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2019年1月9日(水)更新

休業補償

休業補償とは、業務不能な状態となった労働者が労働契約を保ったまま休業する際に受けることができる補償制度です。今回は、休業の理由別の定義や労災保険の制度概要、休業補償給付の支給要件や金額、支給期間、支給制限の内容や有給休暇取得時の対応について順を追って解説していきます。また、休業補償給付以外の給付制度もあわせて紹介します。

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休業補償とは

やむを得ない事情で仕事に就くことができない状況に陥った場合、労働者は「休業」という選択肢を取ることがあります。このような休業せざるを得ない状態の労働者に対し、国ではさまざまな補償制度を打ち出しています。

会社を休む労働者に対する補償制度には、労働基準法における休業手当や雇用保険法による傷病手当、健康保険法の傷病手当金制度も含まれます。

「休業補償」もその補償制度のひとつです。仕事中の事故などで業務ができない状態となった労働者が、労働契約を保ったまま休業する際に受けることができる補償制度となっています。今回はこの「休業補償」に焦点を当てて、順を追って解説をしていきます。

休業とは

休業とは、その名の通り労働者が「業務を休む」ことです。使用者との間で交わされている労働契約を維持したまま休むことに特徴があります。

自己都合による休業

自己都合というのは、労働者自身の都合による休業のことで、労働者からの申し出により行われるものです。

具体的な理由としては、事故にあった場合や病気になった場合、産前産後の休業や出産による育児休業、家族に要介護者が発生したことによる介護休業などが挙げられます。

会社都合による休業

会社都合というのは、休業の理由が会社によるもので、会社側からの申し出により行われるものです。

たとえば、経営難による自宅待機や操業停止、会社設備不良による休業などが挙げられます。

天災事変による休業

天災事変による休業は、地震や火事、水害、台風などの影響で会社を休まざるを得ない状況に陥ることです。

これは、自己都合による休業、会社都合による休業のいずれにも該当しません。

休暇との違い

休暇とは、本来ならば就労の義務があるにもかかわらず、その就労を免除される日のことです。年次有給休暇や介護休暇、子の看護休暇、慶弔休暇などが挙げられます。

労働契約を維持したまま休むことに関しては休業と同じですが、休業と比較すると短期間の休みを指すケースが多くみられます。

休職との違い

休職とは、その労働者が「就労するに値しない理由がある」場合に、業務をさせないことをいいます。使用者側が休職を「させる」という認識で行われるものです。

たとえば、労働者が疾病にかかったことによる休職や裁判員などの公職に就いたことを理由とする休職、労働組合に専従することによる休職などが挙げられます。

休業手当との違い

休業をしている社員のための補償制度の一つに「休業手当」制度があります。休業手当は休業補償と名称が似ていることから混同されがちな制度となりますが、「社員が休業せざるを得ない理由」と「賃金扱いとなるかどうか」という点で内容が異なることに特徴があります。

休業補償の場合は、前述のように業務上による事故などに遭い、療養の必要性が生じた場合に取得できる制度で、生活保障のための手当として扱われるため、受ける給付金は賃金とはみなされません。一方、休業手当の場合は、操業停止などの会社都合による休業時に取得できる制度で、賃金として扱われるため所得税の課税対象となります。

では、次の項目では、休業補償の内容について詳しく見ていくことにしましょう。

労災保険における保険給付

休業に関する補償制度の代表的存在といえば、労災保険法(労働者災害補償保険法)による保険給付制度でしょう。

労災保険法は、仕事もしくは通勤中に事故にあった労働者の生活保障のため、国から給付が行われる制度を法律化したものです。会社側が国に保険料を支払うことで、いざという時に会社に代わって保険給付を実施してもらうことができます。

労災保険法の対象となる労働者は、その事業所で働くすべての労働者です。正社員、契約社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を問わず、働く社員すべてに制度が適用されます。なお、派遣労働者の場合は、派遣元事業主が加入する労災保険法の適用対象となるため、注意をしましょう。

保険給付の種類

労災保険法における保険給付は、災害の発生事由に応じて次の3種類に分類されます。順にその内容を見ていきましょう。

業務災害

業務災害とは、労働者が就労中に、業務を理由とした災害にあったことで負傷や疾病、障害、死亡状態に陥ることです。

業務災害かどうかの判断については、雇用契約などにより、労働者が災害時に携わっていた業務を行う義務があると認められる「業務遂行性」と、業務と災害にある程度の因果関係が認められる「業務起因性」の有無により行われます。

なお、業務上の疾病に関する内容は、「労働基準法施行規則別表第一の二」に詳細が指定されており、この内容に該当するケースのみ、業務災害による疾病を被ったと認められることになります。

