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連載:第2回 [LINE WORKS×BizHint]変わる、中小企業の働き方

「働きがいのある会社」女性部門1位。離職率は驚異の5%。売上年15%成長を続けるチームの作り方

BizHint 編集部 2020年4月27日(月)掲載
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女性スタッフが多い美容業界。ライフステージの変化による離職をはじめ、人材の定着に悩む経営者も少なくありません。そのような業界で驚異の離職率5%を実現しているのが株式会社アンジェラックス。エステティックサロンを手掛け、リーマンショック後にはその負債から「潰したほうがいい」とまで言われた同社は現在、低い離職率とともに、毎年売上15%成長を続けています。2020年には「働きがいのある会社ランキング※1」女性部門1位を受賞。その成長の裏には、従業員が生き生きと働き、成果を出し続けられる組織文化がありました。今回はその仕掛け人、CHROの大杉一真さんにチームづくりの要諦を聞きました。

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株式会社アンジェラックス
最高人事責任者 CHRO
大杉 一真さん ※写真中央

上智大学文学部史学科卒業後、米アイダホ州にあるボイシー州立大学へ留学。経済学部首席卒業。帰国後、ITベンダーに就職するも家業立て直しのため、株式会社アンジェラックスに入社。倒産寸前の会社をV字回復に導く。


債務超過1億円。「潰したほうが良い」といわれた母の会社を立て直すために

―― まず初めに、創業の経緯を教えてください。

大杉一真さん(以下、大杉): 1987年に母が長野でエステティックサロンを開業したのが始まりです。もともと母はオシャレや美容にさほど興味がなかったのですが、「そんな私(母)でも綺麗になりたいと思うんだから、世の中の人はみんな綺麗になりたいに違いない!」と考えたのがきっかけで、エステティックサロンを開業したそうです。

―― 時代的にはバブルの頃ですね。すぐに軌道に乗ったのでしょうか?

大杉: いえいえ。バブル期とはいえ、創業当初はとても苦労していたようです。地道に手書きのチラシを配ったり、お客様を紹介してもらったりして、ようやく軌道に乗り出したのが1~2年経った頃と聞いています。それからは、長野・新宿・松本と店舗数も増えていきました。けれども2008年のリーマンショックで大きな影響を受けてしまったんです。

その頃、事業が多角化していて、エステティックサロンの他に、エスティシャンやセラピストのスクールもやっていました。売上の9割はエステサロンで成り立っていたので、本来その土台をしっかりしたものにすべきだったのですが、会社としてはスクールに注力していました。結果、エステサロンの業績がどんどん悪化していったのです。

―― エステサロンの運営には手を入れなかったのでしょうか?

大杉: コンサルタントに入っていただきました。しかし、それもうまくいきませんでした。コンサルタントは効率を重視したフランチャイズ的な運営を目指している方だったので、とてもシステマチック。しかし母は、一見無駄に見えることでも、目の前のお客さんに一生懸命にならないとダメだと考えるタイプ……。それで対立してしまって。結局、コンサルタントも抜けてしまいました。

―― その時の経営状態はどうだったのでしょうか?

大杉: 債務超過が約1億円。知り合いの税理士さんから「潰したほうが良い」と言われるほど酷い状態 でした。母はずっと根性でやってきた人なので「イケる!なんとかする!」と言っていましたが、正直、別の一般企業で働いていた僕から見ても立て直すのは難しそうだな、と感じていました。

―― それは厳しいですね……。そこからなぜ大杉さんが事業に関わるようになったのでしょうか。

大杉: 僕は一時期、アメリカのアイダホ州に行っていて、そこで触れた「家族を大切にする」文化の影響があると思います。日本が家族を大事にしていないわけじゃないけど、アメリカから帰ってみると、日本人って家族に対してちょっと冷たいな……って感じるようになっていて。

自分自身、中学・高校と寮に入っていたのもあって、10代の頃は家族に対して他人事のような、ちょっと冷めた気持ちが大きかったんです。でもアメリカから帰ってきて、改めて家族がやっている仕事、お客様に接する姿勢を見ているうちに、そういったものがとても大切なものに見えてきました。

会社は「母のすべて」でした。それが無くなってしまうことを寂しく感じましたし、何より「もったいないな」と思いました。 母の会社を気に入ってくれているファンがたくさんいるのに、経営がうまくいっていないというだけで終わってしまう…… 。大好きだった良質な音楽雑誌が時代の波に呑まれて廃刊になってしまった時の残念さに似た気持ちが湧きました。

それまでの25年間、母が作った会社に食べさせてもらって、大学まで卒業させてもらって。そういったいろいろな気持ちからも 「きちんと恩返しをしたいな」と思った んです。別の仕事をしながら毎月お金を入れることも考えたのですが、金額などを鑑みても「中に入って変える方が良い」と覚悟を決めました。

エステティックサロンを「従業員も幸せな会社」にしたい

―― 入社時にはどのようなことを考えていたのでしょうか?

大杉: もちろん、どうやって返済を進めるか……が当面の課題ではあるのですが、前職を退職する際に上司に言われたことが心に引っかかっていました。快く送り出してくれたのですが、一言「エステサロンって、顧客満足はともかく、従業員満足度がとても低そうな業界だよね」と。

―― なかなか強烈な言葉ですね…。

大杉: はい。でも、(確かにそうだな)とも思い、 自分が携わるエステサロンは「従業員にとって働きがいのある会社にしたい」 と考えるようになりました。

―― 入社後、どのようなことに取り組みましたか?

