連載:第20回 組織作り その要諦
終身雇用制度の維持不可、エンジニア採用の激化など商社・ベンチャー企業経営者と2010年代の組織と働き方を振り返る
2020年代に入り事業を取り巻く環境は増々変化しています。終身雇用制度の維持不可やエンジニア採用の激化などがトピックとして挙げられながらも、その根底にある変化のうねりについて、大手商社の人事機能を担うヒューマンリンク株式会社の代表取締役社長和光貴俊さんと、ハイスキルなエンジニアと企業をマッチングする転職サービスFindyの代表取締役山田裕一朗さん、ベンチャー企業の人事組織・採用支援や、出資を通じた企業成長の支援を行う河合聡一郎さんをモデレーターとし、議論を交わしました。初回は、人事や組織を取り巻く情勢の変化についてです。この座談会は2019年12月に行われました。
2019年を振り返って人事や組織に起きた情勢の変化とは
大企業が公式に終身雇用の維持不可能、エンジニア採用の需要増
まず最初に、2019年の1年を振り返ってみて、人事組織周りや採用活動のシーンにおいて、どんなトレンドや変化をお感じになりましたでしょうか?
特に象徴的だったのは「終身雇用制度を維持できない」と宣言する大企業が出てきたことです。加えて、エンジニア採用も競争が激化しています。その採用対象はグローバル化しており、国内に留まらなくなっています。
背景には企業の競争源泉がこれまでの工場を中心とした「純粋なものづくり」から「幅広い分野やそのプロセスにおいて、ソフトウェアも活用した企業経営とその差別化の要因」に変わりつつあるのが大きく影響しているのでしょうね。エンジニア採用を推進させるプロダクトを手掛けている山田さんはどう感じていますでしょうか?
従来はソフトウェア開発や広告、SNSなど、いわゆるテクノロジーやコミュニケーション領域でエンジニア採用が行われてきましたが、2018年にピークを迎えたのがフィンテックの領域、 2019年頃から医療や物流、自動車などにもエンジニア需要が広がってきました。つまり、産業の深い部分にソフトウェアやアルゴリズムを取り込む流れが進んでいます。
働き方も変化、従来型の組織から変化が求められる
それに、組織のあり方も変わりつつあります。以前、サイボウズの青野慶久社長が「会社は虚構、カッパのようなもの」とお話していたのが印象的でした。みんなが「いる」とイメージしていても実際には存在していない。会社は所属しているメンバーが創っているものです。雇われる側のマインドセットも「終身雇用制度が前提ではない」と変わっています。メンバーの意識が変わっているのだから、経営陣や組織の側も変わっていかないといけない。
エンジニアの働き方でいえば……。日本は男性エンジニアが多く、子育てに積極的に関与する人も多いです。したがって、例えばメルカリの小泉文明会長が育休を取ったように「育休がちゃんと取れる会社」と伝える重要性も大きくなっています。リモートワークも駆使して、育児にコミットしながらパフォーマンスしていくことが、働き方の変化として生まれていると思います。
経営陣もエンジニア知識が必要
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