具体的には、主に次の11種類となります。

  1. 業務上の負傷に起因する疾病
  2. 物理的因子による疾病
  3. 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する疾病
  4. 化学物質等による疾病
  5. 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則第一条各号に掲げる疾病
  6. 細菌、ウイルス等の病原体による疾病
  7. がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による疾病
  8. 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病
  9. 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病
  10. 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病
  11. その他業務に起因することの明らかな疾病

【参考】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)

通勤災害

通勤災害は、労災保険法7条の2項により、次のように定義づけられています。

労働者災害補償保険法7条2項(抜粋)
二 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)

なお通勤とは、労働者が就労するにあたり「合理的な経路及び方法」を取って移動することで、業務に携わっている部分を除いた主に次の内容をいいます。

  • 自宅と就労場所間の往復
  • 複数の就業場所間の移動
  • 単身赴任先と帰省先との移動

二次健康診断等給付

二次健康診断とは、定期健康診断後に脳血管疾患や心臓疾患に関する項目に異常があると判断された場合にあらためて受ける診断のことです。この場合に受けられる給付としては、二次健康診断の受診や、医師による特定保健指導などが、労働者が負担することなく受けられる制度を指します。

状況ごとの給付内容

労災保険で受けることができる保険給付の内容は、労働者が災害をこうむったことで陥った状況に応じて、次の内容に分類されます。

傷病

傷病とは、災害がもとで負傷することや、疾病にかかることを指します。

業務災害による場合は療養補償給付・休業補償給付・傷病補償年金、通勤災害による場合は療養給付・休業給付・傷病年金の制度をそれぞれ受けることができます。

障害

障害とは、災害がもとで負傷や疾病にかかり、その後治癒した際に障害等級に相当する何らかの心身不備が残ることです。

業務災害による場合は障害補償年金や障害補償一時金、通勤災害による場合は障害年金や障害一時金をそれぞれ受けることができます。

要介護

要介護状態とは、災害がもとで障害者支援施設やそれに準ずる施設へ入所し生活介護を受ける状態や、病院や診療所に入院する状態に陥ることです。

業務災害による場合は介護補償給付、通勤災害による場合は介護給付をそれぞれ受けることができます。

死亡

災害がもとで労働者が死亡した場合に、遺族に対して一定額の給付が行われます。

業務災害による死亡時には遺族補償給付や葬祭料、通勤災害による場合は遺族給付や葬祭給付をそれぞれ受けることができます。

脳血管・心臓疾患

前述のように、労働者が定期健康診断後に脳血管疾患や心臓疾患に関する項目に異常があると判断された場合、二次健康診断等給付が行われます。

休業補償給付とは

労災保険法における保険給付制度の概要を理解していただいたところで、次は実際に休業に陥った場合に行われる給付制度の内容を具体的に見ていきましょう。

なお、休業にまつわる給付制度には、業務中に起こった災害が原因となる休業に対する「休業補償給付」と、通勤中に起こった災害が原因となる休業に対する「休業給付」の2種類がありますが、今回は、業務中に起こった災害による休業に対して行われる「休業補償給付」にスポットを当てて解説をします。

休業補償給付の概要

休業補償給付は、労働者が業務上の負傷・疾病がもとで療養をする必要性が生じ、業務に携わることができない場合に、生活保障として一定額が支給されるしくみです。

支給要件

休業補償の支給には、ある一定の要件を満たした場合のみ行われます。支給要件は次の4種類となり、これらの内容すべてを満たすことが必要です。

1. 療養のため

休業補償給付は、あくまでも「療養」のために休業をしている期間について行われる給付制度です。したがって、給付期間中の労働者は必ず療養中でなければならず、負傷や疾病が治った後の外科後処置のために休む期間は補償期間に含まれません。

2. 労務不能

休業補償給付を受けるためには、労働者が「働くことのできない」状態に陥っている必要があります。災害を受ける前までの業務はできなくても、経緯な作業に携わるために出社できる状態の場合は、給付を受けることができません。

3. 賃金の支払がない

その名の通り、使用者が休業をしている労働者に対して賃金を支払っていないことが要件の一つとなっています。なお、賃金を支払っていない状態には、賃金支払いが全くない期間に加え、全部労務不能の期間(平均賃金の60%未満の金額を支払った期間)も含まれることに注意が必要です。

4. 待期期間

待期期間とは、労働者が災害にあったことで休業状態となった初日から数えて3日間を指します。待機期間は継続した3日間である必要はなく、休日を挟んでバラバラに取得した3日間でも構いません。また、労働者が有給休暇の取得を申し出た場合は、その取得日も待期期間のカウントに含まれます。

