ」の配布
- マネジメント層に対する説明会の実施
これらの施策により、マネージャー層および従業員は自社への愛着・共感が強くなり、現場で働く従業員が持つべき考え方や心構えを明確に伝達することに成功にしました。
その結果、小松製作所は2012年度の売上高1兆8849億円から、2014年度には1兆9786億円を達成、売上高営業利益率では11.2%から12.2%まで改善することに成功しました。
【参考】従業員エンゲージメントを37%向上させた小松製作所に学ぶ、マネージャーが気を配るべき5つのポイント/株式会社トータル・エンゲージメント・グループ
株式会社LIFULL
株式会社LIFULLは、総掲載物件数NO.1(産経広告社調べ・2019年7月時点)を誇る不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」の運営などを行う企業で、従業員数は1,543名(2019年9月現在)です。
同社が、社内カルチャーを作るために重視しているのは「内発的動機付け」「圧倒的当事者主義」という2つの考え方。また、「薩摩の教え」に基づいた「挑戦した人」を称える風土も大切にしています。失敗しても成功しても、「挑戦」した人を賞賛する事により、失敗を恐れずチャレンジできる風土を醸成できているのです。
これらに基づき、同社では以下のようなルールや施策を実施しています。
- 半年に一度の目標設定面談(半年後・3年後・5年後のキャリアを上司と検討)
- 異動は、基本的に従業員の自発的な希望(職種や部署異動)を優先
- 自身の本業以外の研究開発に、年間10%程度の時間を充てる制度(エンジニア向け)
- 四半期に一度「LIFULLが世界再考のチームになるには」等のテーマを全従業員でディスカッションするイベントを開催
- 社長や役員の日々の考えを週1程度配信する「役員コラム」
他にも、会社のビジョンと、最小単位組織の固有のビジョンや従業員の日々の業務にギャップが起こらないようにする「 ビジョンプロジェクト 」。そして、子育てや介護や闘病などの背景を抱える社員をサポートする「 もちもちワーキンググループ 」など、複数の有志プロジェクトも積極的に活動しています。
まさに「 圧倒的当事者主義 」が根付いた環境ならではだと言えます。
これらの取り組みにより、同社はForbes JAPANの調査で「従業員エンゲージメントが高い企業(2017年)」の1位、また「組織のエンゲージメントスコアが高い企業(2018年)」でも5位に輝いています。
【参考】成否を問わず、挑戦した人を称える「薩摩の教え」 LIFULLが日本一社員モチベーションの高い会社になれた理由/ログミーBiz
【参考】強い組織のカギ「従業員エンゲージメント」が高い企業トップ10/Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
【参考】「組織のエンゲージメントスコア」が高い企業トップ10/Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
従業員エンゲージメントの調査方法(サーベイ)
最後に、従業員エンゲージメントの調査方法を紹介します。
エンゲージメントの調査方法
従業員エンゲージメントの調査方法としては大きく2つ、既存の質問事項などを駆使して社内で完結するパターンと、アウトソーシングして一連の流れをプロに任せるパターンがあります。
従業員エンゲージメントを測る形式としては、アンケート形式が一般的です。アンケートは、スマホやPCなどでいつでもどこでも回答できるスタイルが主流ですが、紙を配布して回答させる手法もあります。課題によっては、部署・役職・職種ごとなどに調査を分ける事もできます。
調査の大まかな流れは以下となります。
- 自社の課題を洗い出す
- 課題の要因を探るための質問内容を設計
- 従業員に質問を投げかけ調査
- 調査結果を分析し、その後の対策を練る
このPDCAサイクルを回す事により、従業員エンゲージメントの向上に繋げる流れです。
質問項目は、例えば「働きがい」「人間関係」「組織文化」などの項目ごとに、複数の設問を用意しましょう。
アウトソーシングの場合は、アウトソーシング企業が持つ他社のデータなどと照らし合わせ、偏差値を出したり傾向を比較するなど、自社の状況の客観的な把握も可能です。
エンゲージメントを測る12の質問
米国最大の調査会社 ギャラップ社は、組織のエンゲージメントを測る「エンゲージメント・サーベイ」を実施しています。
ここでは、世界1300万人のビジネスパーソンのエンゲージメントを測定するために用いられた、12の質問「Q12(キュー・トゥエルブ)」についてご紹介します。
- Q1: 職場で自分が何を期待されているのかを知っている
- Q2: 仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
- Q3: 職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
- Q4: この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
- Q5: 上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
- Q6: 職場の誰かが自分の成長を促してくれる
- Q7: 職場で自分の意見が尊重されているようだ
- Q8: 会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
- Q9: 職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
- Q10: 職場に親友がいる
- Q11: この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
- Q12: この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった
読んでいくと解るように、企業が用意した職場の環境や、上司やメンバーからの「褒める」「認める」「気にかける」など、外的要因が多い事が分かります。逆に言えば、企業の努力次第で従業員エンゲージメントを向上させるチャンスは大いにあるという事です。
まとめ
- 従業員エンゲージメントは、企業への理解、組織への愛着心、そして自主的な貢献意欲によって構成されます。
- 従業員エンゲージメントを向上させる事により、離職率の低下だけでなく、業績の向上や顧客エンゲージメントの向上にもつながります。
- 従業員エンゲージメントを向上させるには、組織のビジョンを浸透させる事、社内のコミュニケーションを活性化させる事、そして「タレントマネジメント」を実施し、従業員一人ひとりの能力を最大化する事も重要です。
こちらの記事もあなたにオススメ
-
エンゲージメントを向上させるための「エモーショナル・マーケティング」の再考
EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」 | デジタルでモノを売ると言うこと
-
経営者こそ知っておきたい、強い組織・チームづくりのための「心理的安全性」
BizHint 編集部
-
社員の絆と感情が最優先。非常識を常識に。逆境スタートゆえの慣習破壊と急成長1
BizHint 編集部
-
7年間のグラフが証明した「従業員エンゲージメントと業績の連動性」。日本ユニシス、攻めの改革1
BizHint 編集部
-
「お前は会社を潰す気か!?」と父に言われても、諦めず会社を立て直した後継ぎの話
BizHint 編集部
-
コロナ下で新プロジェクト15件始動など。京の老舗旅館の奮闘
BizHint 編集部
-
時価総額1.9兆円、営業利益率51%超。オービック「採用は新卒のみ」の歴史的必然
BizHint 編集部
-
高卒採用成功の秘訣と、社員が辞めない会社作り。前社長の意思を継ぐ挑戦の日々
BizHint 編集部