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2018年11月12日(月)更新

アルムナイ

アルムナイとは「卒業生」「同窓生」を意味する言葉で、企業においては定年退職者以外の離職者を一般的に意味します。終身雇用の崩壊、人材の流動化、労働人口の減少に伴い、雇用契約が切れた後でも、アルムナイとの継続的な関係性を持ち続ける重要性が高まっています。この記事では、アルムナイを上手く活用するポイント、アルムナイネットワークの例について紹介します。

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アルムナイとは?言葉の意味

アルムナイとは、英語ではalumniと表記します。「alumnus」の複数形で、「卒業生」「同窓生」を意味します。そこから派生して、企業の卒業生、つまり退職者やOB・OGのことも意味します。一般的には定年退職者以外の離職者を指します。

企業・人事用語としては、退職者を再雇用する「アルムナイ制度」や、大学や企業の同窓生コミュニティ「アルムナイネットワーク」などの文脈で利用される言葉です。

アルムナイ制度とは

アルムナイ制度とは、自社からの退職者を再雇用する制度で、「出戻り制度」や「カムバック制度」などとも言われます。自社の風土を理解している優秀な人材を再雇用することで、採用の失敗を回避し、即戦力として活躍してもらうことが期待できます。

外資系企業では一般的な制度でしたが、昨今の人材流動化と人手不足に伴い、日本でも一般化されつつあります。

ジョブ・リターン制度との違い

アルムナイ制度は、「退職者の再雇用」という点で、ジョブ・リターン制度にも近い制度です。ですが、ジョブ・リターン制度とは、若干意味合いが異なります。

ジョブ・リターン制度とは、一旦何らかの個人的事情(結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤など)で退職した社員が、退職前の企業に再雇用される制度のことです。退職者の再雇用という点ではアルムナイ制度と同様ですが、ジョブ・リターン制度の場合、退職理由は「家庭の事情」であることが一般的です。

一方、アルムナイ制度の場合は、家庭の事情に加え、他社への転職や起業、MBAや大学院進学といった様々な理由による退職者も、再雇用の対象者となります。

【関連】BizHint HR:「ジョブ・リターン制度」とは?ワークライフバランス推進の一手

アルムナイネットワークとは

アルムナイネットワークとは、大学や企業の卒業者、同窓生のコミュニティのことです。SNSや会員制サービス、大学や企業の同窓会、その他ゆるやかな繋がりを通じ、情報交換や交流を行っています。

アルムナイネットワークの価値を一言で言うと「人脈」でしょう。アルムナイネットワークを通じ、事業の相談やライバル企業の情報収集、顧客やパートナー候補の開拓が行われています。就活生が行う企業へのOB・OG訪問も、アルムナイネットワークの賜物であると言えます。

アルムナイが企業から注目される背景

時代の変化に伴い、企業の経営者や人事部、採用担当者などから、アルムナイの役割や重要性が大きく注目されています。アルムナイが注目される背景について解説します。

終身雇用契約の崩壊と人材流動化

アルムナイが注目されるようになった背景として、終身雇用契約の崩壊と人材流動化が挙げられます。

終身雇用契約が崩壊し、人材の流動化が進むと、企業からは定年以外の退職者がある一定割合、定期的に発生していきます。人材の欠員を補うために、企業は新卒入社者を増加させたり、中途採用を行ったりといった施策をとりますが、それに伴い採用コストは増加することとなります。また、中途採用の場合は「転職後の企業風土に上手く馴染めず、思うような成果が挙がりにくい」といった、採用のミスマッチが起きる可能性もあります。

終身雇用の時代では、自社からの退職者、つまりアルムナイは雇用のターゲットから除外されることが一般的でした。しかし、人材の流動化が進む今、「採用のコスト削減」「採用ミスマッチの解消」といった課題解決の重要性が高まっています。アルムナイの再雇用は、これらの課題解決に繋がると期待されているのです。

また、アルムナイが注目される別の理由としては、新卒入社者の「就職に対する概念の変化」も挙げられます。

終身雇用契約が崩壊した昨今、生きていくために一番頼りになるのは、自分の能力や経験であると言えます。従って、一つの組織のみに就職し定年まで勤め上げるのではなく、転職や起業、すなわち退職を前提としたキャリアパスが一般的になってきています。また、それに伴い、アルムナイが活躍している人材輩出企業が就職先として人気を集めています。採用界隈では、人材輩出企業であることをセールスポイントとしてPRすることも常識となっています。

このように、新卒・中途に関わらず採用現場では、アルムナイの人材リソースとしての重要性が注目されているのです。

【関連】BizHint HR:終身雇用の意味とは?歴史とメリット・デメリットを解説

経験のある退職者人材の再活用

少子高齢化の進行と労働人口の減少、求められる人材要件の高度化により、日本は採用難の時代であると言われています。採用要件を満たす採用候補者の総数が減少し、人材確保が難航化する中、経験や能力のあるアルムナイの活用が採用界隈では注目されています。