支給額の計算方法

支給額については、「全部労務不能」と「一部労務不能」の2種類の状況に応じて異なります。

  1. 全部労務不能状態の場合
    労働災害により、労働者が所定労働時間の全部分が就労できない状態になっている場合、一日あたり次の金額が支払われます。
    《給付基礎日額×60/100》
  2. 一部労務不能状態の場合
    病院への通院などの事情で、労働者が所定労働時間の一部分が就労できない状態になっている場合、一日あたり次の金額が支払われます。
    《(給付基礎日額-労働した部分に支払われる賃金額)×60/100》

また、休業補償給付の制度には、本来の休業補償給付に加え、後に説明をする「休業特別支給金」が上乗せされる点にも特徴があります。

つまり、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)が労働者に対する支給額になります。

給付基礎日額とは

給付基礎日額とは、平均賃金に相当する額のことです。具体的な内容としては、労働基準法によって次のように定められています。

《労働基準法12条》
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。
1 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
2 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

なお、上記の方法で算出された金額に1円未満の端数がある場合は、1円に切り上げる必要があるため注意しましょう。

休業特別支給金とは

休業補償給付を受ける場合、災害をこうむった労働者のために実施される労働福祉事業の一環として、一定金額が上乗せ支給される制度があります。これを「休業特別支給金」といいます。

休業特別支給金は、一日につき「給付基礎日額×20/100」が支給されます。つまり、労働者は休業中に給付基礎日額の8割を受け取ることができるのです。

支給期間

休業補償給付が支給される期間は、休業開始後4日目から休業が終了するまでの間です。

なお、労働者の状況が傷病補償年金を受け取る状態に切り替わった場合は、その後は傷病補償年金の支給が行われるため、休業補償給付は支給されません。

待期期間中の補償

また、休業補償給付の対象ではない「休業開始日から3日間」の待期期間については、保険者である国からの給付は行われません。この期間は、事業主自身が一日あたり「平均賃金×60/100」の休業補償を支払う必要があります。

支給制限

休業補償給付を受ける資格を持つ労働者が以下の状態に陥った場合、給付を受けることができません。この状態のことを「支給制限」といいます。

  1. 刑務所や相当する施設などに拘禁されている状態
  2. 少年院や準ずる施設に収容されている状態

有給休暇との関係

休業補償給付を受けている休業期間中に有給休暇の取得を申し出た場合、使用者側はそれを認めることができます。有給休暇の取得日は当然ながら賃金を支払う必要があるため、使用者は給付基礎日額の10割を支給しなければなりません。なお、休業補償給付を受けた期間を有給休暇扱いとし、勝手に消化処理を取ることは禁止されています。

申請手続きの流れ

休業補償給付を受ける場合、まずは事業主側が「休業補償給付支給請求書(兼休業特別支給金支給申請書)」に会社情報や被災労働者の情報、事故時の状況や平均賃金の算定内訳を記入し、被災労働者へその請求書を送付します。その後、被災労働者が診察を担当する医療機関の証明をもらった上で、労働基準監督署へ送付します。

一定期間後に監督署からの支給決定通知が届き、休業補償給付としていくら支払われるかが判明します。その後、厚生労働本省より給付金の支払いが行われる、という流れを取っています。

その他休業にまつわる給付制度

ここまでは、労災保険法による休業補償給付の内容について解説をしてきました。しかし、何らかの事情で会社を休んでいる労働者に対する支援制度は、休業補償給付以外にもさまざまなものがあります。

この項目では、その諸制度の内容について紹介をしていきましょう。

休業手当

休業手当は、労働基準法による給付制度です。休業期間に応じて、平均賃金の60%以上となる金額を支払わなければなりません。労災保険による休業補償制度とは異なり、使用者自身が労働者に支払う制度である点に特徴があります。

《労働基準法26条(休業手当)》
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
【引用】電子政府の総合窓口e-Gov〔イーガブ〕:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

使用者の責に帰すべき事由とは

使用者の責に帰すべき事由とは、前述の「会社都合による休業」に相当する内容となります。

具体的には、資材不足や輸出の不振、資金繰りが困難な状態、不況のあおりを受けた際の経営難による休業期間や、解雇予告なしで解雇した場合の予告期間中に相当する休業期間、採用内定者が自宅待機をしている期間が相当します。

天災事変による休業や代休付与命令に応じた休業期間は、使用者の責に帰すべき事由には含まれない点に注意が必要です。

一部休業を実施する場合

使用者の責に帰すべき事由による休業の中には、途中で帰らせる場合など、所定労働時間の一部分のみを休業の対象とするケースがあります。このような一部休業の際、実際に労働者が就労した時間を対象として支払う賃金が平均賃金の60%に満たない場合は、平均賃金の6割に達するような形で休業手当の額を上乗せしなければなりません。