大杉: まずは資金繰りですね。当時、会社は設立から20年ぐらい経っていて「物がめちゃくちゃ溜まっている古い家」のような状態。だから、不要な契約や用途不明の出費、採算の合わない事業などを一つ一つ整理していくところから始めました。

―― その際、お母様からの反対はなかったのでしょうか。

大杉: 反対はなかったですね。後から聞いた話ですが、経営が芳しくない状況の中で 僕が「従業員も幸せにしたい」という話をした時に、母は『自分はそんなことを考えられなかった。時代は変わったのかもしれない。』と思っていたそうです。

母は長年、経営者として従業員と接する中で「育てても辞められる、裏切られる」という経験を何度もしてきたと思います。母自身が「背中を見て覚える」といった昔ながらの考え方が強いため、社員には何より自主性を期待し、そういった接し方をしてきたのだと思います。

もちろんそれが正しかった時代もあったと思いますが、それではうまくいかない時代に変わっていました。人は「勝手に育つ人ばかりではない」と思っていましたし、経営者と社員という関係性はあるものの、その中で「一緒に幸せになれる」ことを目指したいと考えていました。

―― 資金繰りのほうはどうなったのでしょうか?

大杉: 様々なものをそぎ落とし、最後はプライベートも含めた固定資産を売却するなどして、なんとか返済の目途がつきました。ただ、それよりも重要なのは、店舗の売上がしっかり伸びていったことです。長野店では月平均80万円だった売上が、翌年には200万円、その翌年には300万円、また翌年には400万と、毎年成長していきました。

社員どうしの関係性が良いと、会社は盛り上がる。

―― すごい成長ですよね。何か要因があったのですか。

大杉: 長野店の1人の女性スタッフが中心になって全体を引っ張っていってくれたのがとても大きかったです。彼女はノリが良くて仲間を大切にする気持ちが強いタイプでした。

少年漫画が好きで「みんなでやろうぜ!行こうぜ!勝とうぜ!」みたいな感じ。彼女を中心に長野店が立ち直っていくのを見て 「もしかすると、彼女のノリを会社の文化として作りきったら良いんじゃないか?」 と思ったんです。

彼女がコミュニケーションに使っていたのがLINEでした。2012年頃、まだLINEが若い世代を中心に広がり始めた時期で、自然と「アンジェラックスでもLINEグループ作ろう」という話になったようです。

当時僕は、従業員とのコミュニケーションにメールを使っていたんですけど、 社内でLINEが盛り上がっているのが正直、めちゃくちゃ楽しそうだったんですよね(笑) 。(LINEのキャラクターである)ブラウンとコニーが殴り合うスタンプで、業務上のやりとりが盛り上がっている……あのノリは衝撃でしたね。

―― メールとLINE、何がそんなに違ったのでしょうか?

大杉: やはり「スタンプ」の存在が大きいですね。昔から「絵文字」はありました。しかし、あくまで主観ですが、絵文字は印象を良くするために“気を遣ってつけるもの”のような感じがしていました。

スタンプにはそれがなく、“純粋にノリで送れる”というか。 本当にフランクなコミュニケーションがとれて、投稿者のエネルギーがそのまま伝わる感じ。 そのエネルギーのぶつけ合いが従業員のモチベーションにも関わってくるように思えました。他の類似サービスに比べてもLINEのスタンプの表現力は画期的で、経営陣も従業員もおもしろいスタンプを送り合って盛り上がれましたね。


「経営陣にも気兼ねなく直接電話できる」というフラットな社風

ただ、LINEで従業員と業務上のコミュニケーションをとるようになってくると、徐々に仕事とプライベートの区別が曖昧になってきます。気心の知れた少人数の組織の時はそれでも良かったのですが、社員が10人ぐらいに増え、新しいスタッフも入ってくると 「仕事とプライベートは分けたい」 と感じる人も出てきます。

―― 実際にそのような意見が出たのでしょうか?

大杉: 最初は「嫌だと感じている人もいそうだな」と雰囲気を感じとっただけですね。僕自身も分けたいタイプなのでよくわかる感覚です。LINEのサービスも黎明期が過ぎて、当社に入社される方がプライベートで使っているのが当たり前という状態になっていました。

LINEは友達や恋人とのやり取りで使っていて、「通知が嬉しいアプリ」なんですよね。そういう人にとっては、楽しいはずの通知の中に、「責任感を伴う通知」が混じるのはストレスになる。少なくとも僕は、それを好ましいことだとは思いませんでした。

実際に、従業員が12~13人ぐらいのとき、無記名で従業員満足度調査をしたら、1人から「プライベートを侵食される」という意見が挙がりました。しかし、それを受けてメールに戻してしまうと、せっかくできあがってきた当社の文化に水を差すことになるので避けたい……。

プライベートとビジネスの連絡手段は分けたいと思いつつも、LINEのようなエネルギーがそのまま伝わるコミュニケーション手段を見つけられず、LINEを止められない。そんな時期が続きました。

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