既に離職前の企業で活躍した経験や能力があるアルムナイは、実績がある分、再就職してもらえればまた活躍してもらえる可能性が高いでしょう。アルムナイの再雇用は、他に人材要件を満たす人材を探し続けるよりも、採用難対策として有効な手段であると考えられます。

【関連】BizHint HR:採用難とは?原因と人手不足を乗り越えるための対策をご紹介

アルムナイ活用のメリット

ここで、アルムナイの活用には、どのようなメリットがあるのかを再確認しましょう。

採用や人材育成のコスト削減

アルムナイを再雇用の対象者とすることで、採用や人材育成のコスト削減に繋がります。

アルムナイは、過去に自社の採用基準を満たし、かつ一緒に働いたことがある人材です。自社で働く上で十分な能力や経験を有していることが多いでしょう。実際の働きぶりや人となりも把握できるため、採用の失敗の可能性が低く、即戦力としての活躍が期待できます。

【関連】BizHint HR:採用失敗の原因とは?ミスマッチを防止し、採用に成功するためのポイント

組織の活性化

アルムナイの再雇用には、組織の活性化の効果も期待できます。

社内からの人望のあったアルムナイが組織に帰ってくれば、きっと会社内の雰囲気が良くなることでしょう。既存社員も「この会社は一度出ていっても帰ってきたいと思える場所なのだ」と思え、自社への誇りの醸成にも繋がります。

また、再雇用したアルムナイは、社外に出て得た経験や能力を活かし、組織内に新たな風を吹かせてくれるかもしれません。自社から一度出たからこそわかる組織の強み、弱みの発見や、柔軟な発想での提案も期待できます。

人脈としての活躍

再雇用だけがアルムナイ活用のメリットではありません。アルムナイと企業との間で、一過性のものではなく、継続的な良い関係性を築くことができれば、アルムナイは信頼できる有力な人脈として活躍してくれることでしょう。アルムナイとの関係構築は、これまで以上に重要となってきます。

具体的には、事業の相談を持ちかけ外部からの視点を取り入れたり、仕事の紹介をしあったり、新規事業案の実現のフォローや、起業時のパートナーやスポンサーになるなど、交流を通じた様々なメリットが期待できます。

また、アルムナイが企業の熱狂的なファン、アンバサダーとして機能することで、サービス・商品のプロモーションやマーケティング力の強化、リファラル採用の成功などにも繋がります。

【関連】BizHint HR:リファラル採用の意味とは?メリットや組織に根付かせるポイントを解説

新卒採用力の強化にも

近年、新卒採用市場は売り手市場が続いています。依然として新卒採用市場では大手企業が人気ですが、スタートアップ人材、ベンチャー企業の起業家、経営者などを多く輩出する「人材輩出企業」に人が集まる傾向も続いています。アルムナイの社外での活躍は、新卒採用力の強化にも繋がります。

【関連】BizHint HR:新卒採用とは?メリット・デメリット・最新スケジュールを徹底解説

アルムナイを上手く活用するポイント

「アルムナイ」という人的リソースを上手く活用し、メリットを最大化するには、どのようなポイントがあるのでしょうか。

組織内における受入体制をつくる

アルムナイを再雇用する際の現実的な問題として、既存社員とのコミュニケーションが挙げられます。例えば、既存社員から「会社を一度捨てた」とみなされ、必要以上に責められてしまったり、上手く馴染めなくなってしまったりするケースが見受けられます。

その他、企業を離れている間に同僚や部下が昇進していたり、社内の人事制度や仕事の仕方などが大きく変化していたりする場合に、変化に上手く適応できないケースなどもよく発生します。「あの頃とは変わってしまった」「昔はもっと良かった」などと昔語りを多くするようになり、若手社員を中心に周囲から煙たがられてしまう、なんてこともよく起こるでしょう。

対策としては、「アルムナイを再雇用する上での受入体制づくり」が挙げられます。具体的には、企業にとって好ましいアルムナイのみ再雇用を認める採用基準の設定や、再雇用前に配属予定先とアルムナイ間でコミュニケーションをとっておくなど、既存社員が快くアルムナイを迎えられる為の施策が必要となるでしょう。

多様な雇用形態を用意する

アルムナイの再雇用を促進するためには、多様な雇用形態を用意することも有効です。

例えば、スタートアップや起業、複業を志す独立心の強いアルムナイに再度働いてもらいたい場合、再雇用契約ではなく、副業や兼業、フリーランスなどといった業務委託契約の方が好まれるケースがあります。

また、アルムナイがフルタイムで働くことができない場合や、特定の期間のみ就労可能な場合なども考えられます。時短勤務や期間限定の勤務ができるような雇用契約を可能とすれば、アルムナイの活躍の幅も広がることでしょう。

【関連】BizHint HR:「雇用形態」とは?正社員・契約・派遣などの種類、変更方法を解説
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イグジットマネジメント

