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連載:第2回 よくわかる補助金・助成金 事業承継

事業承継税制を活用して損はなし!

BizHint 編集部 2019年11月26日(火)掲載
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中小企業において、ここ10年間で29万社程度が廃業・転業していると言われている。廃業の理由には、「後継者がいない」というのが約7万社と多いが、後継者がいたとしても、「後継者が多額の納税をしなければならない」ケースも多くあり、事業承継は社会的な課題となっている。今回は、後継者が悩まされる納税に対する特効薬「事業承継税制」についてご説明します。2018年から利用条件が大幅に緩和したことで、「事業承継税制」の申請が増えています。事業承継補助金と共にこちらをぜひ抑え、円滑な事業承継を進めて頂きたいです。

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1. 経営承継円滑化法とは?!

 中小企業の事業承継が由々しき事態になるということで、国が対策として、2008年10月に施行したのが「経営承継円滑化法」です。 本法律は、①納税猶予、②民法の特例、③金融支援といった3つの制度でサポート を行います。また、「経営承継円滑化法」の適用範囲は、以下のいずれかに該当することが条件となります。

次に、3つの制度の特徴を紹介します。

(1)納税猶予「事業承継税制」

 株価が高くなっている場合、後継者が株式を引き継ぐ際に、後継者が多額の納税をしなければならないケースがあり、会社経営へ悪影響を及ぼす場合があります。納税については、現経営者が生前なら贈与税、死後なら相続税にあたります。 このようなお困りごとに対して、本制度を活用することで、 贈与税・相続税の納税がなんと猶予・免除される のです。

(2)民法の特例

 中小企業の場合、相続財産の多くが株式を占める傾向にあります。後継者に株式はじめ事業資産(土地・建物)を集中して持たせようとすると、他の相続人の遺留分を侵害してしまい、揉めるケースがよくありました。しかし、民法の特例により、法廷相続人全員と合意することで自社株式を遺留分から除外することが可能となりました。

(3)金融支援

 これまで金融機関には、個人による株式買い取りを使途とした資金融資の商品が、そもそも存在していませんでした。そこで、中小企業信用保険法、株式会社日本政策金融公庫法の特例として、自社株式の購入などの事業承継に必要な資金を、個人・法人に低利で提供する金融商品を作ったのです。

2. 事業承継税制の改正ポイントとは?!

(1)事業承継税制改正による条件緩和のポイント

 2018年の事業承継税制改正では、 現経営者が10年以内に実際に承継を行う者を決定し、5年以内に「特例承継計画」を都道府県庁に提出する 必要があります。この「特例承継計画」を提出すれば税の支払いが猶予されます。これにより、税を払えずに事業承継が困難になるケースを減らすことができます。

 税制改正の7つのポイントを示します。

 雇用要件の軽減や、売却時・廃業時のペナルティーが廃止されたので、当税制を利用しやすくなりました。

(2)事業承継税制の活用状況

 2019/5/19付の日本経済新聞「事業承継税制、中小が積極利用 計画提出で税猶予」によれば、

18年度の承継計画の届け出件数は約2900件となった。18年度まで約10年間の利用件数は約2500件にとどまっており、これを上回った。

とあり、制度の緩和により多くの事業者が活用したことがうかがえます。

出典:日本経済新聞2019/5/19付「事業承継税制、中小が積極利用 計画提出で税猶予」

(3)納税猶予を受けるための手続き

 納税猶予を受けるための手続きは、下記のように行います。

 まずは、特例承継計画の作成から始めましょう。事業承継は、計画的な取り組みがあるべき姿です。これを機に 事業承継の計画を作成し、後継者にいつ何を(経営権、資産、知的資産など)承継していくのかについて見える化する と、いろいろな気づきがあると思います。

3. まとめ

 いかがでしたか。今回は、補助金ではなく法律の話でしたが、参考になりましたでしょうか。事業承継税制改正のまとめとして、 ①特例承継計画を都道府県庁へ提出すること、②後継者が税負担から解放され、税負担による会社経営の悪化を防げること、③雇用要件の軽減や、売却時・廃業時のペナルティーが廃止されたことで、当税制を利用しやすくなったこと 、です。本制度の活用に悩まれている方は、「事業承継税制を活用して損はなし!」です。

参考文献

  • 事業承継センター
  • 品川区 地域振興部 商業・ものづくり課「中小企業・小規模企業のための事業承継税制改正のポイント」
  • 日本経済新聞2019/5/19付「事業承継税制、中小が積極利用 計画提出で税猶予」

※最新の情報はHPにてご確認ください。
中小企業庁:「経営承継円滑化法による支援」
国税庁:「事業承継税制特集」

(執筆)
株式会社プロデューサー・ハウス 佐藤俊一
中小企業診断士 事業承継士

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