つまり、労働者が全部なり一部なり休業した場合は、最低でも平均賃金の6割を最低限の生活保障として確保させなければならない、ということです。

傷病手当

傷病手当は、雇用保険法にまつわる保険給付制度です。本来ならば基本手当を受給できる期間に、傷病によって職につけない求職者に対する保障を行います。

退職し、いわゆる失業保険の受給資格を得た労働者が、再就職を目指してハローワークへ求職の申し込みを行った後、病気やケガによって職業に就くことができない状態に陥った場合に傷病手当が支給されます。

支給要件

傷病手当の支給を受けるためには、求職の申し込み後に疾病や負傷のために継続した15日間職業に就けない状況になり、基本手当の受給ができない状態になる必要があります。求職の申し込み前よりかかっている傷病の場合は、傷病手当を受けることができない点に注意が必要です。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険法における制度で、被保険者が療養をするために就労できない期間の生活保障として一定額が支給されます。前述の傷病手当と名称は似ているものの、内容は全く異なります。

会社側の対応としては、「傷病手当金支給申請書」の手続きが必要です。また、各種手当金や年金を受け取っている被保険者が傷病手当金を受給する場合、公平を期すため併給調整が行われます。

どの手当や年金制度が併給調整の対象となるかについては後述しますので、被保険者からの問い合わせ時に対応できるよう、一通り把握をしておきましょう。

支給要件

傷病手当金の支給要件は、次の通りになります。

  1. 業務外の疾病による療養期間である
    自宅療養期間・病後療養期間も含まれます。
  2. 労務に服せない状態である
    保険加入事業所での労務が不能なら、一時的な副業に携わっても問題ありません。
  3. 継続した3日間の待期期間を満たしている
    継続した3日ならば、待期期間の間に休日が含まれていても問題ありません。

支給額

傷病手当金の支給額は、標準報酬日額の3分の2となる金額です。なお、標準報酬月額とは、被保険者が受け取る月ごとの給料額を一定額ごとに区分された等級に当てはめて算出した金額である「標準報酬月額」の30分の1となる金額です。

併給調整

傷病手当金の支給を受ける期間中に他の事由による金額を受け取る状況になった場合、次のような形で手当金の額が調整されます。

  1. 給料額との調整
    傷病手当金の支給期間内に、使用者より傷病手当金の額を上回る報酬を受け取ることになった場合は、傷病手当金の支給が行われません。ただし、傷病手当金に満たない報酬額の場合は、結果として傷病手当金相当の金額が受け取れるよう、差額分の支給が行われます。
  2. 出産手当金との調整
    傷病手当金の支給期間内に出産手当金を受けることになった場合は、出産手当金が優先されるため、傷病手当金は支給されません。
  3. 障害厚生年金との調整
    傷病手当金の受給資格者が同じ傷病で障害厚生年金を受けることになった場合は、傷病手当金の支給は行われません。
  4. 障害手当金との調整
    傷病手当金の受給資格者が同じ傷病で障害手当金を受けることになった場合は、障害厚生年金の場合と同じく、傷病手当金の支給は行われません。
  5. 介護休業期間における調整
    傷病手当金の受給資格者が介護のために休業した場合は、傷病手当金の支給は行われます。ただし、介護休業手当などの理由で事業主が賃金を支払う場合は、傷病手当金の額が調整されます。

支給期間

傷病手当金の支給期間は、支給開始日より1年6ヶ月間とされています。これは、支給期間が1年6ヶ月ということを意味するため、その期間に出勤し、支給が行われなかった日があったとしても、その日数分の期間を延長することにはなりません。

申請手続きの流れ

実際に傷病手当金の支給を受ける場合、受給対象となる被保険者が「傷病手当金支給申請書」に医師による意見書、休業期間や報酬額などが記載された事業主による証明書をあわせて提出する必要があります。

なお、提出先は健康保険の保険者であるため、協会けんぽまたは健康保険組合となります。

まとめ

  • 休業とは労働契約を維持したまま労働者が業務を休むことで、労災保険法による休業補償制度により、業務災害では休業補償給付、通勤災害では休業給付を受けることが可能。
  • 休業補償給付を受けるためには、療養のために休業した事実、労務不能状態であること、賃金支払がないこと、待期期間を満たすことが要件となる。有給休暇の利用も可能。
  • その他休業にまつわる諸制度には、労働基準法による休業手当、雇用保険法による傷病手当、健康保険法による傷病手当金があり、それぞれ支給要件や金額、期間が異なる。

<執筆者> 加藤知美 社会保険労務士(エスプリーメ社労士事務所)

愛知県社会保険労務士会所属。愛知教育大学教育学部卒業。総合商社で11年、会計事務所1年、社労士事務所3年弱の勤務経験を経て、2014年に「エスプリーメ社労士事務所」を設立。


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