計画的な退職などの雇用の出口管理のことを「イグジットマネジメント」と呼びます。アルムナイの活用には、このイグジットマネジメントの視点も重要です。

アルムナイの再雇用や人脈としての活躍には、円満退職が前提となります。快く退職できる人が多ければ、再雇用の対象者となったり、企業のアンバサダーとして活躍してもらったりすることも期待できます。一方、退職の仕方が悪ければ、再雇用候補者や人脈とならないばかりか、悪評をふりまかれたり、企業活動の妨害をされたりなど、企業にとって悪影響となる可能性もあります。従って、円満退職となるような仕組みが必要となります。

イグジットマネジメントは、一般的に組織内の新陳代謝の促進、すなわち計画的な退職の推進、といった文脈で使われることの多い言葉です。ですが、今後は人材の流動化に伴い、「退職者との継続的かつ良好な関係性の構築」の役割も大きくなってくるでしょう。

イグジットマネジメントの具体的な施策としては、退職時・退職後のステップアップの支援や、アルムナイネットワークの構築などが挙げられます。

アルムナイ・リレーションシップ・マネジメント

これまで解説した通り、アルムナイとの良好な関係性を持ち続けることは、企業にとって大きなメリットをもたらす可能性があります。

アルムナイ・リレーションシップ・マネジメントとは、良好な関係性を持ちつづけるために、積極的にアルムナイとの関係構築と組織化を行う手法のことです。次の項で紹介するようなアルムナイネットワークを構築し、積極的に活用していけると良いでしょう。

企業のアルムナイネットワークの例

企業のアルムナイネットワークの例を紹介します。

アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク

世界的なコンサルファームであるアクセンチュア社によるアルムナイネットワークです。アルムナイを対象としたイベント、卒業生の手がけるビジネスやサービスの紹介、再雇用やリファラル採用の推進などを実施しています。

【参考】アクセンチュア:アクセンチュア・アルムナイ

マッキンゼーアルムナイ

アクセンチュアと同様に世界的なコンサルファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニー社も、世界中に展開するアルムナイネットワークを保有しています。

会員制のネットワークサービス「McKinsey & Company Alumni Center」を運営し、ノウハウの共有や採用情報の提供、アルムナイ向けのイベント情報の提供などを行っています。アルムナイの人数は3万人を超え、活躍の場は120カ国にも及んでいます。

【参考】McKinsey & Company:Alumni

リクルートアルムナイ

日本企業では、株式会社リクルートホールディングスが有名です。起業家や経営者を多く輩出していることから、スタートアップや起業を志す新卒入社者に人気な就職先ともなっています。

【参考】東洋経済オンライン:なぜリクルートの人は卒業後活躍できるのか

モトヤフ(ヤフー株式会社)

ヤフー株式会社もアルムナイネットワークの構築に取り組んでいます。「モトヤフ」とは、ヤフー株式会社が20周年を機に設立したアルムナイネットワークです。非公開のFacebookグループを作成し、コミュニケーションをとっているようです。

【参考】Yahoo! JAPANコーポレートブログ:ヤフーの卒業生のつながりをつくる「モトヤフ」

大学のアルムナイネットワーク・サービスの例

大学のアルムナイネットワークや、アルムナイを対象としたサービスの例を紹介します。

ハーバードアルムナイ

アメリカ最古の高等教育機関とも言われるハーバード大学にも、アルムナイネットワークが存在します。ビジネス領域のみならず、医学部やロースクール出身者など、様々なバックグラウンドを持ち、世界中で活躍する人材とのネットワークに加わることができます。

【参考】森若幸次郎『ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?』(学研プラス、2016年)

一橋ICSアルムナイ・ネットワーク

一橋大学大学院 国際企業戦略研究科(一橋ICS)は、一橋大学卒業生の同窓会組織「如水会」とは別に、MBAプログラムの卒業生を対象としたアルムナイネットワークを提供しています。アルムナイ会員用ウェブサイト、及びFacebookの非公開グループの運営を行っているようです。

【参考】一橋大学大学院国際企業戦略研究科 国際経営戦略コース: アルムナイ概要

BBTアルムナイサービス

ビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)のアルムナイサービスは、卒業生のネットワーキングではなく、学習コンテンツ提供を目的として運営されています。過去に受講したコンテンツを継続視聴できる基本サービスに加え、オプションで随時追加されるコンテンツの視聴が可能です。

【参考】BBTアルムナイサービスとは?

まとめ

  • アルムナイとは「卒業生」「同窓生」を意味する言葉
  • 終身雇用の崩壊、人材の流動化、労働人口の減少に伴い、アルムナイの活用が注目されている
  • アルムナイを有効に活用するには、「受入体制の整備」、「多様な雇用形態の用意」、「円満退職のためのイグジットマネジメント」、「良好な関係性を持ち続けるためのリレーションシップ・マネジメント」が重要

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